JAの活動:新世紀JA研究会第1回全国特別セミナー 国民の食を守る役割を明確に
【パルシステム神奈川・ゆめコープ専務理事 渡邊たかし氏】JAはだのと包括協定で地域づくり2019年8月27日
2017年に神奈川県内の農協・漁協・生協・森林組合・ワーカーズなどの協同組合83組織で「神奈川県協同組合連絡協議会」が発足しました。組合員は農協35万人、漁協3700人、森林組合7500人、生協260万人、ワーカーズが4500人です。
組合員同士が親しく交流し、協同組合組織のより広い交流や連帯を進め、地域の活性化を通じて、住みよい地域社会づくりを目指して活動しています。協同組合の連携組織としては全国屈指となっています。
この新たなつながりから、2018年3月に秦野市農業協同組合と生活協同組合パルシステム神奈川ゆめコープで協議を開始し、さまざま協議を経て、秦野市農業協同組合の組合員へ生活関連物資等の供給をパルシステム神奈川ゆめコープが担う事業連携を進めていくことで合意し、2019年4月からスタートしました。神奈川県内では新たな試みであり、農協と生協の連携モデルとして、組合員や地域に貢献していくことを目的としています。
◆産直と環境基本に
パルシステム神奈川ゆめコープは、「生命(いのち)を愛(いつく)しみ、自立と協同の力で、心豊かな地域社会を創り出します」を理念に、神奈川県内で事業と活動に取り組んでいる生活協同組合です。食と農を支える「産直」と資源循環型社会をめざす「環境」を基本に商品供給、福祉、共済・保険、電力などの事業を展開しています。
県内に配送センター11か所、福祉事業所6か所、文化活動拠点1か所、活動拠点2か所を有し、組合員のくらしを守り、地域に根ざした事業活動に取り組んでいます。組合員数は32万7000人、総事業高で477億4000万円(2019年3月末現在)となっています。
私たちパルシステムの商品は、「食」と「農」をつなぎ、いのちの力があふれる社会を次の世代に手渡したい。その思いを込めて、次の「7つの約束」を大事にした商品づくりを進めています。
(1)作り手と「顔の見える関係」を築き、信頼から生み出された商品をお届けします
(2)食の基盤となる農を守るためにも国産を優先します
(3)環境に配慮し、持続できる食生産のあり方を追求します
(4)化学調味料不使用で、豊かな味覚を育みます
(5)遺伝子組換えに「NO!」と言います
(6)厳選した素材を使い、添加物にはできるだけ頼りません
(7)組合員の声を反映させた商品づくりを大切にしま、
の7つです。
また私たちパルシステムが常に立ち返るのが、パルシステムの「商品づくりの基本」です。パルシステムの商品はどれも、産直産地や生産者、組合員とともに歩み、挑戦してきた歴史や物語を持っています。その長い道のりで、常に指針としてきました。
それは、(1)自然や生き物の「本来の姿」を尊重しているか、(2)地域に根ざした食生産やくらしに貢献しているか、(3)「作り手」との関係に、甘えや惰性、妥協はないか、(4)食べて「おいしい」、あって「よかった」を届けているか、(5)商品の裏側をきちんと伝えようとしているか、です。
◆JAはだのと一致
JAはだのは、基本理念に「夢のある農業と次世代へつなぐ豊かな社会を地域できずく」をかかげ、「次世代との共生」「地域との共生」「アジアとの共生」の3つの共生運動に取り組んでいます。特に、JAはだのが大切にしてきた「地域との共生」は、「農」が地域に果たすべき多面的な役割を踏まえて、消費者だけでなく「地域」に広げた運動を展開しています。
こうした協同組合としての考え方、地域への想いが当組合と一致しています。JAはだのとなら、「違い」を尊重できる関係づくりが出来そうだとの思いから、関係づくりを進めてきました。
協定は生活購買事業の連携にとどまらず、生産者である農協の組合員と、消費者である生協の組合員が共に交流し、様々な活動によって地域の振興、地域の活性化に取り組み、未来の地域づくりを目的とした包括的な協定を結ぶことになりました。協定では、お互いの緊密な連携によって事業を通じた地域振興、地域貢献に取り組むことを定め、その目的達成のための連携事項として次の8項目を定めました。
◆8項目の連携事項
(1)食と農に関する学習活動に関すること、(2)組合員・役職員の交流による協同組合運動の実践および人材育成に関すること、(3)SDGs全17項目の目標達成に向けた取り組みに関すること、(4)組合員への生活関連物資等の供給に係る事業の相互利用促進に関すること、(5)秦野市産の農畜産物および農畜産加工品の流通促進に関すること、(6)相互の施設やインフラを活用した事業展開に関すること、(7)災害時における連携、協力に関すること、(8)その他目的の達成に必要な事項に関することとなっています。
この協定で私たちは新たな一歩を踏み出すこととなりました。神奈川県内における農協と生協の新たな連携モデルを進めるにあたり、今後も県内外各地の多くの皆さんからの協力、支援をいただきながら、推進していきます。
本特集の記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
【新世紀JA研究会第1回全国特別セミナー 国民の食を守る役割を明確に】
重要な記事
最新の記事
-
【年頭あいさつ 2025】菱沼義久 一般社団法人日本農業機械化協会 会長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】増田長盛 一般社団法人日本農業機械工業会 会長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】冨安司郎 農業機械公正取引協議会 会長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】松本和久 株式会社サタケ 代表取締役社長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】雜賀慶二 東洋ライス 代表取締役2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】佐藤雅俊 雪印メグミルク株式会社 代表取締役社長2025年1月4日
-
【年頭あいさつ 2025】小澤 敏 クロップライフジャパン 会長2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】栗原秀樹 全国農薬協同組合 理事長2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】的場稔 シンジェンタジャパン株式会社 取締役会長2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】井上雅夫 住友化学株式会社 執行役員アグロ事業部担当2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】岩田浩幸 日本農薬株式会社 代表取締役社2025年1月3日
-
【年頭あいさつ 2025】国際協同組合年機に反転 村上光雄 一般社団法人 農協協会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法理念 実現の時 江藤拓 農林水産大臣2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】基本法の具体化に全力 山野徹 全国農業協同組合中央会 代表理事会長2025年1月2日
-
食と農を未来へつなぐ【年頭あいさつ 2025】折原敬一 全国農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】利用者本位の活動基調に 青江伯夫 全国共済農業協同組合連合会 経営管理委員会会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】つながり強化戦略推進 奥和登 農林中央金庫 代表理事理事長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】医療、福祉の充実に一丸 長谷川浩敏 全国厚生農業協同組合連合会 代表理事会長2025年1月2日
-
【年頭あいさつ 2025】『家の光』創刊100周年 JA教育文化活動支援に尽くす 栗原隆政 (一社)家の光協会 代表理事会長2025年1月2日
-
【石破総理 新春インタビュー】政治の大転換期、新たな農業政策へ どう一歩踏み出すか(2)2025年1月1日