JAの活動:JA全国女性大会特集2015
食・農・子育て主軸に自分のスキルアップを JA鳥取中央・山田繭子さん2015年1月23日
山田繭子さんJA鳥取中央女性会フレッシュミズ部会代表、JAとっとり女性協議会フレッシュミズべっぴん部会部会長
・フレミズのよさ1人でできないこと実現
・「シフト制みそ造り」地域の架け橋に
・フェイスブックを活用交流の輪を広げる
・活躍の場づくり、JAが後押しを
・JAは人がつながる場所その良さ広げたい
JAcom1月21日掲載の鼎談「人と人のつながりを活かして、地域を引っ張る女性リーダーに」に登場し、これからのJAと、女性が担う地域づくりについて意見を述べてくれたJA鳥取中央フレッシュミズ部会代表、JAとっとり女性協議会フレッシュミズべっぴん部会部会長の山田繭子さん。地元を訪ね、自身の農業経営やフレッシュミズの活動を取材した。
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鳥取県内のJAフレミズメンバーが集った手芸の会
◆フレミズのよさ 1人でできないこと実現
「わー、かわいくできたね!」「ここはどうやればいいの?」いくつもの明るい笑い声がはじける。雑誌『ちゃぐりん』を教材にした手芸の会。鳥取県内のJAフレッシュミズメンバー5人と子どもたち9人の総勢14人が集う会場は、おもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかさに溢れている。今年の干支である羊のマスコット作りに大人も子どもも夢中だ。
音頭を取るのは、山田繭子さん。平成26年度フレッシュミズの主張全国コンクールで「シフト制みそ造り」などの積極的なフレミズ活動と、インターネット上の交流サイト「フェイスブック」を利用した仲間づくりが評価され、最優秀賞を受賞した。
山田さんが専業農家の夫・孝志さんと結婚したのは14年前。以来、直売所への出荷や学校給食への野菜の提供など、積極的に農業と関わってきたものの、子育てに追われ、JA女性会はどこか遠い存在だった。
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山田繭子さん
◆「シフト制みそ造り」地域の架け橋に
大きな転機となったのは、2011年に香川県で開催された中国四国地区のフレミズ交流集会。自ら活動報告を行い、基調講演や県外の仲間の発表に耳を傾けるうちに、女性会やフレミズ活動の意義がストンと胸に落ちた。そして何より、各地で活躍するたくさんの同世代の女性たちとの新たな出会いから、人とつながることの楽しさを実感したという。
翌年には、フレミズ全国集会の実行委員長を務めることに。実行委員会では、「自分たちにとって“フレミズ”とは何だろう?」ということを、原点に立ち返り考えた。先輩から受け継いだ志と自分自身の思いを反すうするうちに、山田さんのなかに1つの答えが見えた。それは「食・農・子育てを主軸に、自分自身がスキルアップできる場。それがフレミズ」だということ。そして、メンバー同士がつながり合い、集結することで、パワーが何倍にもなって夢が実現できるということを再確認した。
ぶれない軸ができたことで、積極的に「つながること・広げること」を意識して活動するようになった山田さん。その1つが今年3年目となる「シフト制みそ造り」だ。
地域には、昔から伝わる伝統的なみそ造りの技術があり、JA女性部の各支部による「みそ造りの会」は、地域のつながりを作る大切な役割を果たしている。しかしみそ造りは3日間かかりきりの作業が必要で、外に働きに出ている女性や、子どもがまだ小さいお母さんなどは、すべての工程に参加することが難しい。そこで3日間の工程を5つのブロックに分け、どこか可能な時間だけでも参加すればよい、という「シフト制みそ造り」を考えた。
シフト制の導入により、それまで活動から遠のいていた若いお母さんたちも積極的に参加できるようになった。「みそ造りは地域活動に踏み出すよいきっかけになります。フレミズを卒業したら、次は支部のみそ造りへ。それを架け橋にして、さらにJA女性会の活動へとつなげていきたい」
