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JAの活動:第65回JA全国青年大会特集

【座談会】ポリシーブックを核に「農」の価値 広くアピール(3)2019年2月19日

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【座談会出席者】
水野喜徳・JA全青協会長/群馬県JAあがつま理事
村上光雄・元JA全青協副委員長/前広島県JA三次組合長
大金義昭・文芸アナリスト

 水野 私は地元のJAの理事もしていますが、隣のJA嬬恋村が経済事業だけで黒字を出していて、そうした特化した農協にどうやったら近づけるのか、と思っています。

 

 村上 JA三次では、思い切った改革として、米の全量買い取りをしています。生産者と同じ目線で売るようにすべきであり、また預かったものは1円でも高く売る努力をするのだという、農協の思いが見えなければいけないし、成果も上げなければいけない。農協はそういうことに関して、これまで甘えていたのではないか。

 

 水野 全く同感です。市場のつけた値段で自分たちは値段をつけられない。農協が1円でも高く売ってくれるというのは所得増大につながる、そこをどう強化していくかということですね。

 

 大金 やってできないことはありませんよね。

 

 村上 そこが外野から見たとき、農協はやってないじゃないかと言われる所なのです。

 

 大金 JAの男女共同参画についてはいかがですか。女性パワーをもっと大胆に活用すべきだと思うんですが。

 

 水野 女性の力というのはなくてはならないもので、理事会でも女性は私たちが気づかないことに気づいたりしますし、母親は農産物を加工するのが得意です。農業経営者からすると、ビジネスチャンスパートナーのような存在です。

 

 村上 全青協の役員会の時に奥さんと一緒に東京に来ることはないのですか。全青協の役員をするとなったら家族は応援してくれているのだから、年に1回くらいは一緒にきて仕事ぶりを見てもらわないと。私の時はやっていたよ。東京に行ってくるので「農作業は頼んだよ」と言って出かけながら、奥さんにとっては何をしているのか分からない、というのではいけないでしょう。

 

 水野 なるほど、それはすばらしい。

 

 大金 そんな身近なところからも実行したいですね。

 

◆誰でも分かる政策提言集に

大金 義昭・文芸アナリスト
 大金 青年部の「ポリシーブック」が、高く評価されていますね。これはPDCAといったマネジメントサイクルを念頭に、課題や解決方策を整理・提言しているんですよね。

(写真)大金 義昭・文芸アナリスト

 

 水野 ポリシーブックは政策提言であり、青年部の活動指針でもあるという2面性を持っています。これまで自分たちでできない課題はJAや行政と一緒にやってみようという方向性でやっていて、課題自体は毎年変えるんですが、これはもう卒業だろう、解決しただろうというものが8年たって少しずつ出てきています。
 自分たちでクリアしたのだという達成感はありますが、そこで今度は、青年部だけでなく、これを広く活用するかが課題と思っています。行政やJA、さらに食農教育等で消費者向けに使えないかということです。広くPRできないかと、模索しているところです。それによって食料や安全保障に関する基礎を学んでもらうこともできたり、食農教育というのはこうだから大切なのだ、というアピールができたりすればいいなと。そうすれば食料自給率の話もポリシーブックから知ってもらえると思うのです。

 

 大金 自由化の波が高まる中で、ポリシーブックなら青年部だ、と口々に言われるような活動の広がりが欲しいですね。

 

 村上 僕たちの時代にポリシーブックはなかった。人前で意見が発表できるようにと「JA青年の主張」を自分たちの時代に中国ブロックで始めたのです。せっかく集まるのだから思ったことを言おうじゃないか、ということでね。
 当時から、経営で行き詰っていること、問題だと思っていることを何とか上にあげたかった。役人や政治家は現場がわかっていません。われわれが実際言うことで効果もありました。ペーパーにして政策に反映できればいいなと思っていましたが、この「ポリシーブック」はそういう意味でも素晴らしい。でも、少し堅苦しい気もします。誰にでも分かるようにした方がいいのではないかと思いますね。

 

「JAは家族農業と    地域農業の 水野 世代は違いますが、こうしてお話をして行く中でヒントをいただけるのは本当にうれしいです。青年部の活動はまだまだ限界がないなと感じました。どんどん新しいことにもチャレンジできるし、農業情勢なども踏まえた上で時代にあった活動が脈々と引き継がれていて今後も続いていくのだということが分かりました。6万人の盟友にも、もう一度JAの果たす役割、相互事業の強みなどを幅広く知ってもらいたいと思いました。

 

 大金 青年部のそんな取り組みが、JAの元気の源になって欲しいですね。村上さん、最後にお話のまとめをお願いできますか。

 

 村上 今の状況をどう捉えるかということですが、国連が問題視している飢餓・貧困をどうするか、ということです。今のグローバリズムでいくと確実に家族農業はつぶれてスラム街が増大します。
 そこで持続可能な世界をつくるためには家族農業が大切であり、協同組合による助け合いが必要だということです。私たちの時代は牛肉、オレンジなど自由化の初期段階でしたが、今や完全自由化体制のもとでの農業ということになってしまった。
 ですから50年前と比べたら、そこで頑張っている農業青年が自分の生き方、世界観を持っていないとやっていけない時代、つまりしっかりと理論武装しなければならないということだと思います。今まで以上に厳しいかもしれませんが、自分の農業観を築いて頑張ってもらいたい。そのためには青年部という組織が共通した認識を持って農業・農村を守り、農協を発展させる力になってもらえればと思います。期待しています。

 

 大金 水野さん、先々代や先代から受け継いだ協同組合に寄せる思いを、ぜひ多くの盟友と共に次の世代につないで下さい。
 ありがとうございました。

 

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