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JAの活動:第28回JA全国大会特集「農業新時代・JAグループが目指すもの」

【インタビュー JA全農経営管理委員会会長 長澤 豊 氏】全力結集で挑戦し農業の未来を創る2019年3月8日

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 JA全農は17年3月に「『農林水産業・地域の活力創造プラン』に係る本会の対応」として、所得向上に向けた生産資材・農産物販売事業での自己改革の方向性と具体策を策定し、実践的に取り組んできている。その成果を踏まえて次期3か年計画において具現化するための重点課題は何か? などを長澤会長に聞いた。長澤会長は、従来路線をしっかり進めながら「将来の事業モデルを構築」し組合員の期待に応えられる農業分野の「総合ステーション」をめざすと語った。聞き手は白石正彦東京農大名誉教授。

◆3か年計画に向け

 白石 第28回JA全国大会議案に対する考えをお聞かせください。

 

JA全農経営管理委員会会長 長澤 豊 氏 長澤 第28回JA全国大会では、JAグループの自己改革の三つの基本目標である「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」へのさらなる挑戦と、それを支える持続可能な経営基盤の確立・強化を重点課題として、「創造的自己改革の実践」が提起される予定です。
 本会は、2017年3月に「『農林水産業・地域の活力創造プラン』に係る本会の対応」として、農業所得の増大に向けた生産資材・農産物販売事業分野でのJAグループとしての自己改革の方向性とその具体策を策定し、すみやかに実践に入りました。
 生産面では、肥料に加え大型トラクター・段ボール資材の共同購入の拡大、海外飼料原料の調達力強化等による生産コストの引き下げを引き続き進めます。また、生産基盤の弱体化や労働力問題への対応は喫緊の課題であり、パートナー企業との連携による農業労働力支援などの取り組みを水平展開していきます。
 販売面では、業務用や中外食需要の拡大にマッチした産地づくり、産地間リレー出荷体制を構築するとともに、実需者への出資・業務提携等による直接販売を拡大します。また、伸長するeコマース市場、インバウンドの食品需要への対応を強化します。輸出については新たな海外拠点を核とした販売戦略を強化します。
 次期3か年(2019~21年度)においては、「すべては組合員のために、そして消費者、国民のために」という基本姿勢のもと、引き続き自己改革の取り組みを加速していくとともに、急速に変化する生産・流通・消費構造や海外情勢に対応するため、5年後、10年後を見据えて取り組むべき施策を計画に盛り込みます。

(写真)JA全農経営管理委員会会長 長澤 豊 氏

 

◆技術、労働力支援

 白石 全農が今後めざすべき方向についてどのように考えますか。

 

 長澤 5年後、10年後を見据えて本会が取り組むべき方向は以下の柱とし、これにもとづき関連施策を具体化します。
 第一に、国内の農業総産出額の計画的・段階的な拡大に向けて、作物別・品目別に戦略を策定し取り組みます。国内の農業総産出額は、直近の2017年で9.3兆円となっており、2015年以降3年連続で増加しているものの、1984年のピーク時11.7兆円と比較すると2.4兆円(約21%)減少しています。持続可能な農業の実現に向けて、担い手の育成・確保を基本に、(1)生産性を向上させる新技術、(2)労働力支援、(3)ICTの活用等のあらゆる施策を投入して地域生産振興に取り組み、生産基盤の確立をはかります。
 また、国内で1年間に消費される農畜産物約86百万tのうち、50%を国内で生産し、残りを海外からの輸入に依存しています。このため、(1)国内需要をまかなう生産力を有する品目の完全自給、(2)国内需要に対して不足している品目の生産拡大、(3)輸入量の多い品目の国産への転換、(4)国際競争力のある品目の輸出、など品目別に戦略を策定し、国内生産量の拡大に取り組み、食料自給率の向上に貢献します。
 第二に、生産拡大する作物別・品目別の販売戦略もしっかり構築します。本会の強みである生鮮食品分野における販売を拡大するとともに、加工・業務用需要への対応を強化します。また、国内外のマーケットニーズをふまえ、消費者が求める付加価値の高い商品を開発し、多様な販売チャネルを通じた国産農畜産物の消費拡大をはかることで、本会グループが日本を代表する食のトップブランドとしての地位を確立します。
 第三に、元気な地域社会づくりに取り組みます。農村や中山間地域などの実態をふまえ、地域のライフラインを支える事業を強化するとともに、新たなインバウンド需要の取り込みや農泊事業などを通じて地方へ人と消費(需要)を呼び込み、地域経済の活性化や元気な地域社会づくりを支援し、地方創生に貢献します。
 第四に、海外動向の急変に対応した新たな海外戦略を構築します。
 米中貿易摩擦など自国優先主義が強まるなか、海外穀物市況の不透明さが増すことや世界経済の減速が懸念されます。このため、飼料穀物・肥料原料などの調達力強化や、国内産地から海外の取引先までのサプライチェーンの構築による国産農畜産物の輸出拡大など、本会の新たな海外戦略を構築します。
 上記の取り組みを実現するためには、これまでのJAグループ内の機能分担を見直し、JAグループ全体で事業運営コストを抑制する必要があります。そのため、本会の経営資源の最適配置も含め、JAと十分協議してすすめます。また、子会社も含めた全農グループの総合力発揮とグループ経営の確立により、JAグループ・本会の事業を拡大し、会員への還元を最大化します。

