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JAの活動:第58回JA全国女性大会特集

【現地ルポ】JA愛知東女性部  「自ら集まる組織」が地域を支えて2013年1月23日

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・小さな協同が光る農村へ
・「自分」と「地域の人々」の生きがいを作る
・女性組織が「願い」をかなえる力を持つ

 JA愛知東の女性部はいくつものグループが主体となった活動を展開している。その活動は自分づくり、仲間づくり、そして住民が生き生きと暮らせる地域づくりへと広がっている。JAもこうした小さな協同活動が積み重なり、連携しあう事業や運動を将来のJA像として描いている。それはこれからの農村がめざす姿でもある。そのためにも女性の力は欠かせない。JA愛知東女性部の活動の一端を紹介する。

小さな協同が光る農村へ

【現地ルポ】JA愛知東

◆「女性部」の灯を消すな!

 JA愛知東女性部には約70ほどのグループ活動が組織の基礎となっている。いわゆる目的別組織で、活動内容は生花、料理、手芸、ヨガなどのほか、加工品づくりと販売、高齢者福祉の助けあいグループまでさまざまだ。
 河合勝正代表理事組合長は「やらされる活動ではなく、やりたい活動の集まり。女性たちが自らの力で立ち上がってきたグループで1つひとつは決して大きな組織ではないが中身は充実している」と話す。
 部員は約1000人。しかし、かつてのように集落や地域単位の下部組織に加入するといった「集める組織」ではなく、同じ目的のために「集まる組織活動」の結果として部員が増えてきた、と胸を張る。
 こうした女性部の姿に大きく転換したのは20年前のJA合併がきっかけとなった。
 JA愛知東は平成5年に新城市農協、鳳来町農協、作手村農協が合併して誕生した。当時、女性部が存在したのは実は鳳来町農協だけ。
 当時、鳳来町農協の女性部長で現在はJA理事の荻野孝子さんによれば、平成になるころから地域単位で女性部活動をする機運が薄れ、集落丸ごと女性部から脱会するようなことも相次ぎ、合併前には300人ほどの部員数になっていたという。その理由は、たとえば各地の女性組織でこれまで言われてきたような「女性部に入ると、『役』が回ってくるから嫌」という意識。他の2農協も同じような理由から女性部全体が消滅してしまっていた。
JA愛知東女性部長(JAあいち女性協議会会長)今村志づ江さん 「だから、合併当時の組合長に女性部の灯を消すな、といわれ、そこから目的別組織にしようと活動を始めました」と荻野さんは新生女性部の初代部長に就任。最初は短歌や書道などのグループが立ち上がった。
 現在の女性部長で理事も務める今村志づ江さん(JAあいち女性協議会会長)は合併前の新城市農協で女性部が廃部になった経験をした。
 「このまま終わってしまうのかな、と思っていたら目的別組織づくりから再スタート。どんな小さなグループでもいいからつくろう、と呼びかけました。今でも5、6人のグループもあります」と話す。少人数ながら地域の小学校へ豆腐づくりの指導を行うグループもあるという。

(写真)
JA愛知東女性部長(JAあいち女性協議会会長)今村志づ江さん


◆「地域のために」を考える

 グループの活動には短歌や書道、パソコン教室など学習活動も多く、非農家であっても地域に住む女性であれば部費などを負担して女性部に加入できる。今村さんは「手づくりのカルチャーセンターの役割も果たしている。生涯を通して学んでいこうという人や生きがいづくりの場として女性部に参加する人が増えてきました」と話す。
 当然、組織である以上、運営するためのさまざまな『役』にも就かなければならないが、「今では役員をやってよかった、楽しいという声も出てきました。やはり自分たちの組織だから、という意識が出てきたのだと思います」。
 今後はこうした自分づくり、仲間づくりとともに、地域貢献を活動の視野に入れようという方針も打ち出しており、女性部全体の活動として地域の清掃活動などに取り組んでいる。
「つくしんぼうの会」のミニディサービス また、シニア世代を中心に生き生きと暮らすことができる地域づくりへの貢献も目標に掲げているが、それを担っているのが助けあい組織「つくしんぼうの会」と「ドレミの会」だ。
 荻野さんは「つくしんぼうの会」の会長でもある。この会は平成10年にホームヘルパー資格を取得した女性たちが高齢者支援活動をしようと結成した。会の名前は「作手(つくで)」、「新城(しんしろ)」、「鳳来(ほうらい)」という活動地域の頭文字から考案した。
 最初はボランティア活動として家事援助と閉じこもりがちな高齢者に集まる場を提供しようとミニデイサービスに取り組んだ。その後、行政から高齢者生きがい支援活動通所事業の受託者となったことから新城市内25か所でミニデイサービスを実施している。23年度は191回開き、延べ2900人以上が参加した。

