JAの活動:負けるな! コロナ禍 今始まる! 持続可能な社会をめざして
新型コロナウイルス禍 JA緊急アンケート結果(2)2020年7月17日
国産農産物の消費拡大へ 組織・事業体制見直しも
【要望・意見】
適切な情報発信を
最も多かったのが、「適時適切な情報発信」が136農協(回答農協の74.7%)であった。次に、「経済活動とのバランスのとれた感染症対策」が124農協(68.1%)、「食料自給率の向上」が107農協(58.8%)、「自粛に伴う休業補償等の明確化」が72農協(39.6%)、「農畜産物輸出国の制限等への厳しい対処」が29農協(15.9%)と続く。
その他8農協(4.4%)としては、米の在庫解消策(備蓄への買い入れ)、国内農畜産物の消費拡大、農産物輸送体制の強化、農産物輸送体制の強化などである。
【コロナ禍の教訓】
「コロナ禍の教訓」、「コロナ禍で考えさせられた農協の役割」はページ下部にまとめた。
農協からのアンケートで回答された「コロナ禍から得た教訓」と、「コロナ禍で考えさせられた農協の役割」の内容は、今回の緊急アンケートの最終的な目的である「今回の緊急事態に対し、農協はどうするべきか。また、命と暮らしと地域を守る協同組合として、いま何が必要で、将来を視野に何をするべきかを探る」ことに対する答えだと言える。
今後の農協に求められるのは、これらの教訓と農協の役割についての各々の考えを踏まえて、全国の農協の役職員・組合員が考え・話し合うことで問題意識を共有化し、問題点と課題の〝見える化〟することである。それによって農協グループとしての取り組みの目標を確立して、全国の農協(組合員・役職員)が一丸となって、確実に実践することである。
そして、全国の農協において確立された共通目標を確実に実践するためには、実践の進捗状況を確認し、実践成果を正しく評価し、現状に合った実践に随時適応しながら組織的な取り組みを行うことである。
いわゆる全国の農協グループにおけるPDCAサイクルの正のスパイラル(くれぐれも負のスパイラルとならないように)を回し続けることだ。その中核となる考え方、哲学、農協運動の礎(いしずえ)は、「命・食・農業・暮らし・地域・農村を守る」、「組合員を守る」、「地域に貢献する」ことに尽きると考える。(小林光浩)
農協の事業に欠かせない農家訪問
〈コロナ禍の教訓〉
・輸入製品依存の生活スタイルであることの再認識。改めて自給率向上が必要。
・都市部で感染拡大しており、一極集中から地方への分散の必要性。
・組織・事業のあり方・仕組みで必ず必要となるデジタル化の早期構築。
・分散社会の中で農協、流通、医療などの助け合いの大切さ。
・リーダーシップと協調精神の不在。
・出勤しなければ業務が成り立たないということはないと分かった。
・分散社会の中、農業・物流・医療等の助け合いの大切さを再認識。
・食料および労働力等を海外依存している国内産業の脆弱さ。
・緊急事態に対応できる現場力の必要性。
・今後、どのような問題に直面するのか分からない段階で、経済の効率化や生活のあり方を農協として判断し、教訓を得るのは時期尚早。
・緊急時の初動体制の整備、輸入依存脱却食料、衣料品等の自国調達体制の整備、経済・生活のバランス、地方創生(都市型社会からの人口移動)、働き方の見直し。
・飽食の時代に食糧難と言う言葉が死語となっていたが、今回のコロナが食料自給率の向上を具体的に進めていく必要を教えた。
・将来予測について科学技術が発展した現在社会において、今回のコロナでは結局予想すらできなかった。人類が無力であることを痛感させられた。
・パンデミックの下、日本人は自制が利き、拡大を防ぐことができた。非常にまとまりのある人種であると分かった。
・組合員の葬儀が大幅に簡素化され、今後もこれでよいのではないかといった声をよく耳にする。
・ネットワークの極度な重要性について、利用することで対面会議を大幅に減らすことができるとともに、教育目的を含み、効率的で、現代社会で非常にうまく機能している。
・今回はさまざまな事業の分野でデジタル化の遅れを認識した。これらを踏まえ急速なデジタル化が進むと考えられることから、農協でも進めていくべきである。
・グローバルの中で、他国との関係が簡単に通常に戻れないことは、戦争以外(パンデミック)でも起こりうることを学んだ。
・輸入が止まるような緊急事態は簡単に起こるものではないという考えから、いつでも起こり得るという考えに大きく移行した。
・「今だけ」「金だけ」「自分だけ」の考え、「経済だけ」を優先した考えでは、今後のパンデミックに歯止めをかけるのは難しい。
・今まで当然であった対面での対応や来店方式の営業を見直すチャンスとなる。ウェブ会議やキャッシュレス決済等、農協も検討すべき点が多くあることに改めて気づいた。
・非常時の事業継続性確保(BCP)について、テレワーク実践等により課題が見えたことは今後の教訓となる。
