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JAの活動:新世紀JA研究会第1回全国特別セミナー 国民の食を守る役割を明確に

【JA全中・山田剛之JA改革推進課課長】准組のあり方を提起 積極的な議論と情報発信へ2019年9月18日

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 JA改革の骨子は、信用事業と准組合員の位置付けにあることが、新世紀JA研究会のセミナーで明らかになった。特に准組合員の問題は、JA組織の根幹に関わることであり、今回の全国特別セミナーでも議論の的になった。JA改革が新たなステージに入り、准組合員のあり方をどうするか、JAグループを挙げた議論が必要になる。

全中山田氏 JA自己改革については、これまでJAグループの総力を挙げた農業関連事業の強化に加えて、対話運動や全組合員調査を進めてきたところだが、本年5月に農協改革集中推進期間が終了し、節目を迎えました。これを踏まえ二つのことを話します。

 一つは、今春の取り組みとその結果です。とりわけ5か年にわたる農協改革集中推進期間が終了し、「ステージが変わった」ことです。二つは、今秋以降の取り組みです。


◆着実に改革の成果

 今春の取り組みでは、農協改革集中推進期間の5月末までの確実な終了、規制改革推進会議における包括的なフォローアップの終了を目標として、進めてきました。JA自己改革の成果として、重点6項目に取り組むJA数・割合は年々増加しています。
 特に「生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及」に取り組むJAは、平成30年4月現在で9割を超えました。共通目標とした販売品取扱高も年々増加しており、平成29年度4兆6849億円は、26年度比3600億円の大幅増加となり、取り組みの成果は着実に表れています。
 本年4月の規制改革推進会議農林ワーキング・グループのヒアリングでは、こうした実績について、全体数値に個別事例を併せて説明し、委員から一定の評価をいただくことができました。
 6月21日の規制改革実施計画では、「農協改革集中推進期間の終了後も、自己改革の実施状況を把握した上で、引き続き自己改革の取り組みを促す」とされました。規制改革推進会議の答申では、生産資材価格の引き下げや信用事業の持続性に関する課題提起はありましたが、今春の取り組み目標は一定程度、達成することができたと考えています。
 吉川農水大臣(当時)、森山自民党国対委員長からは「農協改革は新たなステージを迎えた」「与党と農水省が連携して自己改革の取り組みを後押しする」旨の発言がありました。これまでは、ややもすると規制改革推進会議がJAグループを直接にフォローアップしているような印象もありましたが、この関係性も今秋以降は変わってくるものと思います。
 全国のJAの組合員・役職員の皆さんに多大な負担・協力をいただいている全組合員調査は、「組合員の判断」としての位置付けが見えてきました。准組合員の利用規制について、与党の参院選公約では「組合員の判断」と明記され、吉川大臣は「与党の決議を踏まえる」旨を明言しました。
 また4月の食料・農業・地域政策確立大会では、自民党の二階幹事長ならびに野村農林部会長が「組合員の判断」としては、全組合員調査も一つの要素として考えているとの発言がありました。今後は、全組合員調査を「組合員の判断」として公に主張できるよう、回収率や、それによる調査の評価を高めることが課題となります。
 少し、視点は異なりますが、地方創生の動きについても報告します。現行の第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、策定時期(26年度)が農協改革の議論と重なった影響もあり、JAは地方創生において何一つ位置付けられませんでした。
 本年は、第2期戦略策定の策定時期にあたることから、本会はJAが総合事業を通じて地域で果たす役割を地方創生に位置付けるよう働きかけてきました。その結果、6月の基本方針では、地方創生の多様な分野にJAが位置付けられました。
 一方、基本方針では地域金融機関の記述が目立ちました。政府は、地域金融機関に地方創生への参画を強く求めており、今後は地域商社等によって地方銀行等の総合事業化が進むと見込まれます。JAグループが総合事業を通じて、地域とどのように向き合っていくのか、より強く問われることと思います。


◆全組合員調査完遂へ

 今秋以降の取り組みについては、今秋の規制改革推進会議等の議論において対応が必要となる短期課題と、腰を落ち着けて検討すべき中期課題に分けて考えています。短期課題は、「不断の自己改革」の継続、生産資材価格の引き下げ、「組合員の判断」の明確化、これらについての情報発信です。
 したがって対応する取り組みは、これまでJAグループ全体で取り組んできたJA自己改革の継続・強化となります。そのうえで全組合員調査をやり遂げて組合員の判断を明らかにすることが重要です。
 短期課題としてもう一つ、総合事業経営での信用事業の持続性確保も挙げられます。これまで各JAには、信用事業運営体制のあり方検討をお願いしてきましたが、その結果、ほぼ100%のJAが総合事業の継続を組織決定しました。従って、対応する取り組みは、総合事業経営体としての経営基盤強化を通じた持続性の確保となります。具体策は今後に提起する予定です。
 中期的課題は、これまで進めてきたアクティブ・メンバーシップの取り組みをもう一歩進めること、正組合員の多様化への対応、准組合員の位置付けの明確化等と考えています。農業協同組合であるJAとして、中長期的に、正・准組合員とどのような関係を構築すべきか、
 そのために制度をどう変えていくべきかなど、今秋にも全中からJAに提起する予定です。積極的に議論に参加いただければ幸いです。ピンチはチャンスです。より良いJAづくりに向けて、ともに歩みを進めましょう。


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