(写真)
「つくしんぼうの会」のミニディサービス

 

「自分」と「地域の人々」の生きがいを作る

◆「もったいない」が活動源

つくしんぼうルームで弁当づくりが行われていた ミニデイサービスの昼食は当初、市販の弁当を提供していたが、味付けや量が高齢者に合わないのか、食べ残しが多かったという。それを見た荻野さんたちは「もったいないね。これならお年寄りに合った食材や味付けの弁当を自分たちでやってはどうか」と考えるようになった。
 そこでJAに要望し、平成17年にミニデイサービスができる部屋と厨房を備えた「つくしんぼうルーム」が拠点として整備された。場所はJAの元営農センターで「つくしんぼうルーム」は肥料が積まれていた倉庫だったという。JAの遊休施設活用の一環でもあった。
 この厨房で地域の新鮮な農産物を活用しコストをかけない弁当づくりを始める。地域の人たちが昔から食べてきた味の煮染めなどをおかずにすると、やはり高齢者には好評だった。最初はミニデイサービスに提供するための弁当づくりだったが、今ではJAの理事会に始まり、老人会の集まりなど各種会合の弁当注文も受けるようになり月に500食ほど提供するという。作り方はきめ細かい。たとえば、ご飯もミニデイサービス用は柔らかめ、その他の会議は普通に、というように一手間をかけている。
「つくしんぼうの会」荻野孝子会長 この活動を続けるうち、荻野さんたちに再び「もったいない」という気持ちが湧いた。地域の畑を見ていると規格外で出荷されない野菜や、収穫されずに残った梅や柿などが目立ったからだ。そこで、
 「厨房もあるのにもったいない、という思いもあって農産物加工も手がけ直売所などで販売しようということになったんです」。
 最初は玉ネギ、リンゴ、ニンニクなどに地元産のミカンやイチゴを加えた「焼肉のたれ」を作った。実は、管内は「鳳来牛」の産地。JAも直営の焼き肉レストランを開設しているほど生産・販売に力を入れており、直売所での販売のほかこのレストランにたれを販売、訪れる人に地域の女性たちの活動を知ってもらおうという考えもあった。
 その後、よもぎまんじゅう、イチゴや夏ミカンのジャム、ゴーヤの砂糖菓子など、商品を増やし、今は年に1つは新商品を発売する方針だ。

(写真)
上:つくしんぼうルームで弁当づくりが行われていた
下:「つくしんぼうの会」荻野孝子会長


◆地域資源を活用し活動を継続

 「つくしんぼうの会」は高齢者への家事援助やデイサービスから始まり、弁当づくり、農産物加工販売へと活動を広げていった。加工品はJA直売所や道の駅だけでなく、地域外のサービスエリア店でも販売されるようになり、平成18年度は約700万円だった売り上げが23年度には1200万円を超えた。メンバー40人はミニデイサービスのスタッフとしてだけでなく、弁当づくり、農産物加工などローテーションを組んで働いている。
 このように事業を広げてきたことについて荻野さんは「高齢者の支援を続けるため」だと話す。ボランティアでは限界があり活動を継続させるには経済的な裏づけが必要になる。
つくしんぼうの会が商品化した「焼き肉のたれ」と「うめぽん酢」 「そこで、私たちは農村に住んでいるのだから、と始めたのが地域の食材を使った弁当であり加工品づくりだったということです」。
 ただ、実はミニデイサービス活動そのものが、新しい加工品を生み出すきっかけになった例もある。
 荻野さんたちは今、「うめぽん酢」の販売に力を入れる。これは青梅を米酢で漬け込み、野菜と果物から作った旨味だれと合わせたもの。できれば全国展開もしたいという。というのもこの地域は県下一の梅の産地だからだ。
 しかし、高齢化で収穫もできないなど生産は厳しくなっている、とある時、ミニデイサービスの利用者の農家がもらした。それを聞いた荻野さんたちが、収穫作業と梅の活用を申し出たことから新商品につながったのである。
 同じようなことはほかにもある。利用者のなかにブルーベリーに似たナス科のハックルベリーを試験栽培して増やしてきた農家がいた。しかし、話してみると加工方法を知らないのだという。それならば、とそれを引き取ってジャムした。
 つまり、荻野さんたちの作り出す新商品には人々が抱えている課題に向き合って生まれてきたものがあるということである。単に売れ筋商品は何か、どんな加工品がマーケットに受けるかなどといった志向だけで活動を広げてきたのではない。高齢者支援から地産地消活動、さらに6次産業化へと発展していったこの「つくしんぼうの会」は、実は地域の課題解決のための存在へと進化しているともいえるだろう。
 今後はJAと連携してマイクロバスを利用した買い物支援活動も実現したいという。