 

◆めざす方向示す

 白石 今後3年の事業展開について教えてください。

 

 長澤 自己改革の加速化とともに、「本会のめざす方向」を、今次3か年で可能な限り具現化するため、「生産基盤の確立」「食のトップブランドとしての地位の確立」「元気な地域社会づくりへの支援」「海外戦略の構築」「JAへの支援強化」の5項目を最重点事業施策として取り組みます。
 「生産基盤の確立」については、(1)農業現場の労働力不足に対応するため、地域の農業者・JAのニーズに沿った多様な労働力支援の実践や、JAが組成する生産法人への出資・連携、および担い手確保・育成への支援等、(2)農作業・農場管理の効率化に役立つ、全自動ドローン、「Z―GIS」をはじめとした農業ICTなどの革新的技術の導入・普及、(3)加工・業務用の米・青果物など販売先を明確にした契約栽培の拡大、(4)販売を起点とした生産提案とそれにともなう資材・サービスの提供、(5)品目を見定めた輸入農畜産物の国産への切り替えに向けた生産振興、(6)上記の施策を展開するための事業施設やソフトウェアなどのインフラ整備に取り組みます。
 「食のトップブランドとしての地位の確立」については、(1)商品開発力を強化し、消費者・実需者から選ばれる商品の提案を通じた食品製造・加工・外食のマーケットシェア拡大、(2)生産から消費までのバリューチェーンの構築に向けた様々な企業との技術連携・業務提携のさらなる展開、(3)eコマース事業の本格展開、新たなインバウンド需要への対応、中食・外食への展開などによる販売チャネルの多様化・拡大、(4)上記の施策を展開するための事業施設やソフトウェアなどのインフラ整備に取り組みます。
 「元気な地域社会づくりへの支援」については、(1)農産物直売所やJA生活店舗等を核とした拠点機能の再編強化・効率化等、中山間地域での持続可能なライフライン対策による地域社会づくり、(2)直売所を併設した大型Aコープ店舗(JAファーマーズ)の出店拡大およびインバウンド等新規需要に対応した生活関連事業による地域活性化、(3)電力事業の拡大やホームエネルギー事業の展開および営農用エネルギーのコスト低減による地域ライフラインの支援に取り組みます。
 「海外戦略の構築」については、(1)既存輸出国での販売拡大、輸出用産地の拡大、各国eコマースへの販売拡大、他企業との共同物流・配送などを通じた輸出競争力の強化、(2)他国の農協組織や海外サプライヤー等との関係強化や海外拠点の整備による原料・資材の調達力強化に取り組みます。

 

◇   ◇

 

 「JAへの支援強化」については、(1)JAが取り組む経営基盤強化の実践支援に向けた、農家対応力の強化、販売力強化、物流合理化、拠点型事業の一体運営・受託、産地づくり等の支援、(2)農業者の所得増大・農業生産の拡大に寄与するJAおよび本会の自己改革の現場での実践、(3)上記の実践に向けて、中央会・農林中金・信連・共済連と連携したJAへの人的支援をはじめとする総合的な支援の実施に取り組みます。

 

◆JAへの支援強化

 白石 全農の今後の取り組みについてメッセージをお願いします。

 

 長澤 次期3か年計画は、「全力結集で挑戦し、未来を創る」というキャッチフレーズにさせていただきたいと考えております。このキャッチフレーズは、職員から公募し、役員間で協議し作成したものです。「全力結集で挑戦し、未来を創る」には、将来を見据えて全国で結集し、かつ全力で自己改革を完遂するとともに、新たな事業領域に果敢に挑戦して未来を創っていく、という決意を込めています。
 急激なスピードで変化する生産・流通・消費構造をふまえ、本会は次期3か年計画で、今までの路線をしっかりと進めながら将来の事業モデルを構築し、変革期におけるJA支援強化をはかるために、さらなる改革に取り組みます。
 本会は日本農業にとって、生産のステーション、物流のステーション、さらには顧客・エンドユーザーのステーションとならなければならないと考えております。JAと連携し、農家・組合員からの期待に応えられる、農業分野の「総合ステーション」となれるようつとめてまいります。

 

【インタビューを終えて】

 長澤会長は山形市のブドウ農家の3代目で協同のみちを大切に「挑む」「攻める」「整える」を座右の銘とされている。インタビューで食のトップブランドとしての地位の確立など魅力あふれる実践方向を語られた。その実践プロセスで横軸の全中・共済連、農林中金等と連携した相乗効果の見える化と、縦軸として①農業者正組合員・准組合員・部会員・単位JA役職員が共感・結集した事業革新を全農が高度に補完する事業価値創造力の見える化を行い、わが国の農産品への消費者・国民の共感・購買意欲の向上の実現こそが評価のカギであり、これからの全農の協同組合原則志向の体質強化を切望したい。(白石正彦)

 

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