JAの活動:より近く より深く より前へ JA全農3カ年計画がめざすもの
マーケットインによる生産振興と販売力強化(下) 全農園芸総合対策部 野崎和美部長2016年8月26日
実需者に近いエリアで産地づくり
◆一次二次加工施設設置 簡便化ニーズへの提案
――外食や中食など実需者への具体的な対応としては...
外食・中食実需者への対応を強化するために、サプライヤー会社との連携強化や、コンビニ対応ベンダー会社・食品加工会社への一次加工品供給のための一次・二次加工施設の設置や、食品メーカーとの連携により加工機能をさらに拡充していきます。
――昨年のキユーピーと合弁会社を設立したのもその一環ですね。
業務用カット野菜メーカーとして設立した(株)グリーンメッセージが、昨年5月に稼動し、カット野菜事業に本格的に進出しました。
また、コンビニのベンダー会社や食品加工会社では、工場内の作業員不足から稼働率が落ちていますが、この稼働率向上のためにキャベツの半割など、一次下処理の外部化が進められてきています。こうしたニーズに応えるために、この8月10日、群馬県本部が前橋市場内に、キャベツの半割をする一次加工センターを設置しました。
(株)グリーンメッセージや一次加工センターでは、こうした業務のノウハウを吸収し産地育成につなげることで「畑づくりから加工業務用需要」につなげていきたいと考えています。
◆周年安定供給体制構築 トータルコスト削減
――直販事業の拡大については...。
JA全農青果センター(株)のコールドチェーンや包装加工・物流機能の活用と利用結集による大消費地での販売強化、県域での直販施設拡充によ直販事業の拡大によって、30年度、3300億円の取扱いを目標にしています。
――直販事業では、ブロック別の取り組みもされていますね。
全国5ブロック(東北、関東甲信越、東海北陸近畿、中国四国、九州)で、県JA・県連・県本部と「直販連絡会議」を組織し、惣菜業なども含めてブロック内実需者との合同商談や情報交換などでニーズを把握。それにもとづいた「実需者に近いエリアでの産地づくり」や、周年安定供給体制の構築も強化していこうと取組んでいます。
なお、産地づくりにあたっては、JA生産部会・大規模生産者・法人経営への契約栽培や水田での露地野菜生産の提案など「農家手取りの最大化に向けたトータルコスト削減の取り組み」(27年2月、生産資材委員会で審議・承認)と一体的に進めています。
――産地づくりをするために、県本部ではさまざまな地域生産振興への取り組みがされていると聞いておりますが...。
加工業務用野菜の生産と販売に岩手や秋田など15県で取組んでいますが、JA出資型法人への支援、品目日本一を目指す取り組みなど「露地野菜」の生産振興に29県域が取組んでいます。
「施設野菜」では、全農型高度施設園芸事業モデル、水稲育苗ハウスの後利用・うぃずOne、イチゴの研修農場、FOEASの導入などに14県域が取組んでいます。
また、「果樹」でも新品種の作付などに9県域で取組まれています。
◆パートナー市場の選定 低コスト流通体制構築
――市場機能の有効な活用も園芸事業の大事な課題だと思いますが...
卸売市場別のビジネスモデル構築を目玉とする第10次卸売市場整備基本方針が今年4月からスタートしましたので、各市場ごとに策定されたビジネスモデルをよく精査したうえで、産地がパートナー市場を選定し連携して販売を進めて行きます。
加工業務用ニーズへの取組みも、予約相対取引など実需者を明確化して契約取引に取組み、生産者の所得最大化に向けて強化していきます。
――市場対応も含めて、JAグループとしては、低コスト流通体制をいかに構築するかも大きな課題の一つですね。
昭和の時代に建設されたJAの集出荷施設の老朽化が進んでおり、JA施設の統廃合に加えて、JA域を超えた広域集出荷施設の設置などによって、県域流通の再構築を図っていくことが、この3か年の重要なポイントになってきます。
さらに、労力軽減に向けた規格の簡素化、出荷容器の効率化などによって出荷コストの低減をはかり、生産者の所得向上を目指していきます。
さらに、最近の深刻なドライバー不足など青果物流通の課題解決に向けて、貨物・船舶輸送の活用などモーダルシフトへの取組みも重要だと考えています。また、産地や消費地へのストックポイント設置による共同配送体制なども検討していきます。
こうした施策に、スピードをあげて取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。
(写真)JA全農園芸総合対策部 野崎和美 部長
・マーケットインによる生産振興と販売力強化 (上) (下)
※野崎和美氏の「崎」の字は正式には異体字です。
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