JAの活動:JAトップアンケート 今、農業協同組合がめさずこと
【JAトップアンケート】JA花咲ふくい 冨田勇一代表理事組合長 「水田活用が最重要」2015年10月30日
JAグループは10月15日の第27回JA全国大会で「創造的自己改革への挑戦」のスローガンのもと、「農業者の所得増大」と「農業生産の拡大」「地域の活性化」に全力を尽くすことを決議した。これらの課題を全国各地で地域特性に合わせて実践していくには、各JAトップ層のリーダーシップ発揮が期待される。そこで本紙では「今、農業協同組合がめざすこと」をテーマにJAトップ層の考え、思いを広く発信しJA運動と事業の発展に資すればと考えアンケートを実施した。今回は、JA花咲ふくいの冨田勇一代表理事組合長のご意見を掲載する。
JA花咲ふくい
冨田勇一代表理事組合長
回答日:2015.9.29
【問1】あなたの農協では、農業・地域に対し、どんな役割を果たそうと考えておられますか。今後もっとも重要な役割だとお考えの内容をお書きください。
現在TPP交渉を進めていることからすると、農畜産物の国内需要の低下、価格の低下は避けられない状況にあると思われる。
当組合管内は、園芸中心の丘陵地や砂丘地もあるが、農地の大部分は平野部・中山間地も含めて水田地域である。これまで、特に水田については担い手経営体に農地・農業を集積させてきており、農地・農業が地域のなかでも一部の限られた農業者に集約されることで、これまで地域の農業者で協同して守ってきた農地が保全されなくなる恐れもあると思われる。
上記のことから、水田を活用した農業者の所得確保と農業生産の拡大は農協として最重要の役割と考える。また、これと併せて、行政と連携しての、将来を見据えての多面的機能を持つ農地の維持(耕作放棄地、不作地への対応)も重要と考える。
【問2】問1の役割を果たすうえで、今、農業・地域での最大の課題は何ですか。
農畜産物の需要・価格の低下が避けられない状況のなか、生産コストの低減にも限度があり、将来にわたり「経営の成り立つ農業」を示せるかが課題である。
いろいろな場面で提示される資料では、生産・販売で成功した取組みも一部紹介されているが、すべての農協での取組みが成功するとは考えにくい。農畜産物の輸出拡大などについても、農協・連合会の取組みだけでは全国大会の基本目標達成は非常に困難だと思う。
また、当組合の農業生産関連施設はかなり老朽化しており、必要な施設の集約化を含めて、今後も維持管理することと、農業者への負担をできるだけ少なくすることの両立はかなり困難である。(投資と回収、経営の問題)
いずれにしても、国の基を成す農地・農業の維持、主食の安定確保は、農協と農業者だけでは守れないと考える。
【問3】問2の課題を解決するため、もっとも力を入れようと考えておられることは何ですか。
「安全安心な農畜産物の集荷・保管・販売」といったことから、老朽化した農業生産関連施設については、将来を見据えての集約化を実現すべく検討している。
しかし、大きく転換した農政と農協改革のなかで、将来を見通すのは難しくなっている。
農業者と農協・連合会だけでは成しえない部分は、国や県、市に強く要請していく。
【問4】問3に関連して、第27回JA全国大会議案では「9つの重点実施分野」を掲げています。このうち課題を解決し、貴JAがめざす姿を実現するために、もっとも重要と考えておられる事項を3つあげてください。また、その分野において、どんな取り組みを考えておられるのか、具体的内容をお書きください。
c=付加価値の増大と新たな需要開拓への挑戦
(具体的取組内容)
丘陵地砂丘地、また水田を利用した園芸品目での加工用野菜の作付と6次化商品の開発
d=生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及
(具体的取組内容)
JA独自で持っている実践農場を利用した、低コストの肥料農薬の検証と普及
g=JA事業を通じた生活インフラ機能の発揮、JAくらしの活動を通じた地域コニュニティの活性化
(具体的取組内容)
支店を中心とした協同活動の実践と、JA関係団体(女性部青壮年部等)活動の活性化による地域運動の展開
【問5】第27回JA全国大会を機に、JAトップとして内外に発信したいお考えをお書きください。
グローバル化が進む今後、食糧を他国から買えるうちはいいが、需要が供給を上回る事態となったとき、食糧はお金では買えないものになる。TPP交渉を含めて政府の方針で、いざというときの国益になるのかどうか。
農協改革・農協法改正については、しっかりした議論を重ねて納得できるものとしてほしい。
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