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JAの活動:JA全国女性大会特集2015

女性の「本気」「やる気」「元気」が未来をつくる 文芸アナリスト・大金義昭2015年1月30日

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・世界でいちばん輝いているあなたへ
・「六次産業化」元祖は手だれの女性たち
・やってやれないことはない!
・「新自由主義」に負けない組織づくり

 花のようなあなたの輝きは、輝くJA女性組織やJAの象徴です。「世界一だなんて!」などと驚かないでください。あなたがいま咲かせている花は、世界にたったひとつしかない花だから。
 あなたのJA女性組織やJAも、世界にひとつしかありません。そこが、世界のど真ん中。そのど真ん中の中心にあなたがいて、ステキな花を咲かせています。そんなあなたやJA女性組織やJAがもっと輝いてほしいと、この1月に上梓したのが『楽しいJA女性組織?あなたと仲間がきらめく25の言葉』(家の光協会)です。

◆世界でいちばん輝いているあなたへ

大金義昭氏 40年以上にわたり、JA女性組織の活動から学んできたことを、JA女性組織やJAの未来を切り拓くみなさんにお返ししたい。JA女性組織の未来は、JAの未来。JAの未来は、あなた自身の未来に重なる未来。「えー そんな!」と思われる方にはひとこと。このご時勢に、いささか「本気」度が足りはしませんか。
 人は「社会的な動物」です。人はひとりでは生きられない。どんなに強い人でも、ひとりで出来ることは限られています。だから「こころざしを同じくする」仲間と活動する。そのための目的や目標をみんなで共有しています。その目的や目標を成し遂げるために計画をつくり、役割を分担し、実行し、評価と修正を加えて成果を手にするために活動する。これが組織です。
 JA女性組織やJAが掲げる目的や目標を確かめてみましょう。それぞれの組織の未来が、あなたの未来に重なっている。しかし、手をこまねいては未来が重なりません。優れたリーダーが教えるとおり、「つるし柿のようにぶらさがっていれば、甘くなるというものではない」「みんなで集まって強くなる」参加・参画が不可欠。
 JAグループの弱体化を狙う強権的な「農協改革」が叫ばれるいま、このピンチをチャンスに自主的に改善・改革し、すすんで取り組む「新自由主義に負けない組織づくり」は、JAのみならずJA女性組織にとっても喫緊の課題です。「新自由主義」はすべてを市場競争にゆだね、経済・社会の効率化をはかって貧富の格差をかえりみない思潮です。

(写真)
大金義昭氏

 

◆「六次産業化」元祖は手だれの女性たち

楽しいJA女性組織 花のように輝いているあなたへ。キレイになりたいと思う心が、あなたをいっそう美しくします。キレイになるといっても、親から受け継いだ「造作」が変わるわけではありません。あなたの内面からにじみ出る美しさ。あなたの人格が輝く。わたしたちは親を選べない。でも、人格は選べる。その人格を形成する価値のひとつに、あなたが手にする暮らしの知恵や技があります。心豊かに生きるために、あなたが長年にわたりつちかってきた暮らしの知恵や技こそ、あなたがJA女性組織やJAでキラ☆キラ輝くためのお宝です。
 農商工連携による農業の六次産業化(1次×2次×3次)が語られていますが、女性はその元祖。早くから生産・加工・販売に介護・福祉に、八面六臂の活動を繰り広げてきました。「近代農学の祖」といわれる横井時敬に、「稲のことは稲に聞け。農業のことは農民に聞け」という名言があります。農業の六次産業化や介護・福祉などのソフト・サービス事業・活動については「女性に聞け!」。
 『楽しいJA女性組織』は、たくさんの事例を紹介しています。そのひとつ、『秋田の田舎漬』で知られる秋田県の浅舞婦人漬物研究会は、老舗中の老舗。JA女性組織が母体のひとつです。研究会の二十数種類の漬け物は、気品を備えた芸術品。食味抜群で甘さや塩分を控え、安心・安全に徹して、秋田県版HACCP(ハサップ・食品衛生管理システム)の認証を重ねています。六回に及ぶ農林水産大臣賞に輝く研究会の第三代会長・佐藤征子さんから、先日、こんなお便りをいただきました。


 研究会もお蔭さまで創業45年。このたびのご本をさっそく拝見し、農協の若妻・婦人部時代を昨日のことのように思い出し、久しぶりに心がホッコリとしております。わたし自身が「組織精神」で育てられてきておりますので、心はいつも青春。ふる里の味を守りながら、これからもがんばります。

 秋田県は漬け物文化のメッカ。その美味を育みつづける佐藤さんや仲間のみなさんの志や誇り、「やる気」が伝わってきました。

 

◆やってやれないことはない!