(写真)
つくしんぼうの会が商品化した「焼き肉のたれ」と「うめぽん酢」


女性組織が「願い」をかなえる力を持つ

◆元気な高齢者の仲間づくり

「ドレミの会」のミニディサービス もう一つの助けあい組織「ドレミの会」はこのJA管内でも、より山間地の東栄町、設楽町、豊根村(旧富山村、旧津具村地域を含む)を活動地域とする組織だ。ここを管内としていた旧やまびこ農協には女性部組織がなかったが、平成14年のJA愛知東との合併を機に、ミニデイサービスを行っているこの会も女性部のグループ活動の1つとして加わった。「つくしんぼうの会」とともに、この2つの組織がJA管内全域のミニデイサービスをカバーしている。
 23年度は各集落の公民館などを利用して50回開き、約500人が参加した。地域では単身高齢者世帯も増え、ある集落では利用者10人中9人が1人暮らしだという。
「ドレミの会」会長の神谷八重子さん 会長はJAの員外監事でもある神谷八重子さん。メンバーは協力会員も含めて40名ほど。ミニデイサービスについて「地域と触れあっていこう、お付き合いしていこうという気持ちでやってます」という。
 かりにも「サービス」というからには会のメンバーは高齢者を支援するための「サービスを提供する側」のはず。しかし、神谷さんはこう話す。
 「確かに利用者からは世話をしてくれてありがとう、という声が聞かれますが、私たちはお世話をするなんておこがましいと思っています。元気に過ごすための仲間づくりをしようと集まる利用者と、私たちもまた仲間、という気持ちです」。
 デイサービスでは、たとえばレクリエーションとして歌を歌うこともあるが「一緒になって歌う」のだとか。神谷さんの考えにはサービスを「する側」、「される側」という区分はもうない。自分もまた元気な高齢者として過ごし地域を支えていく、そのために「お付き合い」を広げるということなのだろう。
 こうした発想の転換は荻野さんたちの「つくしんぼうの会」にも生まれている。
 荻野さんはこの1月から自分たちもミニデイサービスの利用者として参加する試みを始めた。利用者として交流を深め、そこで得た声を会の運営に反映させることも目的なのだが「たとえば70歳を過ぎたらこういう場に参加するもの、それが元気で過ごすことにつながる」というスタイルを地域に広めたいという思いもある。

(写真)
上:「ドレミの会」のミニディサービス
下:「ドレミの会」会長の神谷八重子さん


◆女性の「発想」生かす

 こうした取り組みは発想の転換というよりも「それがもともとの女性の発想では」というのは、河合組合長だ。
 「立場や年齢の違いなどにこだわらずフラットな感覚で活動できる。JAはそもそもフラットな、平らな組織。だから女性の力が必要だというのが私の考えです」。
 JAはこの助け合い組織のデイサービスの現場に昨年から職員を派遣、現場実習の機会とすることにした。助けあい活動とはどういうものかを理解すると同時に、交流を深め組合員が何を求めているのかを肌で感じることも目的だ。
 地域では高齢化が進み人口減少も進む。しかし、河合組合長は「高齢であっても人口が少なくてもそこに住んでいる人が元気なことが大事」と語る。そのための実践が女性たちが自らの力で立ちあげてきたさまざまな組織活動。この小さな協同がつながり、生きる・働く・暮らすが一本化した「普段着の農村」を持続させることをめざしている。

