JAの活動:今こそ農業界の事業承継を
【JAの事業承継】欠かせぬ事業間連携とプラットホーム(JA鹿児島県中央会)2018年3月9日
JA鹿児島県中央会における事業承継は、JAの大規模・法人対策を支援することを目的に平成21年に設置された「担い手・法人サポートセンター」が本格的な取り組みの始まりといってよい。
センターを構成するのは、営農企画課と担い手推進課だ。そして、その取り組みを必要とする「共同取組JA」とともに「共同取組同意書」による体制整備を行いながら実践してきた点が特徴だ。現在、同意書を提出しているのは県内15JA中、10JAである。
サポートセンターの役割は、組合員・JA・各県連が共通認識をもちながら自己改革の実現へ取り組むとともに、自治体や県振興局などとの連携強化を図ることにある。そしてセンターは、横断的なプラットホームとしての機能を発揮する場でもある。
共同取組10JAでは、JA管内の実態に応じて、JA職員とサポート職員が同行訪問する定例訪問先のリストアップを行い、「組合員の声を聴く運動」を実践。そしてこの定例訪問を通して「夢」と「課題」の共有化に取り組み、事業提案による夢の実現や課題解決に取り組んできた。
センターを設立してからの7年間の累計で同行訪問を4069回行う中で、販売・購買事業、経営支援、営農指導を中心に8794件の要望などを収集した。
事業承継の実施では、法人化を志向する農家に対し、JAや関係機関に加え、税理士や社会保険労務士などの専門家も交え、法人化のメリット・デメリット、手続きなどを丁寧に説明、法人化までのスケジュール策定などの支援を行うとともに、法人化後の事業支援、経営支援も併せて行った。その結果、8年間で36法人の設立支援を実施し、166件の設立相談に応じることができた。
桐原章センター長は「プラットホームとは、いわば『とまり木』のようなもの」という。つまり、組合員がサポートセンターに信頼感を寄せ、実際に何でも相談してくれる場として認識してもらえれば、センターの役割は半ば果たせたことと同じだと桐原さんは考える。根底にあるのは、組合員から「選ばれる、頼られる、真っ先に相談される」JAを実現しようとする熱意だ。
桐原さん自身、これまでの取り組みには手応えを感じている一方、サポートセンターに対する認知度はまだまだ低いとも感じている。今後は、旗印をより鮮明に高く上げ、組合員が気楽に相談できるような雰囲気づくりが大切で、それには温かく出迎える姿勢と、こちらから積極的に出向く両輪の動きが欠かせないとも語る。
JA鹿児島県中央会では今後もグループ全体の総合力の発揮と事業間連携を進めることで、円滑な事業承継をめざし、夢のある農業の未来を築いていく考えだ。
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