JAの活動:しまね協同のつばさ2014
【しまね協同のつばさ】中国研修で連帯感強める2014年2月10日
参加者が研修の成果を語る
・「若い力を新JAに」団長・南山雅之
・「みずからを燃やせ」副団長・坂根拓倫
・「協同の理念が大切」谷口憲治
・「山村の貧困が印象」二岡正和
・「全農の組織力知る」後藤健治
・「農協の重要さ認識」曽根貫
・「先輩の努力感じて」豊田証治
・「職責の重さを痛感」和田守裕
・「率直な意見を交換」橋村祐昭
JAグループ島根は、「めざす10年後のJAの姿」の実現に向け、次代の島根県の農業・JAを担う人材の育成を図ろうと、平成24年から青年層を対象に、県内の農業者とJA職員を海外に派遣する「JAしまね青年研修事業」に取り組んでいる。2期目となる今回は、JA島根おおちの南山雅之組合長を団長に、島根大学の谷口憲治名誉教授、東京農業大学の白石正彦名誉教授など講師陣6人と団員28人の総勢37人が中国を訪れた。内容を報告する。
(写真)
リン鉱石採掘現場で勢ぞろいした「しまね協同のつばさ」の参加メンバー
【しまね協同のつばさ(JAしまね青年研修事業) 日程と内容】
研修初日の1月19日の萬代宣雄・JA島根中央会会長の特別講話を皮切りに、翌20?22日は、JA全農の中国における肥料原料調達の現状を貴州省の瓮福本社で聞き、リン鉱石採掘現場および福建省の瓮福紫金リン安工場を視察。23、24日は在上海日本国総領事館を訪問し、上海市内の自由市場、中国国営の農業試験場などを訪問した。参加者による班別の意見交換(班別討議)、意見発表も行い、6日間の海外視察研修を終えた。
◆若い力を新JAに
団長・南山雅之(JA島根おおち組合長)
海外での集団生活を通じての仲間づくり、さらには、若手農業者とJA・県連職員との一体感が時間の経過と共に強くなってきたことを感じることができました。
団員が4班に分かれて行ったグループ討議では、自由なテーマのなかで熱く議論を交わし、意見発表と、団員が真剣に取り組む姿に接し、島根県の農業・JAを担ってくれる皆さんの頼もしさを強く感じました。そして、私自身、海外視察研修の意義を確認することができました。「しまね協同のつばさ」の継続実施を願うものです。
JAグループ島根は、平成27年3月1日に1県1JAを誕生させるべく協議を進めています。今回研修に参加した若い皆さんの力が、新JAの中で発揮されることを期待しています。
◆みずからを燃やせ
副団長・坂根拓倫(JA島根県青協会長(JA石見銀山))
「組織や人とのつながりを築く」。これは今回の研修の大きな目的の一つでした。総勢40人弱。これが1週間寝食を共にするわけですから、自ずとつながりができます。普段地元で農業をしているだけでは話のできないような人たちとの出会いは、自分の人生にとってかけがえのないものになると思います。
「星星之火、可以火原」。意味は「小さな火花でも荒野を焼き尽くすことができる」。「自ら燃えて、人を燃やせ」の精神です。この研修で築いたつながりや出会いを大切にするだけではなく、そのことによって、さらに自分を奮い立たせてていくことが大事だと思います。
今回の中国研修は不安ばかりでしたが、振り返ってみると、非常によい研修だったと思います。「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、内容の濃い視察や個性の強い人たちとの出会いは、実際体験してみないとわかりません。こうした海外研修の輪が全国に広がって、農協青年部の大きな一つの輪になることを祈念します。
◆協同の理念が大切
谷口憲治(島根大学名誉教授)
「一人は万人のために、万人は一人のために」は、協同組合の基本理念として知られており、今回の中国でのリン酸肥料供給過程を見る海外研修を通じてその重要性とともに、それが信頼性に基づいて築かれていることを体現し、再確認したことは、自身の財産となったし、参加者全員に共通するものであったと確信しています。
一人の農業者が自分自身でリン酸肥料を安定的に手に入れるためには、他人に頼らざるを得ないが、自らが組織する協同組合でそれが可能となっているのです。
それを可能とするのは、農協、全農、農協系統関連企業という組織力であり、先に示した共通理念に基づく信頼関係です。このことを研修の各局面で体現できたといえます。自由競争が国際的に進む今日、この組織力で自らを支えるためにも協同組合らしい独自な効率的経営を常に考え、実行することが求められています。
◆山村の貧困が印象
二岡正和(JAやすぎ)
今回移動距離も長く、いろいろな風景を車窓から見ることが出来ました。驚いたのは、いたるところで高層ビルの建設が進んでいる半面、山村部は時代が遡ったような風景で、貧困な生活がうかがえたことです。
見学先の上海久光デパートでは、全てにおいて高値で販売しており、果物は特に高い印象を受けました。班別意見交換や発表では、若手らしい発想と農業者の本音がいい具合にマッチングし、活発な討議が行われ、大変参考になりました。