 

◇    ◇

 

JAは地域の生命線


河合勝正代表理事組合長河合勝正代表理事組合長に聞く


喜んで参加する組織活動づくりが課題


 基本理念は「東三河の水と緑と食を守る・生かすJA」です。管内は豊川、矢作川、天竜川という3本の1級河川の上流域という全国でも珍しい地域。その意味で下流域のみなさんの生活も含め上流域がしっかりしなければいけないということから、この地域の水と緑、さらには食も地域で最低限の自給をするのは責任でもあり、それをめざしていこうとの思いを基本理念に込めています。
 管内の面積は1000平方kmで愛知県の20%を占めます。しかし、県民740万人に対して6万1000人と1%にも及びません。また、管内1市2町1村は県内70市町村のなかで高齢化率上位5位にすべてが入っています。しかし、高齢化や人口減であってもそこに暮らす人が元気でいることがいちばん大事、全国には1000人でもがんばっている町村があるのですから、この地域もまだ自らの力でやることはたくさんあります。

◆   ◆

 その意味で当JAの女性部は女性たち自らの力で立ち上がって仲間も自分たちで増やしていった組織です。しかもどの組織も活動費は基本的には自賄い、あるいは応益者負担の原則で運営しています。もちろんJAからの若干の助成はありますが、JAが助成するからこういう活動をやってください、ということは一切ありません。内からの活力が非常に生まれていると思います。
 こうした女性を役員に登用しようという取り組みは県下でもいち早く進め、自分たちのことだけではなく地域のことを考えた活動の姿を何としてもJA運営に参画してもらいたいと強い思いがありました。現在は3名ですが理事の2割ほどに増やせないかと考えています。
 JAは合併して大きな組織になり、しかも組合員のみなさんの考え方が多様化してきています。そこで、まずは小さな協同をめざす必要があると思っています。その協同がつながって大きな協同の仕組みを作る、それが総合農協のひとつのめざす方向ではないかと思っています。それを女性部の活動は示していると考えており、喜んで参加する組織活動づくりが今後のJAにとって重要だと考えています。

◆   ◆

 そのためJAとしては事業も大事ですが運動として役割をきちんと果たす人材を育てることが大切だと思っています。心がけているのが「人がなければその人となれ」です。地域に「点」を落とすことができる力を発揮できる人材を育てる必要があります。自分で運動を引っ張る必要はなく、きっかけをつくる、すなわち、事務局能力のある人材だと思います。
 また、自己啓発と同時に相互啓発も重視したい。自らが勉強することはいうまでもなく大事ですが、ともに学びともに育ち合うという精神が大事だと思います。女性部の活動も含め、人と人が協力したり交流するという協同のなかで生まれた知恵や知識を学びとるという職員像も重要でないかと考えています。

◆   ◆

 昨年9月には全国で100歳以上の高齢者が5万人を超えたそうです。そこで調べてみると私たちのJA管内でも33人いました。それをもとに全国平均とくらべてみると私たちの地域は少し長生きの地域だということが分かりました。非常に寿命が延びてきているわけですが、それは高齢者がこの地域を支えていくということでもあります。したがって元気な高齢者、つまり、健康寿命を延ばすということが大事になります。
 高齢者のみなさんが生き生きとして、地域貢献や自己実現など、願いをかなえられるような居場所づくりも考えていく必要がある。
 日本の農地は40%が中山間地域であり、そこで暮らす人がどれだけ生き生きと地域で暮らしていけるか、そのことによって下流域の都市の生活や産業も支えられる。こういう認識で実践を重ねていきたいと考えています。

 


