JAの活動:第40回農協人文化賞-わが体験と抱負
【共済事業部門受賞】共済事業はJAの土台 佐々木 福栄・JA八戸代表理事組合長2018年7月17日
7月5日に開催された第40回農協人文化賞で受賞された17名の方々に、これまでの農協運動の体験談と今後の抱負についてお書きいただきました。JAcomでは、その内容を数回に分けて紹介していきます。本日は共済事業部門で受賞した二人、佐々木福栄JA八戸代表理事組合長と中谷清JA大阪南代表理事組合長を紹介します。
管内はさまざまな農畜産物を生産しています。産地をどう形成するかを考える時に、常勤役員はただ座っていてはいけません。「農家1戸1戸を訪問し、膝を交えて話を聴く必要がある」と考え、平成28年から常勤役員による農家巡回を本格的に始めました。その他にも20、30代の若手生産者との営農座談会や青年部、女性部との意見交換も行っています。
また、LAが農家を訪問して、農業に関する話が出たらその話を文書化し、関連部署に繋ぐようにしています。そこで得た意見、要望等はすぐ対応するものと、時間をかけて対応するものに分類し、関連部署で情報を共有し、JA運営に反映させています。それまでは共済担当者は共済、営農担当者は営農に関することだけをやるという感覚でしたが、いまは部署の垣根を越えた"オール八戸"で対応しています。
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一昔前、JAは元気で身近に感じる組織でした。しかし広域合併等で、組合員・利用者との意思疎通が希薄化したことから、いまこそ立ち返る時期と捉え「JAづくり委員会」を設置しました。幅広い世帯層や代表組織等との意見交換や、支店を中心にふれあい活動、支店まつり、支店企画旅行など独自の企画で運営・事業に反映させ、組合員・地域住民の積極的な参画を求め連携強化を図っています。
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JAの事業は組合員の営農と生活を応援するために必要不可欠なものです。特に共済事業は大切な家族や財産を守るために重要であり、組合員や地域の皆さんが安心して農業等に専念でき、様々な不安軽減に寄与していると確信しています。
さらに、共済事業の事業基盤維持・拡大をめざし、こどもくらぶの積極的運営、新しい仲間作りをめざした全職員によるプラスワン活動、全LAによる市街地開拓の継続的な活動等に取り組んでいます。さらに相互扶助の理念のもと、地域の「しあわせの輪」を広げるため、組合員・利用者に最良の「安心」と「満足」の提供を基本方針として活動しています。
LAは、仕事をやった分、自分の評価につながり、やりがいのある業務だと思います。私は日常、LAと対話する機会を設け、情報交換(お客様の紹介等)を積極的に行い、一生懸命取り組んだLAには、組合長特別奨励を支給するなど、やる気の出る取り組みを行っています。この結果、全LAの目標達成、JA合併以来7年連続目標達成を果たしました。当JAの事業総利益に対する共済事業総利益は30%と高く、部門別収支構造からみても大変重要です。JAの歴史的背景や目的に照らし、また農業者の所得増大、農業生産の拡大等から鑑みても、営農・経済事業が最も大事な柱だと思っています。
しかし、それだけではJAの経営は成り立ちません。それを支える共済事業があって初めて組織としての背骨が立ち、血が流れ、健全なJA経営ができるものだと思います。その意味で、農家組合員・利用者が共済に加入することによって、お互いが助け合い、支えあうのはもちろん、JAの組織・経営の視点からも、共済がきちんと機能することによって、各事業を支える土台の役目を担っているのではないでしょうか。
(写真)若手農業者の意見を聞く座談会
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教育はとても重要だと考えています。団塊の世代で定年退職を機に農業を始める人が増えており、彼らをJAが受け入れ、農業やJAについて理解を深めてもらうよう、教育に力を入れています。また、女性部の組織化を目指して、数年前から加入資格を変えて農家以外の女性も部員になれるようにしました。JA組合員への加入も勧めています。職員には、「明るく元気に、にこやかにあいさつする」ことを第一歩に教育を始めています。同時に地元自治会や消防団、PTAなど諸活動にも地域の一員として役割を果たすよう促しています。組合員と地域あってのJAであり、職員は組合員や地域から信頼されなければなりません。
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地域に必要とされるJAを目指し、総合事業の強みを活かした協同活動の展開を図っています。そのためには、どの方向に舵を切れば良いのか将来ビジョンを見据え、役員と職員の教育に一層力を入れ、役職員一丸となって、地域に根ざした「夢あるJAを目指して 今改革のとき」のスローガンのもと、農業協同組合の理念を忘れずにJAの健全な発展と円滑な事業運営に取り組んでいきます。これから来るであろう厳しい変革の時代を、組合員、地域、JAのきずなで乗りきっていかなければならないと決意しています。
【略歴】
(ささき・ふくえい)
昭和23年生まれ。
昭和61年川内農協監事。平成8年しんせい五戸農協監事、14年同農協理事、20年同農協代表理事組合長、平成21年八戸農協代表理事常務、22年6月同農協代表理事専務、22年10月同代表理事組合長に就任。
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