JAの活動:年頭あいさつ2019(JAグループ)
中家 徹 氏(全国農業協同組合中央会 会長)2019年1月1日
食料安保確立へ国民議論を
新年にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
はじめに、近年、大規模な自然災害が全国で続いておりますが、昨年も豪雪や豪雨、台風、地震などにより多くの被害に見舞われました。被害に遭われた全ての皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をご祈念申し上げます。
現在、JAグループは、組合員の多様な声に応え、その願いを実現していくことを最大の使命として、自己改革に徹底して取り組んでおります。
来年度からの第28回大会決議の実践に向け、昨年9月、全国・都道府県大会等の議案検討にあたっての基本的考え方として、「創造的自己改革の実践」をすすめ、「農業者の所得増大」、「農業生産の拡大」、「地域の活性化」へのさらなる挑戦と、それを支える盤石な経営基盤の確立をはかっていくことを確認したところです。
創造的自己改革とは、各JAが、多様な地域実態に応じて、創意工夫により幅広い事業や活動を展開していくことであり、その内容はJAごとに異なり、JAの数だけあると言えます。
今年5月には、政府の「農協改革集中推進期間」の期限を迎えますが、昨年よりJAでは自己改革に関する組合員向け調査を開始しており、いただいた評価を真摯に受け止めるとともに、これを契機とした組合員との「対話」を通じて、さらなる自己改革の実践に努めてまいります。
組合員の皆様から「JAはなくてはならない必要な組織」との高い評価をいただくことができれば、組合員の結集力は高まり、協同組合の原点に還った、新たな協同組合として出発できると確信しております。
また、中央会は、農協法改正により今年9月末までに組織形態を変更することとなりますが、これまで会員の皆様から、今後とも中央会による代表機能、総合調整機能などの発揮が重要であるとの期待や要望を多くいただいております。
日本農業、そして組合員のために、JAグループがさらなる発展を遂げられるよう、引き続き、会員の皆様からの声を真摯に受け止め、役割を果たしてまいります。
一方、日本農業の生産基盤は弱体化しており、食料自給率は引き続き過去最低水準となるなか、世界規模でも災害が多発し、世界全体の人口増加、新興国の急速な食生活の変化などにより、中長期には、世界的な食料需給ひっ迫の恐れがあります。
また、TPP11や日EU・EPAなど、日本農業を取り巻く国際化が進展するなか、米中の貿易問題に象徴されるように保護主義的な動きが加速し、国際情勢は混迷が増しております。
こうしたなか、新たな「食料・農業・農村基本計画」の見直しの議論が本年より開始されることが想定され、我々の命の源となる「食」について、あらためて、国民・消費者の皆様とともに議論し、JAグループとしての役割を発揮しつつ、食料安全保障の確立に向けた取り組みを行ってまいる所存です。
本年も引き続き、JAグループならびに本会の事業運営につきましてご理解とご協力を賜りますことをお願いし、年頭にあたってのご挨拶とさせていただきます。
以上
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