JAの活動:負けるな! コロナ禍 今始まる! 持続可能な社会をめざして
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 高田礼人教授 新型コロナウイルスの「新型」たるゆえん【負けるな! コロナ禍 今始まる! 持続可能な社会をめざして】2020年6月25日
今回の新型コロナウイルスは2019年にヒトへの感染が確認されたもの。SARSやMERSに比べ重症化率や致死率は格段に低いが、感染が広がりやすいという特徴がある。今回のパンデミックの背景に何があるのか。北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人教授に解説してもらった。
北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター 高田礼人教授コロナウイルスには沢山の種類があり、ヒトや家畜・家禽に病気を引き起こすものも含めて数多くが知られています。その中で、ヒトに感染して病気を引き起こす事が分かっているコロナウイルスは7種知られており、感染するといずれも主に呼吸器症状を示します。このうち4種は、ヒトの世界に日常的に存在し、いわゆる風邪を引き起こします。風邪の原因ウイルスにも複数が知られていますが、これら4種のコロナウイルスによる風邪は、全体の10~15%(流行期には35%)と言われています。
この4種類以外で、ヒトに呼吸器症状を引き起こす新しいコロナウイルスとして、2002-2003年にかけて中国広東省を中心に30を超える国や地域で流行が見られたSARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルス(SARS-CoV)と、2012年に中東で流行が広がり27カ国で症例が確認されているMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルス(MERS-CoV)の2種が知られていました。SARSは、WHO(世界保健機関)によると、8098人の感染者(うち774人死亡)を出しましたが、その後終息し、ヒトの世界から消えました。MERSは現在でも中東を中心に散発的に発生しています(これまでに2494人感染。うち858人死亡)。これらのコロナウイルスはヒトに重い肺炎を引き起こします。このように動物にもヒトにも感染する病原体によって引き起こされる感染症を人獣共通感染症と呼びます。
現在、世界各地で感染が広がっている、いわゆる「新型コロナウイルス」は、2019年にヒトへの感染が新たに確認されたコロナウイルスです。それゆえ「新型」と呼ばれています。遺伝子配列はSARSコロナウイルスとよく似ていたため、正式な用語では「新型」とは呼ばず(次にまた新しいコロナウイルスが出てたら区別できなくなりますので)、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)と名付けられています。報道などで見かける「COVID-19」という呼び名は、このSARS-CoV-2が引き起こす感染症(病名)を表します。COVID-19は、SARSやMERSに比べると重症化率や致死率は格段に低いのですが、軽症者や無症状感染者が多いので、感染が広がりやすい(感染者全員を見つけるのは不可能)という特徴があります。
SARS、MERS、そして今回の新型コロナウイルスは、もともとコウモリが持っていたウイルスがヒトの世界に入ってきたものだと考えられています。基本的に、ウイルスは宿主となる生物と「共生」しています。とても多くの種類が知られているコウモリは色々な種類のウイルスと共生しています。そのような生物を、そのウイルスの自然宿主と言います(ヒトに風邪症状を引き起こす、前述の4種のコロナウイルスは、ヒトのあいだで感染を繰り返して存続しているので、ヒトが自然宿主だと言えます)。コウモリと共生しているウイルスの一部がヒトにも感染する能力を持っていて、ヒトが感染すると、時に重い病気になることがあるのです。人獣共通感染症の多くは、直接的あるいは間接的(媒介昆虫など)に野生動物と接触することから発生します。人間の活動領域が広がったことや温暖化による生物の生息域の変化で、野生動物が持つウイルスとの接触が増え、いままで知らなかったウイルスに、ヒトや家畜・家禽が感染する機会が多くなっていると考えられます。そういった背景の中、今回の新型コロナウイルスが出現したのです。
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