JAの活動:JAトップアンケート 今、農業協同組合がめさずこと
【JAトップアンケート】JAグリーン近江 三井久雄経営役員会会長 「水田フル活用を軸」2015年11月6日
JAグループは10月15日の第27回JA全国大会で「創造的自己改革への挑戦」のスローガンのもと、「農業者の所得増大」と「農業生産の拡大」「地域の活性化」に全力を尽くすことを決議した。これらの課題を全国各地で地域特性に合わせて実践していくには、各JAトップ層のリーダーシップ発揮が期待される。そこで本紙では「今、農業協同組合がめざすこと」をテーマにJAトップ層の考え、思いを広く発信しJA運動と事業の発展に資すればと考えアンケートを実施した。今回は、JAグリーン近江の三井久雄経営役員会会長のご意見を掲載する。
JAグリーン近江
三井久雄経営役員会会長
回答日:2015.9.30
【問1】あなたの農協では、農業・地域に対し、どんな役割を果たそうと考えておられますか。今後もっとも重要な役割だとお考えの内容をお書きください。
農業が曲がり角といわれて久しいが、いつの時代も農業者は国民の食糧と自らの暮らし生活を守ってきた。
しかし、日本の経済成長と共に農業の中に暮らしや生活があった時代から、暮らしや生活の中に農業がある時代に変わって来た。
さらに、近年グローバル化の進展による、市場競争主義の中にあって、農業構造の大きな変化と共に兼業化率94%と非常に高い土地利用型農業を中心とする当JAにあって、高齢化や農業者の減少は、JAの運営や経営管理にも影響してきており、総合農協としての領域を改めて認識し、今日までの内向きから、外向きの変化が必要と感じている。
この様ななかにあって、兼業農家、高齢者を農業につなぎとめる方策が重要と考え、水田農業地帯にとって農業者がそれぞれの能力に応じた参加による所得の増大と生産拡大が地域活性化にもつながると考える。
農協の経営管理の上からも、環境対応から環境適応にあると言える。
【問2】問1の役割を果たすうえで、今、農業・地域での最大の課題は何ですか。
兼業による土地利用型農業を主とする地域にあって、農業者の所得増大を図るには、コストの低減と規模の経済が働く農業形態からして、共同化の方法を行政、JAグループが一体となって、集落の特定農業団体化や個別規模拡大農家の促進に取組んで来た。また法人化の支援にもTACにより積極的に取組み、JA出資型法人も間もなく100法人になる見込みである。
このことは集落機能の維持や農家・組合員の農機への投資コストを押え、農業所得の確保、そして地域のコミュニティに貢献してきた。
しかし、団体間には経営手法の違いや方針に差が生じてきているのも事実である。
水田農業地帯にあって、農業所得の増大や生活の拡大を図るには、個別大規模・家族農業者を含めた多様な経営体が、販売高を上げて行く事が大事であると考える。そのためには土地という資本の効率、特に水田の多重活用を図ることが課題であると思っている。
また、同時に多品種少量生産を選択する生産者と少品種多量生産を選択するタイプの異なる生産者への支援をどう両立させて行くのかも課題である。
【問3】問2の課題を解決するため、もっとも力を入れようと考えておられることは何ですか。
1つは現在の農作物の流通過程では、生産者のリスクに応じたリターンが少ないと感じる。リターンを増すには附加価値を高める必然性があるが、同時に販売業者や消費者に農作物の抱えるリスクを分担してもらうために、JAとして何が出来るかを真剣に議論する時期に来ているのではないか。
持続可能な農業経営を維持して行くにはどうしたらよいかとの観点から、気象変動等のリスクや生産者、JAグループは年間当りどれ位の金額を負担しているのか。実態を開示することを始めてはと考える。
2つ目は、農業経営について、資本の回転率が悪すぎる。農業の効率を高めるには、単に規模を大きくすればよいわけでない。農地をいかに多重活用するかも競争力を左右する。水田をフル活用する工夫が重要だと思っている。
ちなみに本県の耕地利用率は2013年時点で99.6%でトップの佐賀県は131.3%である。
当JAも複合への取組みを推進していく考えである。
3つ目に、再生産価格を算出し、コスト削減の手だてや、販売上の有効活用、経営管理の支援が必要と考える。
最後に、JAが地域協同組合として、総合事業を展開して行く中で、シナジー効果の薄い組織であるが、地域住民を取り込むことで高いシナジーが存在して行くと思われ、地域農業の振興に継がれることであると思考する。
【問4】問3に関連して、第27回JA全国大会議案では「9つの重点実施分野」を掲げています。このうち課題を解決し、貴JAがめざす姿を実現するために、もっとも重要と考えておられる事項を3つあげてください。また、その分野において、どんな取り組みを考えておられるのか、具体的内容をお書きください。
b=マーケットインに基づく生産・販売事業方式への転換
(具体的取組内容)
(1)複合経営の推進
(2)多様な販売方式
d=生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及
(具体的取組内容)
(1)多様な仕入方法と供給方法
(2)肥料のPB→NB、BBの検討
g=JA事業を通じた生活インフラ機能の発揮、JAくらしの活動を通じた地域コニュニティの活性化
(具体的取組内容)
(1)支店協同活働の充実
(2)高齢者の福祉
(3)食農教育等々
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(150)-改正食料・農業・農村基本法(36)-2025年7月12日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(67)【防除学習帖】第306回2025年7月12日
-
農薬の正しい使い方(40)【今さら聞けない営農情報】第306回2025年7月12日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 茨城県2025年7月11日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月11日
-
【注意報】果樹に大型カメムシ類 果実被害多発のおそれ 北海道2025年7月11日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 福島県2025年7月11日
-
【注意報】おうとう褐色せん孔病 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】出会いの大切さ確信 共済事業部門・全国共済農協連静岡県本部会長 鈴木政成氏2025年7月11日
-
【第46回農協人文化賞】農協運動 LAが原点 共済事業部門・千葉県・山武郡市農協常務 鈴木憲氏2025年7月11日
-
政府備蓄米 全農の出荷済数量 80%2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA加賀(石川) 道田肇氏(6/21就任) ふるさとの食と農を守る2025年7月11日
-
【'25新組合長に聞く】JA新みやぎ(宮城) 小野寺克己氏(6/27就任) 米価急落防ぐのは国の責任2025年7月11日
-
(443)矛盾撞着:ローカル食材のグローバル・ブランディング【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月11日
-
【2025国際協同組合年】協同組合の父 賀川豊彦とSDGs 連続シンポ第4回第二部2025年7月11日
-
米で5年間の事前契約を導入したJA常総ひかり 令和7年産米の10%強、集荷も前年比10%増に JA全農が視察会2025年7月11日
-
旬の味求め メロン直売所大盛況 JA鶴岡2025年7月11日
-
腐植酸苦土肥料「アヅミン」、JAタウンで家庭菜園向け小袋サイズを販売開始 デンカ2025年7月11日
-
農業・漁業の人手不足解消へ 夏休み「一次産業 おてつたび特集」開始2025年7月11日
-
政府備蓄米 全国のホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」で12日から販売開始2025年7月11日