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JAの活動:自ら学ぶ職場風土づくりを

【インタビュー】「JA活力ある職場づくり運動」 JA全中教育部樋口直樹部長に聞く2014年3月26日

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・職場内の会話縦割りで減少
・チームで向上職員の満足度
・人が育つ経営基本方針示す

 平成21年の第25回JA全国大会で「活力ある職場づくり運動」が決議されてから4年が経過し、各都道府県段階のJAにおける研究会の設置など、運動の取り組みが徐々に広まっている。JA全中は毎年、全国研究発表会を開き、活力ある職場づくりに取り組むJAの相互研鑚と全国ネットワーク構築を支援している。2月に横浜市で開いた全国研究発表会を踏まえ、JA全中教育部の樋口直樹部長に、活力ある職場づくり運動の取り組みについて聞いた。

◆職場内の会話 縦割りで減少

JA全中教育部・樋口直樹部長 昔のJAは、規模が小さくて職員が少なく、すべての職員の顔が見えた。いわば「ムラ」的な社会だったので、むしろ、いまよりも活力のある職場だったように思う。
 しかしその後、合併でJAの規模が大きくなって事業が多様化。組織が複雑かつ縦割りになって、一人ひとりの職員の顔がみえずらくなった。業績を最優先する雰囲気が支配的で、職場内のコミュニケーションの機会も少なくなってきたのではないか。
 JAにおける活力ある職場づくりは、昭和60年代の小集団(QC)活動の取り組みがあり、県段階では発表大会を開くなどを活発であったが、次第にマンネリ化し、衰退していった。
 そしてバブル崩壊後の”暗黒の10年”。新卒の採用を手控え、職員の年齢構成がいびつになった。それが今も尾を引いている。その上、購買・販売の経済事業の伸び悩み、支店・施設の統廃合、人件費の削減など、経営効率化を最優先せざるをえない状況が続いた。
 このため、人事部門は多忙で、人材の育成が後回しになった。中央会などの研修へ職員を出すだけになり、20?30代との価値観の違いなども表面化した。
 しかし、仕事を通じた職員の満足なくして、組合員の満足は得られない。あるJAのES(職員満足度)調査があるが、それによると、「仕事にやりがいがあるか」の問いに、「はい」と答えた人は64.7%、「JAへのロイヤリティ(帰属意識)があるか」では23.5%、そして「職場に活力があるか」は32.4%だった。

(写真)
JA全中教育部・樋口直樹部長

◆チームで向上 職員の満足度 

活力ある職場づくり、に部内情報の共有化が欠かせない(神奈川県JAはだのの一斉訪問のあとのミーティング) こうした背景から、JA全中では平成20年度から「活力ある職場づくり運動」を提起し、全JAでの取り組みを進めている。その狙いは、[1]職員満足度の向上、[2]組合員ニーズへの対応、組合員との協同、[3]チームでの事業計画、目標達成、[4]職場のマネジメント、[5]不祥事の防止にある。
 この狙いの基本は、縦割りでなく、職場を一つのチームと考えて対応し、成果を共有して職員および組合員の満足度を高めようということ。そのことによって職場内の情報を共有し、風通しをよくして、結果として不祥事の発生を防ごうというものである。
この際、とくに職場のマネジメントを担う管理職の役割が重要になる。
 この狙いは、平成24年の第26回JA全国大会の「次代へつなぐ協同」の決議で、明確に方向付けされた。特に経営基盤戦略のなかで、「組合員満足を高める観点からの職員満足」、「不祥事を未然に防ぐ職場のコミュニケーション」、「『人づくりビジョン』の柱としての『職場づくり』」を取り組むべき課題として挙げ、ひとづくり運動を再構築している。

(写真)
活力ある職場づくり、に部内情報の共有化が欠かせない(神奈川県JAはだのの一斉訪問のあとのミーティング

◆人が育つ経営 基本方針示す

 ビジョンづくりは、取り組み主体がJAであること、自ら学習する職場風土づくり、目標の設定と成果の管理(PDCAマネジメントサイクルの活用)を基本スタンスとしている。
 これを踏まえて、各JAが「人材育成基本方針」を策定するよう勧め、25年に「『人が育つ経営』への転換」で、基本的な考え方を示しました。このなかでJAのトップ(経営者層)、人事担当部署、ミドル(管理者・監督者)の3者を人材育成の主体とする人づくりの戦略ストーリーを提起した。
 トップは経営理念(ミッション)・ビジョン・経営戦略に基づき、人材育成の基本方針を示す。人事担当部署は人材育成のための仕組みづくりとその運用、ミドルは、その部門の仕組み・職場風土づくりを通じた人材を育成しなければならない。それぞれが主体となって取り組むことが必要である。このことは、同時に人事管理制度・教育研修制度・職場環境づくりの3つが綜合的・有機的に連動して人材育成ができるということを示している。なかでも職場環境づくり(活性化)はJAが身近に取り組みを始めることができる。
 なお、活力ある職場づくり運動の成果としては、[1]場(チーム単位)で同じ目標に向かって業務を遂行する、[2]個々人が成長することでチームとしても成長する、[3]職員の働き甲斐を生み、幸せをもたらす、[3]イベントや単発的なものに終らない計画的な取り組みで、組合員満足も向上する、[5]最終的に職場風土を変える推進力になる、などが期待される。

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