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【JA愛知県厚生連足助病院】「生き方」が地域をつくる2013年7月26日

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・生活全般を支える病院に
・折り合いを付ける生き方
・病院は「楽しい場所」
・どこで最期をどう迎えるか

 「医療に特化するのではなく、住民の生活全般を支える病院でありたい」と早川院長は語る。ただし「病院が何でもやってくれるというような受け身的な住民では元気な地域にはならない」とも言う。足助病院がめざす「開かれた病院」から見えてくる地域づくりの課題を考えた。

◆生活全般を支える病院に

早川富博・足助病院院長 中山間地域を根絶やしにしないためには人が安心して安全に暮らしていけることが大切で、なかでもどう健康を保つか、です。そのために医療機関が必要ですが、医療だけではなく保健が重きをなします。年をとれば、いろいろ病気が出てきますから、それをどうコントロールするか。
 ただし、人口の少ない中山間地では都市部のように、最先端の医療を行う病院、リハビリに特化する病院といった分業化は不可能ですから、人を総合的にメンテナンスすることが求められます。さらにいえば、生活自体を支える機関でなければならないと考えてきました。生活を支える、とは、ここで生きていく人たちの身体と精神を支えるということになりますが、生活に即していえば食べること、動くことですね。
 食べることについてはここでは自分で野菜など作っている人も多いですが、やはり栄養学的な知識もあったほうがいい。それから毎日農作業をして体を動かしてはいますが、体操に始まる運動生理学的な知識も必要になります。

(写真)
早川富博・足助病院院長

◆折り合いを付ける生き方

タクシーの乗合グループの面々 医療機関はこういう学問的な知識、情報を持っているわけですから、それを予防に活用すればいい。地域の方々にわれわれの知識、ノウハウを伝えていかに啓発するか、それがどこまでできるかが地域全体の健康度を上げることになると考えています。
 ただ、病院が何でもやってくれるという受け身的な住民ばかりでは元気な地域にならないと思っています。われわれは呼び水になるようにいろいろな提案を投げかける。それでディスカッションして考えてほしいということです。

 早川院長の言う“提案の投げかけ”に住民が応えた例が、住民グループによるタクシーの割り勘乗車での来院だ。住民調査をすると日常生活で困っているのは、イノシシなどの獣害に次いで買い物や医療機関受診のための“足”だと分かった。その解決のために集落で車座になって話し合った結果が、自主的なグループによるこの割り勘乗車である。今年から始まり現在6つのグループができた。

 最初は補助金があったため住民の希望通りに運行するデマンドタクシーを走らせたんです。ただ、タクシー会社を自分の都合のいいように利用するだけですから、補助金がなくなれば当然、赤字になる。だから、これでは都市住民の考え方と何ら違わないではないか、と問題を投げかけた。人が少ない地域で自分たちだけで生活しようと思えば、ある程度、妥協し合うとか、哲学者の内山節さんの言う“折り合いをつける”必要があると思います。

(写真)
タクシーの乗合グループの面々


◆病院は「楽しい場所」

 そこで、同じ集落の人であれば同じ日に病院に来ればいい、患者さんの診療科が違っても病院は診察日を合わせるよう調整をします、ということになった。実際、電子カルテを活用すれば、たとえば整形外科にはどの集落から誰が診察に来ているかを集落別にマッピングすることができるわけです。これが病院が情報を持っているという意味です。
 タクシー会社もこの取り組みの心意気を理解してくれて、診察が終わる時間はそれぞれ違うのに、患者がそろうまで待って帰りも乗り合いで送ることに合意してくれました。
 これを実現するためは自主的にグループをつくることを私たちは強調しましたが、結果的に買い物にも一緒に行くようになったという。まさに助け合いですね。

 自主的なグループから希望があれば病院からスタッフが出向き集落で認知症予防教室、身体活動を維持するロコモ教室なども行っている。「地域の自主的なグループができるよう種まきをするのが病院」だという。
 足助病院は6月に改築され、新たに住民のための地域開放室を設置した。その運営は住民主体をめざす。病院入り口にはサロンも。患者のほか学校帰りのバスを待つ高校生たちが談笑している光景もみられた。地域コミュニティの中心でもあるから「病院は楽しい場所でなければ」と言う。

新しくなった足助病院 私は、外来に通うのは予防です、と言っています。血圧や血糖値のコントロールがいいかどうかを見るわけですから。つまり、病院には元気な人が来るということですが、そのためには病院が楽しい場所でなければなりません。サロンで知り合いと話をして半日過ごすのはメンタルにもいい。だから、この地域では辛気くさい場所であってはいけない。私たちがめざしている病院とは、来てよかった、あの人と1か月ぶりに会って面白かった、という場所だということです。
 地域開放室は、たとえばJA女性部にも食事をつくって提供し、来院したお年寄りが楽しむなど活動をしてもらえればと思っています。いずれにしろ病院からお願いするのではなく、地域の人たちが手を上げて、どんどん地域開放室を活用してほしいと考えています。

(写真)
新しくなった足助病院


◆どこで最期をどう迎えるか

 日本はこれから超高齢化社会に向かう。農村地域はその“先進地”でもある。そんな社会での人の生き方、地域のあり方をどう考えればいいのだろう。

 私が外来で診察をする患者さんの平均年齢は80歳を超えていると思います。
 そんなお年寄りには田んぼはやめて人に任せても、自分で食べる野菜類は自分でつくろうと畑仕事をする人が圧倒的に多い。野菜づくりをすれば草取りなど毎日畑に行かないとやはりうまくいかない。
 すごく元気であることは間違いないです。データはありませんが都会の人間と比べるまでもないというのが実感です。腰も足も悪くなるかもしれないですが、自然に接している時間が長く、作る喜びもある。イノシシなどの獣害にあっても、みなさん作っている。「またイモ全部、やられちゃったあ」と言うので、もう止めますか?と聞くと「いや、また作る」です。
 病院では年間に死亡診断書を200人ほど書きます。そのうち事故などを除いた180人ぐらいが病死です。その平均年齢が84歳程度、ただ、死因では老衰が10%ほどになってきました。だから、いかに死ぬかということも見据えていないといけないということだと思います。
 どう死ぬかを考えるということは、どう生きるかということです。たとえば、70歳になったら、これから先どう生きていって最期を迎えたいか、その生活の仕方を決めていく。節目、節目で自分がどういう生活をし、社会の役に立っていけるのかを考えることが大切になると思います。お年寄りに話を聞くと、野菜やイモを作るのは、「子どもや孫が取りに来るからね」、という。自分の食べ物ぐらいは作りたいというだけではなく、やはり張り合いになっている。それを田舎では自然相手にできるということだと思います。
 それは結局、どんな地域社会で暮らしたいのかを考えることでもある。つまり、どう死ぬかを考えると、どんな地域社会にするのかという話につながってくる。命を看ている立場からすれば、この問題こそ地域づくりにつながっていることが分かります。


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