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JAの活動:日本農業の未来を創るために―JAグループの挑戦―

【インタビュー】JAおきなわ代表理事理事長・砂川博紀氏に聞く2013年11月12日

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・経営健全化へ役職員一体
・整備は着々生産の基盤
・認識を共有支店運営委
・生産1千億共販55%へ
・国境を守る離島の役割

 JAおきなわは奈良県、香川県に次ぎ、平成14年、1県1JAとして誕生した。多くの債務超過のJAを抱えた合併で、組合員の出資金を減資したり、役職員は報酬や基本給の3割を出資したりするなど、組合員、役職員ともに大変な苦労を重ねてきた。苦節の10年。いまは経営を確立し、体制を整え、次の10年に向けて飛躍しようとしている。砂川理事長に1県1JAの実現とこれからについて聞いた。

必要な所に必要な投資

◆経営健全化へ役職員一体

JAおきなわ代表理事理事長・砂川博紀氏 県単一JAのJAおきなわが平成14年に誕生して10年余り経過しましたが、最初の5カ年は、事業どころではありませんでした。28JAの3分の1が債務超過に陥り、全国支援を受けるため1県1JAを実現しました。
 しかし、合併時の自己資本比率は6%。JAバンクの定める8%基準をみたさなかったことから、融資規制が課され、貸出金残高が急減しました。
 また、全国支援を受けたことで信用事業再構築計画の策定が義務付けられ、赤字施設の廃止、人員の大幅削減を行いました。こうした中にあって役職員が一体となって経営の健全性に努め、合併5年後の平成18年度末には、貯金残高、貸出金残高も回復し、当期未処分剰余金も確保し、自己資本比率も9.5%を達成することができました。
 この間、地区ごとの営農センターの設置、27から52基幹支店に細分化した支店を統括する地区本部制を導入するなど、体制の整備を進めました。

◆整備は着々生産の基盤

 次の5カ年では、製糖工場やパインの農産加工場、ファーマーズマーケットなどの整備、新設を進めました。特にファーマーズマーケットは、平成17年ころから次々と開設してきました。
 現在、9カ所にありますが、さらに2カ所予定しています。売上高はスタート時の14年の5900万円から、23年には50億円の大台を突破。その後も順調で、25年度は62億円を見込んでいます。
 ほかに農業施設では、19年以降、みかん選果場、マンゴー・トマト選果場、青果物パッキングセンター、ピーマン選果場を各地区に建設。また製糖工場は、3つの島にそれぞれ建設しました。施設は行政がつくり、JAが運営する指定管理者制度を使い、地域の農業の基盤整備を進めてきました。
 “必要な場所に、必要な施設を、必要な規模で”投資をすることができるというところが県単一JAの最大のメリットだと実感しています。合併前であれば、それぞれのJAの規模や経営体力を勘案しながらでなければできなかったことが、県単一JAになったことでこうしたことが可能になったのです。

◆認識を共有支店運営委

 組合員の組織づくりでは、特に青壮年部の躍進がめざましく、合併時には400人弱だった盟友が、今では600人を超えています。作目ごとの生産部会や年金共の会なども整備しました。また支店運営委員会を全支店に設け、支店の課題について認識の共有化に努めています。
 このように合併前半5カ年で体制を整備し、後半5カ年で農業の基盤、経営の基盤整備に努めてきました。その成果は信用・共済事業にも反映しており、今後は安定的に15億円の事業利益を確保し、毎年、20億円程度の当期剰余金を出せるようにしたいと考えています。
 これからの5カ年ですが、今年6月に策定した、平成25?27年度の第5次中期経営計画に示しました。「次代へつなぐ協同」のテーマで、10年ビジョン(なりたい姿)として、キャッチフレーズは「新たな わったーJA」です。「わったー」は沖縄の方言で「私たちの?」という意味で、世代の交代期にある現在、次世代や地域の人々に、自分たちのJAであるという認識を組合員、地域、職員が共有しようということです。
 具体的な経営目標として、組合員の若返りのため、23年度で33%を占める60歳未満の組合員の比率1%アップを挙げました。毎年1歳ずつ年齢が上がるので簡単ではありませんが、具体的な数値を示したのは必ず達成するという決意を込めたものです。それに事業の複数利用率を高めることです。3事業以上の利用者は、23年度で59%ですが、これを27年度には70%に高めます。

◆生産1000億、共販55%へ

 農業生産では、産出額に占めるJAシェアの拡大を挙げました。沖縄の農業産出額は平成6年で1200億円近くありましたが、現在は900億円に達していません。これを計画の最終年度である27年度までに1000億円にして、JAのシェアを51%から55%に拡大する計画です。
 幸い、農業振興の面で近年、行政のバックアップが強化され、県や市町村の「沖縄振興特別交付金」(一括交付金)や「沖縄食肉価格安定特別対策事業」、国の「さとうきび増産基金」が動き出しています。特に一括交付金のなかには、台風などの災害に強い耐候性ハウスの導入、県外出荷に対する運賃助成があり、これを踏まえ、JAでは現在、「地域営農ビジョン」の策定を進めています。市長村の「人・農地プラン」と連動して、25年度内には、すべての支店でこれが出そろいます。

◆国境を守る離島の役割

 いま、我々が一番の心配しているのはTPPの問題です。沖縄にとって、、これは単に農業だけでなく、サトウキビや畜産が自由化されると、多くの離島において島民は生活できなくなり、無人島になってしまいます。我々は、島は国境を守っているという意識もあります。国益のためにもTPPに参加してはなりません。

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