1回のみそ造りで、1家族につき約1年分のみそが出来上がる。一度味わうと、次の年にも必ず欲しくなるほど、手造りのみそは美味しい。「同じフレミズの活動でも、1回きりで終わってしまうものもあります。でもみそ造りは確実に次年度につながっていく継続性のある活動。『みそだけでも造りたい』と、女性会からの脱退の歯止めになるのと同時に、新たな加入を促進する役割も果たしています」
昨年からシフト制みそ造りに参加している松本章代さんには、4歳と1歳の子どもがいる。嫁ぎ先は元スイカ農家だが、両親ともに引退し現在は非農家だ。「みそ造りがしたくてフレミズに入りました。子ども連れでも安心して参加できるから本当にありがたいし、何より楽しい。きっかけはみそ造りでしたが、そこから他の活動にも参加するようになり、JAとの距離が縮まりました」。松本さんは、JA鳥取中央の女性大学「ルミナール」の第4期生。昨年9月に行われた入学式では、新入生を代表して挨拶も行ったという。
(写真)
「シフト制みそ造り」は子どもたちにも人気
◆フェイスブックを活用 交流の輪を広げる
フェイスブックや、スマートフォンアプリ「ライン」を利用した積極的な情報発信で仲間の輪を広げているのも、山田さんの活動の大きな特徴だ。シフト制みそ造りも、フェイスブックにアップするやいなや、地域の女性たちや全国集会などで出会った各地の仲間から、応援メッセージや、自分もやりたいという高評価のコメントが続々と届き、次の活動へのモチベーションになった。「自宅にいながら、全国の仲間とつながることができる。それは大きな力になります。仲間からの提案で新たなアイデアが生まれることもあるし、逆に、相手のフレミズ活動にも役立ってくれたら嬉しい。それぞれがそれぞれの地域でがんばりながら、全国各地の仲間たちからパワーを得て、さらにスキルアップできる。フェイスブックやラインはフレミズ活動を進める上でも、なくてはならないアイテムで私の生活の一部です」
◆活躍の場づくり、JAが後押しを
山田さんは現在43歳、あと1年と少しでフレミズを引退する。残りの1年は役を降りて、一会員としてフレミズ活動を存分に楽しみたいという。
しかし、フレミズを卒業した後のミドル世代のつながりが途切れがちだという現状も。「これまでフレミズで積極的に活動していたメンバーが、支部の女性会のなかで居場所を見つけられずに、JAから離れてしまっては意味がありません。そこで、1JAの枠を超えた鳥取県下3JAで、支部の女性会活動と並行しつつ、フレミズのOGを中心としたミドル層が集える場所を、2?3年かけてつくっていきたい」。山田さんは次の目標もすでに視野に入れている。
「だからこそJAには場づくりを後押ししてほしい」。総合JAならではの様々な引き出しを活用して、彩り豊かな参加の場を提供してもらうことで、JAが地域の日常になり、そこにJAと地域の人々との新たなつながりが生まれる。山田さんはそう考えている。
その1つのアイデアが女性大学とフレミズのコラボだ。「女性大学は毎月1回カリキュラムが組まれているので、今は農閑期に偏りがちなフレミズが、年間を通して活動できるようになり、フレミズ活動の活性化につながるきっかけになると思います」
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山田さんの子どもたち
◆JAは人がつながる場所 その良さ広げたい
フレミズ活動が人生に大きなチャンスをもたらしてくれたと実感する山田さん。だからこそ、多くの女性たちにそのすばらしさを知ってもらいたいと話す。「人がつながり、そこから描いた夢が実現できる、それがフレミズでありJAという組織です。私自身がそうでしたが、参加してみて初めて、その良さが分かる。だから、積極的に活動に加わってそれを体感してほしい」
その一方で「フレミズ活動は、きっかけの1つ」とも。「フレミズや女性会活動は、自分の可能性を広げたり、地域での自分の居場所づくりの1つのきっかけに過ぎません。一度人とつながればどんどん世界は広がっていきます。だからこそ、女性たちには勇気を出して一歩を踏み出してほしい。私も、これからもずっとJAと積極的に関わりながら、地域を盛り上げ、私自身が地域で輝く存在であり続けたいと願っています」。
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