 JA全国女性協の元会長で、いまも親しくおつき合いしている大蔵浜恵さんは「浜っ子」。神奈川県横浜市に生まれ、幼児期に戦禍を逃れて長野県に疎開し、のちに滋賀県大中の湖干拓に入植していた男性に「花嫁第一号」として嫁ぎます。身をもって食糧のたいせつさを体験していたからです。そんな来歴をふり返るさっぱりした口調がさわやかで、おしゃれな女性です。
 大蔵さんによれば、夏場の水浴客に目をつけ、当時としては珍しかったロードサイドでスイカの直売を始め、飛ぶように売れたころは学生アルバイトを雇っても手が足りないほどだったといいます。周囲からは「一風変わった女性」にも見られたとか。
 女性によるそんな直売所が全国各地に見られるようになるのは、JA女性組織が農産物自給運動に取り組むようになってから。「いまどき、自給なんて?」という疑問が寄せられるなか、一気に広がるこの運動は、農家の暮らしを根本から問い直す「生活革命」のようなものでした。
 高度経済成長期を通して暮らしの商品化がすすみ、「消費は美徳」とはやしたてる風潮が蔓延。農家の女性でありながら、パートなどの働きに出てスーパーから野菜や卵を買って帰る暮らしは「おかしい!?」と気づくオイルショックあたりから、急速に広がったのが「暮らしの自給自立運動」でした。有機農業の定着にも一役かっています。
 その顛末は昨年の農業協同組合新聞「JA全国女性大会」特集号(2014年1月20・30日合併号、2218号、JAcom1月29日付【対談】理念を高く掲げて、失敗恐れず挑戦を! 高橋テツ氏・大金義昭氏)の対談で、岩手県・JAいわて花巻の理事を務めていた?橋テツさんが語っています。?橋さんは、JA直営のファーマーズマーケット『母ちゃんハウスだぁすこ』の初代店長も務めています。?橋さんとの対談は『楽しいJA女性組織』にも収録しました。
 ともあれ、一見、アナクロニズムとも思われる農産物自給運動が、自家消費に余る農産物を生み出し、無人市や一〇〇円市、新規の朝市や夕市になり、「地産地消」を旗印にしたJAファーマーズマーケットに発展します。この運動は、北イタリアを発祥の地として欧米に広がったスローフード運動などを先取りしていました。
 いまをときめくJAファーマーズマーケットは、いってみればJA女性組織が元祖。草分けとしての歴史・社会的な評価が、もっと高くていい。「やる気」溢れる女性が支えるJAファーマーズマーケットの勢いはとまりません。
 高知県・JA南国市女性部直販部が運営する「かざぐるま市」は、女性が風となって地域に新しい息吹を吹き込もうと命名。創業17年。直売所の運営や直売所に併設した施設での農産加工、学校・病院への食材提供、仕出し、イベントへの出店などに獅子奮迅の活動を繰り広げています。「やってやれないことはない!」ということですね。

 

◆「新自由主義」に負けない組織づくり

 生老病死の「不安」をあおりたてる「安心」ビジネスが取り巻くなか、地域の暮らしの「あんしん」に「本気」で取り組んでいる長野県・JAあづみの「助け合いネットワーク」は、JAならではの参加・参画型組織です。
「困ったときはおたがいさま」がキーワード。「農と食と健康」をテーマにアイデア尽くしの活動は、JA女性組織が始めました。いまはNPO法人「JAあづみくらしの助け合いネットワークあんしん」となり、JAの高齢者福祉事業・活動と二人三脚の取り組みを展開しています。
 NPO法人の事業は有償の在宅サービスや直売所、移動購買車、ナタネ油の生産・販売、学校給食への食材提供、介護予防の受託事業など。活動はミニデイの「あんしん広場」を中心に、「生き活き塾」「五づくり畑」、朗読ボランティア、菜の花プロジェクト、食農教育、各種イベントの開催など。事業と活動の両面から人と地域に「元気」を広め、「あんしん」して暮らせる里づくりに挑んでいます。
 少子化・次世代対策として浮上している「子育て支援」も、女性の感性や知識、経験なくして地域の要請に応えることができません。JAが「支店単位の協同の輪」を広げるためにも、「小さく産んで大きく育てる」活動の糸口は、無骨な男性の発想が及ぶところではない。手だれの女性の知恵や技が欠かせません。
 JAがモンスーン・アジアの家族農業や地域社会を守る「守護神」として輝く未来を切り拓くためにも、輝く女性の出番です。男性はその出番を後押しし、女性がさらに輝く環境や条件を整える。
 何でもそうですが、「分かるということは、分からないなと思う」こと。男性がいま出来ることは、「女性なしには出来ないな」と思うこと。女性は男性の期待に応え、「本気」と「やる気」と「元気」で、JAや地域社会を担うブランド(信用・信頼・約束)になること。男女のそんな「自己改革」がJAの力強い「突破力」となり、「新自由主義に負けない組織づくり」を実現します。

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