JAの活動:負けるな! コロナ禍 今始まる! 持続可能な社会をめざして
種苗はエッセンシャル・カテゴリー (株)サカタのタネ 坂田宏代表取締役社長(下)【負けるな! コロナ禍 今始まる! 持続可能な社会をめざして】2020年7月6日
食料確保に不可欠
JAと共に地域活性化も
サカタのタネ本社
◆競争力ある日本の品種
坂田 世界の種苗市場は日本、オランダ、米国カリフォルニアが3大拠点ですが、日本は間違いなくはトップレベルにあります。これは、気候や食文化に起因していると思います。日本は酷暑、梅雨、台風など植物の生育には厳しい環境ですが、それに打ち勝つ品種を作り出してきたことは我々の誇れる点です。日本の品種は味もよく栄養価についても試行錯誤を重ねてきました。
今後も十分競争力が発揮できると思います。また、日本では生産者と消費者の距離が近くなっています。消費者の声が聞こえることはモチベーションのアップにもつながります。今後も消費者ニーズを取り入れて品種を開発するのが、種苗メーカーとしての役割だと考えています。
加藤 園芸は消費者ニーズが強くマーケットインの関係で作られてきたという思いがあります。一方、大型園芸農家に聞くと、米穀は田植え機などに代表される省力化に注力してきたのに対し、園芸は機械化が遅れていると指摘します。機械化に適応できるような種苗の開発を求める声もあります。それがコストを下げることにもなり極めて重要だと指摘しています。坂田社長はどのようにお考えですか。
坂田 これからの農業で大型化や法人化が進むと人手の問題が出てきます。コロナ禍により今は海外からの労働力が制限されていますが、その意味では機械化は補足手段の一つだと思います。面積や作物にもよりますが。当社では立ち性で機械に入りやすいホウレンソウなど、機械収穫に適した品種も改良しています。
ニーズへの対応と機械化のバランスが重要ですが、注意しなければいけないのは、種苗開発のサイクルです。種苗は10年単位ですが機械はあっという間です。その意味では、濃密に機械メーカーと連携していく必要があります。
◆JAの現場指導に期待
加藤 地域活性化には若い人が農村にいることが重要です。特に女性は地元志向が強く、農業をやってみたいというバイタリティーあふれる人も増えています。問題は体力ですので、女性の視点に立った機械化が求められるということです。種苗会社は全国各地にある種苗店と緊密な連携をとっておられると思います。
地元の農家とJA、種苗店は微妙な関係もあるかと思いますが、両者とも地域活性化のためのキーになっていると思います。種苗センターを設置するJAも増えています。JAと種苗店・種苗会社との連携ですが、JAはスーパーや顧客からの要望で、野菜・花卉の卸売市場にはないオリジナルの野菜を志向しています。今後、どういった種苗を作っていくべきでしょうか。
坂田 大型化、機械化と同様に多様なニーズに対応していく中でJAの役割はさらに重要となります。作物ごとの部会等、生産者の方々をまとめる力が必要になると考えています。種苗店は地元に根差し歴史があるところも少なくありません。しかし、立ち位置はJAに近いものがあります。JAには現場指導も強化してほしいと願っています。長期ビジョンには種苗メーカーが入ってもよいのですが、短期は商売に直結することなので我々だけというわけにはいきません。長期的な面では我々もサポートできると思います。
加藤一郎 千葉大学客員教授
【インタービューを終えて】
友人で戦国武将の真田信之の14代目の子孫になる真田幸光氏(社会基盤研究所研究員等)より以下の翻訳文をいただいた。
「コロナウイルスから人類への手紙」(作者=ヴィヴィアン・R・リーチ 訳文抜粋)
「私はあなたを罰するために生まれたのではない・・・。
私はあなたの目を覚ますために生まれた・・・。
大規模な洪水。猛烈なハリケーン。恐ろしい竜巻。海の生き物が、水中の汚染物質によって死んでいっている。異常な速さで溶けていっている氷河。でもあなたは聞かなかった。地球があなたに伝えようとしていることを心配するより、最新のiPhoneを手に入れることのほうがもっと大事だった。
私はあなたに呼吸器障害を与える。地球の大気汚染のように・・・。
物質的なものに関心を持つのをやめなさい。
そして、あなたの隣人を愛し始めなさい。
地球と、その全ての生き物を大切にし始めなさい。
なぜなら、次の時には、私はもっと強力になって帰ってくるかもしれないから・・・」
これは座視できない指摘だと思います。
坂田社長はサカタ財団を通じて大学生・院生への奨学金給付事業を開始され、学生の学習の意欲付けにもなりました。時代は産学連携の時代に入り、今後の大学・JAとの共同研究などに発展し、地域の活性化、園芸振興などJAグループと種苗会社との対話が進み、世界に誇れる園芸立国に向けて前進することを期待します。
重要な記事
最新の記事
-
【第2回JA女性職員活躍サミット】全国の10JA結集 まず職場環境整備を2025年1月28日
-
先物市場を活用した7年産米の事前契約が成立【熊野孝文・米マーケット情報】2025年1月28日
-
12月の米消費、家庭内は前年比で伸び 中食は前年同月比▲7.7% 米穀機構2025年1月28日
-
鳥インフル 米ミズーリ州など4州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月28日
-
最優秀賞にJA伊万里青年部大川支部 JA青年組織手づくり看板コンクール2025年1月28日
-
幻の青大豆「キヨミドリ」で作るみそ 真庭市で仕込み始まる JA晴れの国岡山2025年1月28日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月28日
-
1等米比率90%以上と安定生産へ 高温耐性品種の生産を拡大を JA全農とやまが富山米の生産推進大会2025年1月28日
-
高温耐性品種の富山米生産を拡大 県も中生品種で支援強化 JA全農とやま2025年1月28日
-
日本農業賞 集団の部大賞 下高城ふぁあむ、JA常陸奥久慈枝物部会、JA金沢市砂丘地集出荷場西瓜部会2025年1月28日
-
人気漫画の「米シーン」が米袋に 石川県産米を応援 JAグループ石川2025年1月28日
-
2月3日は「大豆の日」国産大豆商品プレゼントキャンペーン実施 JA全農2025年1月28日
-
【役員人事】やまびこ(3月27日付予定)2025年1月28日
-
【人事異動】日本農産工業(3月1日付)2025年1月28日
-
「Japan Branding Awards 2024」でシルバーを受賞 ヤンマー2025年1月28日
-
福島第一原発事故から14年 原発再稼働を考えるフォーラム開催 パルシステム千葉2025年1月28日
-
軽トラックレンタル事業を開始 農作業の効率化と運搬の手間を解消 唐沢農機サービス2025年1月28日
-
茨城県鉾田市産さつまいも「旭甘十郎」のケーキ登場 カフェコムサ2025年1月28日
-
【役員人事】クボタ(2025年3月予定)2025年1月28日
-
伐採跡地の再造林を加速 国内林業活性化へ 住友林業2025年1月28日