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JAの活動:JAトップアンケート 今、農業協同組合がめさずこと

【JAトップアンケート】JAえひめ南 黒田義人代表理事組合長 「地域産業連関の要に」2015年12月17日

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 今回は、JAえひめ南の黒田義人代表理事組合長のご意見を掲載する。

JAえひめ南 黒田義人代表理事組合長JAえひめ南
黒田義人代表理事組合長

回答日:2015.10.7


【問1】あなたの農協では、農業・地域に対し、どんな役割を果たそうと考えておられますか。今後もっとも重要な役割だとお考えの内容をお書きください。
 第27回JA全国大会dえ決議される予定の3つの基本目標[1]「農業者の所得増大」[2]「農業生産の拡大」[3]「地域の活性化の実現」


【問2】問1の役割を果たすうえで、今、農業・地域での最大の課題は何ですか。
[1]少子高齢化と多死、他出による人口減少
[2]全国展開の大資本による生産と物流の垂直統合が進み、地場諸産業の衰退や地域産業連環の崩壊が止まらず、管内通貨供給量、取引機会、就業機会が減少している。
[3]このことが兼業農業の成立を阻害し、地域人口扶養力を減退させ続け、後継者無き高齢化に拍車をかける。この悪循環が基本3目標の前に立ちはだかる壁となっている。


【問3】問2の課題を解決するため、もっとも力を入れようと考えておられることは何ですか。
 農協こそは、管内最大の地場産業である。地域産業連環の要たりうる潜在能力を保持している。農協の経営を盤石のものとし、地域農業振興投資に耐えうる財務内容を実現することが必要である。農協経営健全度の向上と農家所得向上ならびに地域活性化は、元来、相互に手段・方法と結果との牽連関係にあり、これを強く意識した中期経営計画を策定し、組合員のご理解とご支持のもとにPDCAサイクルを回すことに注力したい。


【問4】問3に関連して、第27回JA全国大会議案では「9つの重点実施分野」を掲げています。このうち課題を解決し、貴JAがめざす姿を実現するために、もっとも重要と考えておられる事項を3つあげてください。また、その分野において、どんな取り組みを考えておられるのか、具体的内容をお書きください。

JA大会_重点実施9分野b=マーケットインに基づく生産・販売事業方式への転換
(具体的取組内容)
沿海島嶼部の柑橘においては、既にこの方式が定着している。共選場ごとの柑橘共販には、関東以北の市場への売り込みに毎年多大な人的エネルギーを注入し、成果還元力が定着している。また新規作目のブラッドオレンジについては、栽培適地性を生かし、国内のかなりの部分を産出しているが、プロダクトアウト圧力をマーケットイン推力に転換し、予算をつけて多様なセールスプロモーションを積み重ね、一定の外部評価を得、生産農家の期待に応えつつある。内部にベンチマーキングの好適モデルがあるので中山間地の農作物に応用していきたい。

c=付加価値の増大と新たな需要開拓への挑戦
(具体的取組内容)
これも柑橘においては既に取り組んでいる。青果としてではなく、ジュース、ドライフルーツなどへの加工が付加価値を生んでいる。それも地場の業者との連携部分もあり、地域産業連環を形成している。中山間地の果実においてもこの取組みがある。これは、国産にこだわる県外企業との連携であるが、市場外流通として販路多様化に踏み込んでいる。中山間地の野菜の加工販売や集出荷施設の管内統合も検討している。

g=JA事業を通じた生活インフラ機能の発揮、JAくらしの活動を通じた地域コミュニティの活性化
(具体的取組内容)
支所生活店舗事業の収益確保が困難になる中で、店舗集約も避けて通れない経営課題である。地元の利便性をなるべく損なわないようにすべきとの考えから、軽トラックに保冷庫を搭載し、予め時間と場所をお知らせし、生活店舗の代替としている。国の補助事業や愛媛県信連の助成をうけてのことである。今年度3台目を導入し、地元の支持をいただいている。またYショップ化も3店で実施している。信用店舗集約も続けているが、一定の要員を配し、ATMだけにはしないように努めている。「必要性の経済」という観点からも考えなければ、相互扶助の理念が形骸化し、組合員結集力が衰微する。


【問5】第27回JA全国大会を機に、JAトップとして内外に発信したいお考えをお書きください。
 家族農業は、全国的垂直統合になじみ難く、近隣相互扶助になじみ易いものです。社会は元来協調しあい平和を求めるものです。このまっすぐな自然な必然性から生成される心情に支えられて健やかな家族生活が成立します。生業を営むありふれた家族日常の中で子は見聞し感化されつつ育ち育てられ、親も子育てによってあるいは家族介護によって人として生育を続けます。
 産業革命以来、それまで広汎に存在した独立自営業が淘汰され続け、雇用される人口が増加の一途をたどっています。上命下達の世界で生計の原資を得なければならない人や家族が増えて都市集住は膨張してきました。工場制機械工業や分業制がもたらした成果累積により現代が出現しましたが、この時代の中で幸福人口比は、案外小さいのかもしれません。そう、幸福は計数的把握になじむよりは、人の実感によって発生・変更・消滅を繰り返すもの、極めて主観的であり、その本質は心の内なるものと言えます。
 経世済民の営為であるべき経済が最大限の利潤追及の考えのみで牛耳られてゆけば、「夕鶴」の悲しげな飛翔に至ることでしょう。救済の恩義に報いるため献身を続ける幸せが、強欲と背信によって踏みにじられたのです。
 小国や発展途上国も経済大国も同じルールでやれ、ということになれば、形式的公平は整いますが、実質的公平は損なわれます。たとえば累進課税など弱者と強者の関係調整に意を用いる仕組みが共存共栄を担保するのに、この国はより強大な経済大国と同調してしまいました。諸国民の心情に失望が広がることをおそれます。
 お互いにとって郷愁という欲得無き感情の源泉である生活圏域の自然と調和として営まれてきたこの国の地域の家族農業を支えることは、国民精神の健全性の後背守護の大事業であると思います。永続的国益も国際平和もここに兆すのであり、積極的試行錯誤を以て内外の荒波を乗り越え、農協運動の全国的結集軸の再構築と基本3目標が成就されることを強く念願いたします。

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