JAの活動:日本農業の未来を創るために―JAグループの挑戦―
【インタビュー】JAみやぎ登米代表理事組合長・榊原勇氏に聞く2013年11月14日
・地域社会全体を担い手に
・生活の場を守る
・JAの存在意義とは?
米価の下落、需要の低迷、生産調整の見直し...など米の生産環境は一層厳しさを増している。JAみやぎ登米は、環境保全米運動をすすめることで農業と地域社会を次代へ継ごうとしている。この運動と、JAを取り巻く環境についてJAみやぎ登米代表理事組合長の榊原勇氏に聞いた。
農村を生産工場にはさせない
◆地域社会全体を担い手に
――JAが環境保全米運動を始めて丸10年が経過しました。運動が定着した要因はなんだと思いますか。
それはひとえに、地域の人たちが支えてくれたからです。環境保全米運動は、地域とともに作り上げてきた運動ですから。
閉塞感が高まる農業政策のなか、地域の人たちが自ら地域を支えていく仕組みをつくらなければ、農業も農村も次代へ引き継ぐことはできません。JAに課せられた使命は、そうした仕組みをどうつくるのか、ということです。
限られた人材の中で農地を守っていくため、大規模化して、担い手に農地を集積しようという動きがあります。しかし大事なのは、その先で、そこに地域の人たちが入っていける仕組みを考えなければ意味がありません。そのやり方は、被雇用でも、事務作業でも、または外から応援するだけでも、どういうやり方でもいい。とにかく地域社会が担い手の一員として参加できなければいけません。
◆生活の場を守る
確かに大規模化してコストを下げれば、ある程度生産は守れるでしょう。しかし、そうした経済活動の追求は、商売としては成功するかもしれませんが、それはもはや農村とは言えません。単なる生産工場です。農村は生産の場であり、同時に生活の場でもあるので、農村社会をそうした場にしないためにも、地域の人たちみんなが参加できる農業生産のシステムをつくらなくてはいけない。それこそがJAの役目です。
――JAとして、次世代の育成をどう考えますか。
いま、考えているのは担い手の研修の場をつくりたい、ということです。私が若い頃は、先進地研修などがあり、現場で経営から栽培技術まですべて学ぶことができましたが、いまでは農業者の数も減り、そういう受け入れが難しくなりました。
だから、学校のようなまとまった研修の場をつくり、そこに次代の担い手が集まり、農業経営のすべてを学べるようなシステムをつくりたいと思っています。そうした場があれば、例えば、農家の子弟でなくてもさまざまな人が農業を継承する可能性が生まれるのではないかと期待しています。
そこで大事になるのは、そうした後継者や次代のリーダーを支えるJA職員です。JAみやぎ登米の青年部には、いま、350人ほどの盟友がいます。女性部も1500人の部員がおり、それぞれ集落や地域で、消防団をはじめ各種の社会奉仕活動に参加しています。これらにはJAの若手職員も多数入っています。次代の担い手とコミュニケーションを密にし、地域と共存しながら、組織や地域のリーダーが自ら育っていく環境を整えていきたいと思います。
◆JAの存在意義とは?
――改めて、地域を守るため、いまJAに求められていることはなんでしょうか。
いま、JAの存在意義が問われています。
はっきり言って、経済事業は販売も購買もさまざまな企業が入っており、信用事業だったら地銀や信金があり、保険や共済でも色々な会社があります。それでは、JAは何のためにあるのでしょうか。
それこそまさに、地域をつくり、次世代に継承するためです。
地域の人たちがつくりあげてきた農村社会を次代へ継承し、地域全体が豊かに暮らせるような社会を創る。そのためにこれからも農協運動をすすめていきたいと思います。
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