地域興しの絆の原点は女性にある

創立61周年、第58回全国JA女性大会にエールを贈る


今村奈良臣・東大名誉教授


人と接する時は
春のような暖かい心で

仕事をする時は
夏のように燃える心で

物を考える時は
秋のように澄んだ心で

自分を戒める時は
冬のように厳しい心で

 これはJA愛知東の「つくしんぼうの会」の運営するミニデイサービスの一室の壁に張り出されていた言葉である。私はこれを見て強く感動を覚え、第58回JA全国女性大会に参集した皆さんに、この精神を伝えたく、はじめに紹介したわけである。
 「つくしんぼうの会」というのは、植物のつくしんぼうではなく、JA愛知東の管内の南半分に当たる地域の作手(つくで)町、新城(しんしろ)市、鳳来(ほうらい)町の各地の頭文字の読み方を組み合わせて「つくしんぼう」と命名した女性たちの自主的地域活動組織の名称である。
 この「つくしんぼう」は平成10年に高齢者の介護や生活支援などの組織として設立され、設立当初は高齢者の家事支援サービスとミニデイサービスであったが、地元自治体の高齢者生きがい支援活動通所事業を受託したことにより、活動範囲も当初の5地域からいまでは25地域に広がった。
 他方、地元特産のイチゴ、梅、夏みかん、あるいはいもや豆といった多様な農産物をジャムやまんじゅう、惣菜に至るまでのバラエティに富んだ加工食品を生産し、JAの直売所(こんたく長篠)で販売する一方、平成17年から「つくしんぼうルーム」で本格的な弁当作りも始めている。
 「つくしんぼうルーム」というのはJAの旧営農センターを改装し、ミニデイサービスのできる拠点と厨房を兼ねるもので地元食材を基本に高齢者の好みに合わせた弁当を、今では月に500食も作っているのである。
 さらに最近では「もったいない」の精神を発揮し、特産の梅や柿、規格外で市場出荷できない農産物を多彩に活用し「焼き肉のタレ」(地域特産の鳳来牛を生かす)、特産八名丸さといもを原料にしたまんじゅうをはじめ特産品づくりに励んでいる。さらに、JA愛知東が次世代に農と食を伝えようと開催している「こども農学校」の運営にも参画、昼食作りや五平餅、竹筒を利用したバウムクーヘン作りなども指導している。このつくしんぼうの会の活動は、このようにお年寄りから将来を担う児童にまでその活動を拡げ、一言で集約すれば「地域を元気にする」というテーマを追い続けているということができよう。
 さて、JA愛知東の管内面積は広大であり、実に1000平方kmに及び愛知県土の実に5分の1を占めている。管内の北部地域の設楽(したら)町、東栄(とうえい)町、豊根(とよね)村は広大な山間地域にあり過疎化、高齢化が近年急速に進んでいる。しかし、この地域は穀倉地帯東三河の水源地域でもあり、水と緑と食を守るためにもその維持・存続は欠かせない。
 この地域を支える助け合いの自主的組織としてJA愛知東の東栄支店を拠点に活動しているのが、助け合い組織「ドレミの会」である。ミニデイサービス活動をはじめとして、ヘルパー組織活動など多面的に行っている。特に生活習慣病を防ぎ、高齢者のボケなどの予防のために「みんなでウォーキング 一―二―三運動」などが非常に効果をあげているという。「一―二―三運動」というのは(1)毎日1000歩余分に歩こう、(2)2kmまでは歩こう、(3)3階までは歩こう、というもので、効果は非常に大きいという。大会参加者の皆さんの地域でもこの「一―二―三運動」はすぐ始められると思うので、もし必要だと考えたならすぐ実践してみたらどうであろうか。
 このドレミの会のミニデイサービス活動を昨年実績でみると、5地区合計50回で参加者は実に500人にのぼり年々増加傾向にある。
「子ども農学校」のようす こうした「つくしんぼうの会」や「ドレミの会」のように地域に密着した女性の自主的活動とともに、JA愛知東の女性部は915名の部員がおり、通常の女性部活動に加えて、健康づくり運動、地産地消・食農活動、ふれあい活動、次代を担うフレッシュミズスクール、女性大学校など学習の場を充実させているとともに、次代を担う「子ども農学校」の全面的支援活動などを行っている。

◆   ◆

 昨年末のことであったが山口県萩市長の野村興兒氏からこういう話を聞いた。萩市は広大な中山間地域を抱えていることもあり、人口の女性比率は男性より2割多い。また、各レベルのいろいろな選挙をみていても女性の投票率は2割方男性より高い。こういう実態を踏まえると市長は女性の活動の場を拡充・充実させることが責務だと痛感している、と言った。同じことはJAにも言える。JA愛知東の女性活動をみて、萩市長の言葉がずしりと重く私には受け止められた。

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