・情報過多で発信源が定かでないデマに翻弄された。経済優先で諸外国に食を始め、ライフラインの大半を依存している状況は危険なものであるとの認識をしてもらうきっかけとになれば。
・より安価なものを求める人々の価値観の変化と、そのニーズに応える価格競争の激化により、中国をはじめ海外に生産を依存するわが国経済の漸弱性。
・食・医療従事者への手厚い補償。
・さまざまな分野においてリスク管理、現状把握に関する体制整備が求められる。
・情報を早く仕入れることにより対応が変わるし、このことで日々が一転した。
・米国のような自国優先的な政策はばかげている。
・不透明な状況の場合、脅威を軽視する場合がある。事態悪化を防ぐための決断力の重要性。
〈コロナ禍で考えさせられた農協の役割〉
・農協の取り組み発信で地域と一体となったコロナ対策を進める。
・組合員の農業生産継続のため、農協総合事業の強みを生かし組合員ニーズに対応。
・地域インフラ事業を継続し、中山間地域の生活を支え、就農希望者等の定住推進。
・地産地消の一層の推進。
・暮らしを守るための事業の継続化。
・地域農業(食料供給)や身近な経済を守る役割。
・家庭内料理が増加したので、これを機会に国内の食の安全安心をアピール。
・今だから相互扶助の精神を発揮すべき。
・安全安心な食を生産する食料基地の役割を果たす。
・防災訓練等、対策本部で新たな項目作成し、事業活動低下を最小限に抑える。
・役職員1人ひとりが問題意識を持って行動する。
・農業を基本とした持続可能な社会構築の一翼を担う。
・原点に立ち返り互助の精神のもと、地域社会を支える。
・持続可能な農業、農村と豊かな食生活を作り上げる。
・地域産業の中核として、非常時にも地域住民の暮らしを守る。
・農業と地域社会に根差した組織として、国民にとって必要不可欠な食料の安定供給に支障をきたすことがないように努めていく。
・「稼げる」農業の構築へ経営技術支援の強化と、繋がりの希薄化防止のために農協を拠り所とした新たな生活様式を含めた活動の継続強化。
・改めて農協綱領にある「地域農業を振興し、我が国の食と緑と水を守る」「環境・文化・福祉への貢献を通じて、安心して暮らせる豊かな地域社会を築く」ことの重要性を再認識するとともに、従来の農協の活動を見直すことが重要である。
・協同運動こそ「ソーシャルグッド」の先鞭であり、日本経済・地域社会の中に浸透しているアドバンテージを生かし、SDGsの普及等、発信・発言を強めるべきである。
・ネットワークが発展した現在社会において、協同組合としてネットワークを活用して業務を効率化し、生み出された時間で対面での営業や出向く体制を進めることで、人と人との交流を強化することが必要。
・コロナ感染のリスク増大の現状において、地域コミュティーが重要であることから、農協は助け合いを基調とする地域に密着した組織としての組合員の意志反映・運営参画に努め、よきパートナーとなることが重要である。
・観光・外食産業の低迷は、農家の所得収入減少に直結していることから、食料自給率向上に向けた具体的数値目標を発信して、農協グループ全体で農畜産物を応援する体制を整備することが喫緊の課題である。
・生産者・地域住民とのつながりを深め、困った人を支援するために何をするべきかを考える必要がある。
・コロナ禍の第2、3波に対応するため農業者・利用者への情報提供、補償制度の見直しと、地域での農協としてのあり方、支援、貢献活動について具体策を考える必要がある。
・食料自給率向上のため、農家の生産意欲向上のためにも、第2、3波に備えるため、国内農産物のPRを積極的に行うべき。
・協同の精神のもと、農業協同組合が永続的に発展するため、その存在意義を組合員および地域に伝えていく。
・全国の協同組合や農協が一致団結して、食料を安定供給できるような仕組みを強化し、組合員と共に地域の農業や暮らしを守っていく。
・組合員に本当に必要なサービスは何かを考え、必要とされる農協づくり。
・組合員および利用者に適切な情報発信を行い、適正な対応をする農協づくり。
・「食」を届ける重要性を認識し、「なくてはならない存在」である農協づくり。
・食の安全と安定的な提供は農協の大きな役割であり、それを遂行することで豊かで暮らしやすい地域社会をつくる。
・ライフラインと組合員の安定した暮らしを守り、地域に不可欠な組織でなければならない。
・組合員、地域住民への情報発信、正確な情報の把握、日ごろの情報供給に関する環境整備。
・地域のライフラインとして農協の総合力をもって臨む。
・消費者に国産を選んでもらう取り組みの展開。
・農業生産法人への支援、教育。
・BCP(事業継続計画)の整備、対策。
・外国人労働者に頼らなくてもいい国内労働力確保。
・生産者と消費者が一体となる事業を進める。
・国内農産物の消費拡大、農村振興。
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