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JAの活動:JAトップアンケート 今、農業協同組合がめさずこと

【JAトップアンケート】JA兵庫みらい 稲葉洋代表理事組合長 「地域貢献エリアの拡大」2015年11月11日

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 今回は、JA兵庫みらいの稲葉洋代表理事組合長のご意見を掲載する。

JA兵庫みらい 稲葉洋代表理事組合長JA兵庫みらい
稲葉洋代表理事組合長

回答日:2015.9.30


【問1】あなたの農協では、農業・地域に対し、どんな役割を果たそうと考えておられますか。今後もっとも重要な役割だとお考えの内容をお書きください。
 (1)地域の農業に対して
 JAとして地域農業を守ることができなくなれば、JAの役目は終わると考える。何としてでも、現状の農業を維持し地域農産物を守ることにより、農地の荒廃を防ぎたい。
 そのためには、「農地利用集積円滑化団体の認定を受け、農地貸借並びに農地売買に関わることで農業と農地を守る」「農地生産法人として自ら農業生産に関わる事」が重要と考える。
 つまり、JAはあくまでも地域農業の牽引者として農地を守り、地域特産農産物を守ることが使命である。
 (2)地域貢献エリアの拡大
 正組合員地域での地域貢献活動は定着しつつあり、JAの地域におけるスタンスや認知度は高まっていることから、今後はJAの地域で支店などのない、いわゆる准組合員地域に対し支店などの拠点を設け、事業活動と共に地域貢献活動を行い、JAを認知してもらい利用していただくことで、地域貢献エリアの範囲が拡大でき、JA管内全体の活性化に繋がると考える。
 さらに、高齢化社会が進むなか、独居高齢者や買い物難民と言われる方の利便を考えた福祉貢献活動が必要と考える。


【問2】問1の役割を果たすうえで、今、農業・地域での最大の課題は何ですか。
 農業従事者の高齢化に伴い個々の農業は勿論、営農組合組織も近い将来後継者不足に陥り、農業は崩壊し農地が荒廃する事は明らかである。
 なぜ農業は後継者が育たないのか。これは、数十年前から新規就農者対策をとっているにもかかわらず効果が表れていないことから歴然としている。
 米を始めとした農業生産物の価格体系が、日本農業の希望を無くしているのである。
 個人や営農組織が努力しても農業では食べていけない現状では、後継者が育つことはない。
 生き残ることができるのは、大企業が自ら生産し自社で販売する、または加工して販売するなどの「企業農業」だけだと考えられる。
 その結果、その他の農業は淘汰され、同時に個人並びに地域営農組合の農地は荒廃の一途を辿るのではないか。
 これは農地の資産価値にも現れており、都市近郊農地と違い中山間地の農地を所有する農家は他からの所得を投入し、辛うじて耕作を続けているのが現状であり、例えその農地を譲渡するケースがあったとしても売買は難しく、農地を維持管理するのが負担であることから、誰も新たに農地を取得し農業生産に向かう者はいない。
 中山間地の農地は売買すら出来ない低価値であり、農地を所有している事は今や負担と考える時代となっている現状のなか、どのようにして農村地帯を守るのか大きな問題となっている。
 街がシャッター通り化するのも問題だが、それ以上に、農地が草むらに埋もれてしまうのは、地域の疲弊だけではなく、地域の消滅にも繋がり得ることであり、国の目的としている地域創生に逆行するのではないか。


【問3】問2の課題を解決するため、もっとも力を入れようと考えておられることは何ですか。
 1.先ず大規模化・集約化が進んでいない地域に出向き、地域農業の現状を把握し、地域の皆さんと共に将来に向けた方向付けが出来るよう協議・検討することが必要。
 (JAによる地域農業の現状把握により将来に向けた地域農業への支援活動に繋がる)
 2.JAおよびJAの子会社(アグリ会社)が地域の協力者を募り、営農作業集団を組織して、不耕作地の管理を行い農地の荒廃を防ぐ。
 3.JAが施設(ハウス)を建設し、JAが主体となり農家と共に農産物生産に取り組み、軌道に乗れば農家生産者に譲渡し経営を任せる。
 この事業を実施するにはJAの費用負担が大きくなるが、各市町並びに県や国からの負担軽減のための支援が必要となる。


【問4】問3に関連して、第27回JA全国大会議案では「9つの重点実施分野」を掲げています。このうち課題を解決し、貴JAがめざす姿を実現するために、もっとも重要と考えておられる事項を3つあげてください。また、その分野において、どんな取り組みを考えておられるのか、具体的内容をお書きください。

