JAの活動:【緊急特集・JA対話運動】
【緊急特集・JA対話運動】第7回<JAいがふるさと(三重県)>30年のノウハウ活かして 新生JAの家庭訪問活動2019年4月22日
JAいがふるさとの家庭訪問活動は合併前のJAを含めて30年以上の歴史があり、しっかり定着している。長年の取り組みの中から得た訪問活動のノウハウや、それぞれの訪問先についてのデータが蓄積され、それを生かして、成果を確実なものにしている。一方で、新しいJAとして情勢の変化に対応し、組合員学習活動や支店協同活動などと組み合わせたあらたな取り組みに挑戦している。
家庭訪問するJA職員
JAいがふるさとは2018(平成30)年にJAいがほくぶとJA伊賀南部の2つのJAが合併してスタートしたばかりのJA。組合員数は2万1173人で、うち正組合員は55.1%の1万1664人となっている。現在、JAいがふるさとの「運営基本構想」「地域農業振興構想」及び「第1次中期経営計画」を策定するため協議を進めている。
この中で、「准組合員を地域経済の発展を農業者と共に支えるパートナー」と位置づけ、「JA事業利用にとどまらず、地域農業やJAを理解し、JAへの参画を進める」と位置づけ、加入を勧めることとしている[k2]。
具体的には、「准組合員の意思反映、運営参画に関する方針を策定し、事業利用モニター、JA総合モニター(仮称)、支店運営委員会などへの参加を進めます」とし、准組合員の組織化と意思反映を進める考えだ。
◆家庭訪問活動
家庭訪問活動は、旧JAいがほくぶの創立(1988年)以前から続いている活動であるが、近年、事業利用者の組合員加入が進む中で、新しく組合員になった人は居宅が広域にわたっており、これまでの訪問活動の区域から外れるケースが増えたため、組合員学習活動とともに、これを見直した。
旧JAいがほくぶは、組合員の参画意識を高めるため組合員の学習が必要と考え、その一歩として広報誌を全組合員に配布。また、固定化していた訪問先を担当者ごとに見直し、広報誌を手渡す体制にした。
さらに新JAとなった2018年度からは、旧JAいがほくぶで30年以上続いている活動を引き継ぐ形で家庭訪問活動を実施。旧JAいがほくぶは、組合員世帯だけでなく組合員でない地域の事業利用者世帯も当然のこととして訪問していた。
一方、旧JA伊賀南部は准組合員比率が高く、特定の事業利用だけを目的とした組合員加入が多く、居宅も十分に掌握できず、訪問対象に組み込まれていなかった。そこで、家庭訪問活動を統括する支店長の会議で、(1)未訪問組合員宅の洗い出し、(2)訪問担当地区の見直し、(3)家庭訪問活動規程の下で活動することを担当職員に徹底。例えば訪問先が不在の場合、1日掛けて複数回訪問する、訪問が難しい先は広報誌を郵送することなどを確認した。
現在、家庭訪問は、毎月2日間を「家庭訪問日」に設置し、本・支店職員が全組合員世帯と員外利用者世帯を対象に実施している。あわせて、65歳以上の一人暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯を対象とする見守り活動「一声掛け運動」も行っている。訪問する職員は、JAマート(生活購買店舗)や,燃料センターなどの業務を除き、正職員だけでなく派遣・パート職員も含む。
家庭訪問日には毎回、朝礼を開いて訪問目的を確認する。訪問先での主な業務は集金、広報誌・お知らせ・推進資材の配布と事業推進・情報収集などだが、それぞれ訪問先の事情に合わせ、重点事項を決める。支店長によっては「今月、とくにお願いする事項」にまとめて指示している。年間の家庭訪問日を記載したカレンダーを配布しており、訪問先では予め準備していることが多く、2018年7月の面談率は、家庭訪問で47.3%、「一声掛け」活動で56.2%だった。
家庭訪問活動の成果について、JAいがふるさと総合企画部長の大西吉昭部長は「組合員が、職員を通じて、意見や意思を表明することができるようになった」と言う。組合員が職員に意見や要望を伝え、職員が組合員の意見などを、訪問活動日報に報告・記録する。この日報から支店長が組合員の意見・要望を各部署に伝え、問題によっては役員に伝達する。このシステムが機能することで、定期的・日常的に組合員の意向が組織運営に活かされるというわけだ。
一方、組合員は、職員を通じて組合の組織や事業活動を知ることができる。「職員が広報誌に掲載されている記事やチラシを話題にすることで、組合員の興味や関心を高めることにつながる」と言う。
◆支店運営委員会も
こうした成果をもとに、同JAではこれまで進めてきた組合員と役職員の対話活動を継続する方針だ。2018年度から新たに地域営農の諸課題の解決のため常勤理事と営農部幹部職員・支店長による集落営農組織(法人)や地域の担い手への訪問活動を始めた。JA経営層と直接対話することでニーズ把握と決定が迅速にできるようになった。
一方、今後、支店再編整備で支店数が減るため、支店を利用した日常的な対話の機会が減少する恐れがある。このため、組合の本質である組合員の協同活動を活性化するため、同JAは、「支店運営委員会を立ち上げ、組合員組織代表者や役職員を委員に、支店協同活動を強化したい」(大西部長)という構想を持っている。
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・【緊急特集・JA対話運動】まとめ
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