見聞を広めることが出来たことはもちろん、県内の仲間と交流を深めたことは今後の財産になると思います。参加された皆さん、それぞれの立場で「やるべきことを一生懸命やる」の心構えで、農業・地域を盛り上げていきましょう。
◆全農の組織力知る
後藤健治(JAくにびき農青連)
今回の研修では、2つの収穫がありました。1つは普段利用している肥料原料がどのようにして調達されているのかを真近で知ることができたこと、2つ目は県内のさまざまな職員や農業者の方々と交流ができたことです。
通常、私たちは肥料原料がどこでどのように調達されているのか意識しないものです。ですが、今回の視察ではリン鉱石鉱山やリン安工場を視察しました。そこの規模は私の想像を超えたものばかりで、圧倒されました。このような場所でリン安が40万tも生産されるのも全農の組織力によるものです。普段利用している肥料の生産の裏には、このようなプロセスがあって資材が安定して供給されているのだと認識させられました。
(写真)
リン安工場で説明を聞くメンバーら
◆農協の重要さ認識
曽根 貫(JA島根おおち)
研修で3つのことを強く感じました。はじめに「人との出会い・交流」です。青年連盟の盟友・連合会・JA役職員など知らなかった人との出会い・交流がありました。
全農と瓮福の信頼関係の強さに驚きました。また、中国では都市と農村の貧富の差を強く感じました。農業協同組合が日本ほど強くなく、「格差社会をなくすには協同組合である。」という谷口先生の講演を聞き、私たち協同組合の役割の重要さを強く感じました。
最後に「百聞は一見にしかず」です。中国についてよいイメージはありませんでしたが、テレビなどで報道されているようなことは全く気にせず、研修できました。自分の目で見て感じることが一番大切だと改めて強く感じました。
◆先輩の努力感じて
豊田証治(JA西いわみ青年連盟)
盟友の方々と共に行動をするなかで、何かとても暖かい絆を感じることができました。改めて盟友という意味を実感でき、貴重な1週間でした。
個々の農家ではなかなか果たせないことでも、盟友が集まり、JA、全農などさまざまな自立した組織を作り、日本の農業を確立するための活動を行ったり、国や行政に働きかけたりの努力の積み重ねの賜物だということを、萬代会長をはじめ、講師の先生方の講義を聞き、とても強く感じることができました。
先輩たちが果たしてきた大きな役割に想いを馳せ、自分自身もただ現状に振り回されることなく、まずは農家としてのやるべき仕事を地道に根気強く続けて行こうと思います。
◆職責の重さを痛感
和田守 裕(JA全農しまね)
現在、販売業務をする中で、この度の中国における全農の肥料仕入れ業務と共通する事項として、関わる企業(販売では卸企業)との「信頼関係」の構築、取引における「安定供給(仕入れ)」の必要性、ロット確保による「コスト低減」などがあります。全農の中でもそれぞれの立場でいかに生産者のメリットを出せるかという、責任のある役割を担っていることに気づきました。
今後、全農職員として、さまざまな視点から貪欲に情報を仕入れ、自らの業務に活かしていく必要があるのだと感じました。
また、今回の研修で最も有意義であったことは、立場は違っても、島根県で農業に携わるさまざまな人に出会えたことだったと思います。グループワークでは、それぞれの立場で同じ方向を向いて、出来る最大限のことをやっていこうという決意も共有することができました。
◆率直な意見を交換
橋村祐昭(JA島根中央会)
今回の研修のメインテーマであったリン鉱石鉱山は、宿泊ホテルからバスで約4時間もかかったが、その迫力に圧倒された。今回の研修のなかで最も印象に残りました。
上海で視察した久光デパートには、日本の製品が多く販売されており、日本の農産物のコーナーもあり、この日は、偶然にも和歌山県のJA紀北かわかみの職員が販売促進活動を行っていました。島根の農産物を積極的にPRし、中国に向けて輸出できるような体制づくりが進めばよいと思いました。
また、今回の研修では、懇親会(夕食会)等を通じて、青年農業者、JA職員といろいろ話をすることができ、交流を深めることができました。特に1県1JAに期待することをテーマとした意見交換会では、青年農業者からJAに対する率直な意見・要望などを聞き、よい意見交換となりました。
(写真)
活発な意見交換で交流が深まった。
(しまね協同のつばさについては以下の記事もご覧ください)
・しまね協同のつばさ 2期目の研修スタート(2014.01.21)
・【レポート】しまね協同のつばさ[1] 田植え真っ盛りの北ベトナムを行く(2013.03.05)
・【レポート】しまね協同のつばさ[2] ベトナムの農業を学ぶ(2013.03.21)
・【レポート】しまね協同のつばさ[3] カンボジアで人々と触れ合う(2013.03.27)
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