JA大会_重点実施9分野a=担い手経営体における個別対応
(具体的取組内容)
・担い手も農業経営は厳しいものがあるので、JAとしては農業施設(ハウス等)の建設に対して、金額に上限はあるが事業費の50%の支援をしていく。国や県の補助金が出る場合でも可能な限り支援をしていかなければならない。
・現状の農業を継続する為には、施設及び大型農機具の導入は全て国や県及び市町そしてJAが支援しなければ難しい。

e=新たな担い手の育成や担い手のレベルアップ対策
(具体的取組内容)
 ・生産者の高齢化に伴い地域特産農産物(野菜や花卉類)の生産量が減少傾向にある為、生産者がリタイアしてしまうまでに新規就農者並びに後継者を募集し、JA職員と共に指導を受けほ場に教室を設けて取り組んでいく。
 ・JA管内に国と県の補助金により設置された次世代施設モデル団地(大規模トマトハウス)に参画しているが、JAとして数ヶ月間他の施設園芸で研修させた職員を出向させ、将来JA管内で施設園芸を志す農家が表れた場合に支援が出来るよう、あるいはJAとして施設園芸建設により農業生産に取り組む場合の担い手育成(指導者育成)の準備を始めている。

i=准組合員の「農」に基づくメンバーシップの強化
(具体的取組内容)
 ・今年住宅団地への信用店舗を新規出店したが、今後はJAとして既に取り組んでいる地域ふれあい活動をこの地域にも拡大させ、地域の准組合員をJAファンとする。
 ・総合事業を生かすため住宅団地支店に地域農産物を展示し販売する事で、准組合員にJAと地域特産農産物を知っていただき、農業地域と住宅地域を結び付け、両地域の活性化に結び付ける。
 ・既に取り組んでいる地区別座談会を准組合員地区でも開催し、JAに対する意見を聞く場を作りJA運営の参考とする。
 ・准組合員へのシフトが進む今、准組合員の意見を反映させJA運営への参画を農協改革のなかで進める必要がある。(理事選出枠の拡大と増員)

【問5】第27回JA全国大会を機に、JAトップとして内外に発信したいお考えをお書きください。
 (1)日本の農地は大規模集積できる面積は少なく、中山間地をはじめとして集積できない農地が多くあり、大規模農家と小規模農業が併存するのが日本の農業であり、日本の農地の在り方だと思われる。
 大規模農業だけを求めればいずれ小規模農業は行き止まり、農地の荒廃は目に見えており、農村風景と言われる景観や農地の多面的機能は失われる。
 企業農業は継続できるかもしれないが、それ以外の農業に対しては生産物に対する価格補填(補償)が必要であり、同時に農業施設や大型農機具に対する支援が必要になる。
 現在実施されている多面的な機能に対する支払いも重要だが、これからの地域農業を守り農作物を維持するには農家(営農組織)への直接支払いによる補填が必要である。
 同様にJAとしても子会社などで農作業を請負、今後農地を引き受ける事は必要になるが、個人(営農組織)の農家にとっても負担であるように、農作業の請負と農地を引き受け管理するのはJAとして大きな負担となる。
 担い手となり農業を続ける個人並びに組織には、国による支援が不可欠であり、支援なしでは日本の農業を維持継続することは出来ないと考える。
 農業に関わり生産を続けていく、農家・営農組織には、その経営スタイルに応じた改善を求め続け、農家・営農組織もそれに応えることを前提に国は税金の投入による農業への支援をしなければならない。
 日本の食料を維持し守るためには、国は農業(農家)に対する支援の必要性と施策を国民に対して明確に発信していただきたい。(法制化が必要)
 マイナンバー制度が実施されれば、農業生産量や農業所得は明らかになると思うので、個人や営農組合を問わず、農業経営への支援や生産物に対する価格補填は十分可能になるはず。
 (2)JAは農業に力を入れていないと言われるが、例えば稲の育苗センター・乾燥調製施設(CE/RC)の建設費や年間の維持管理は莫大な資金が必要になる。JAの子会社が行う農作業請負事業についても、JA本体から役員や社員の出向により人件費を縮減しているが、経営としては毎年赤字が連続し会社としては成り立たない状況にある。
 個人や営農組合の農業が経営難に陥り、他の所得から補填して運営が維持出来るのと同様に、JAの子会社であるアグリ事業もJA本体からの資金援助なしでは経営を維持できない。
 これらの農業者の苦労や、JAの農業に対しての取り組みを理解せずに、JAは農業に対して力を入れていないとは言ってほしくない。
 戦後から現在までの日本の農業を守ってきたのは国とJAなので、国も全面的な農業支援を行う、JAも地域農業を守るためにはこれまで以上の努力が求められることから、国とJAがこれまでの関係を更に改善し、新しい時代の農業をどのように守り進めていくのか早急な検討が求められる。
 (3)食料自給率の問題
 安全保障法案に対する議論が止まないが、何故国の安全保障を改革する前に食糧問題を第一に考えないのか、食料の安全保障は国民にとって最重要な事柄であり、国の安全保障を進めるためには先ず国民の食料を確保することが重要になり、国民の国産農産物への理解度を高めなければならない。
 最低でも50%の食料自給率を維持しなければ国の安全保障も先行きは大きな不安を抱える。
 バイジャパニーズ運動を展開しながら日本の食材を見直し、高くても安全安心な国産農産物を買うと言う、国民に対する愛国心を浸透させなければならない。

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