JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~
調査が示したJAの存在感 商工業と農業で「地域ブランド」を 全国商工会連合会 森 義久会長【 緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~】2020年8月8日
地方において、中小・小規模の商工業者と農業者は相互補完の関係にある。主要産業である農業が衰退すると、地方経済も縮小する。全国商工会連合会の森義久会長は、JAグループの「組合員調査」の取り組みを評価するとともに、コロナ禍のもと、農商工の連携によって新たな時代を切り拓こうと呼び掛ける。
――JAグループは組合員との絆をより強めるための対話運動として、平成30年12月から1年かけて「組合員調査」を行いました。この調査をどのように評価していますか。
「地域が基盤」 商工会と共通
政府による農協改革が契機ではあったが、組織を挙げて自己改革に取り組まれていることは大変意義深い。特にJAグループの正・准組合員606万人を対象とした調査を実施したことは驚嘆に値する。また調査手法が、原則、JA役職員の直接訪問・対面による調査票の配布・回収と伺い、調査にかけるJAグループの熱意と本気度を感じた。
「組合員調査」は、組合員の生の声を聞き、その声に応えるための事業立案や組織全体のかじ取りを行うために重要な調査であり、現時点のJAグループに対して組合員の皆様がどのように評価しているかを把握できたのではないかと思う。
私自身、平成30年に第13代全国商工会連合会会長に就任した際、「会員あっての商工会」「商工会の会員になってよかった」と思っていただける組織づくりに取り組むことを明言し、47都道府県商工会連合会に直接足を運び、各地域の実情や課題をヒアリングした。全国商工会連合会への期待と厳しいご指摘もいただき、それらを踏まえて「商工会プラン2019」を示し、組織として進むべき方向性を示すことができた。
商工会は商工業者のための組織、JAは農業生産者の組合という違いはあるが、地域に根差した組織、地域あっての組織ということに違いはない。調査を通じて得られた声を自己改革に活かしていただきたい。
――調査結果についてのご意見は。
「准組」の支持 経営の判断に
最初に「組合員調査」を実施した事実について評価をしたい。JA役職員が一丸となって取り組んだ調査は、疎遠になっていた組合員との積極的な接点づくり、JAの事業を改めて説明する機会となり、組合員との新たなコミュニケーションの構築が図られたのではないかと思う。組合員の意見を踏まえた組織改革を実行していく姿勢は、JAグループのPRにもつながったはずだ。
調査結果を評価させていただく点として一つ目は、組織の根幹にも直結するJAの必要性についての問いに、組合員の9割超が肯定的に回答したことだ。70年を超えるJAの歴史と、「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合として、助け合いの精神のもとに、持続可能な農業と、豊かでくらしやすい地域社会を実現したい」という理念のもとに活動された成果が回答に表れている。
二つ目は、准組合員のJA事業の利用制限に関して、約9割の組合員が制限しない方がよいと回答したことだ。協同組合は、農業者・森林業者・漁業者などの中小・小規模事業者により成り立っており、そうした人たちが相互扶助の精神のもと、連帯し助けあい事業を実施している。会員一人ひとりによって成り立つ商工会と同様だ。農協改革の中で准組合員問題が論じられているが、調査により得た組合員約9割の意見を尊重し、今後の判断材料とすべきだと思う。
――コロナ禍は様々な問題を考える機会となりました。特に大都市への人口集中は地方の経済・社会の疲弊を招いていますが、地域(地方)のあり方、価値についてどのように考えていますか。
地方から活力 日本の牽引役
人口流出、人手不足、雇用の減少、インフラの不足、自治体の財政力など、地域が抱える問題はそれぞれ異なる。これらの問題が複雑に絡み合っており、各地の解決策もまた多種多様だ。
今、地方に目を向けると、コロナ禍の中も、地域の特色を活かし、地元に根差した商工業や農林水産業は懸命に事業を継続している。農林漁業が中心の自然豊かな地方は、これまで大都市と比べて交通の利便性、文化・医療、教育施設などのいわゆる都市インラにおいて劣ることが強調され、こうした地方のマイナス面が都市部へ人口が集中する要因として取り上げられてきた。しかしながら、ゆとりのある時間や暮らしやすさ、自然環境などは、むしろ人間生活を豊かにする要素を内在しているとして見直されている。
ゆえに、より魅力的な地域が創られるためには、それぞれの地方の強みや特色を探し、それを活かし、地域内外でのつながりの創出が必要ではないかと思う。その一つの答えが、商工会とJAとの連携である。例えば、地域の農産品と商工業者の加工技術で新たな商品が生まれ、地域の特産品となった事例も全国で報告されている。地方が注目を集め始めた今こそ、商工会とJAが連携によるお互いのノウハウを持ち寄り、地方から日本を盛り上げていく牽引役となることができるのではないかと考える。
――地域(地方)における商工業とJAの役割、全国段階も含め、両者の連携にどのように取り組んでいきますか。
JAグループ と連携で協定
私自身、商工業と農林漁業のつながりが非常に重要だと意識したのは、2010年の口蹄疫の流行だった。農家が大きなダメージを受けると、それが商工業にも波及することを肌で感じた。地域を支える中小・小規模事業者は業種ごとに切り分けることはできず、一体であると考えるきっかけとなった。
私は地元ではJAの組合員でもあり、日ごろから指導をいただきながら、商工会とJAが一緒に何かできないかと考えていた。地元では、我々商工会はJAや農家と朝晩の付き合いをしており、その延長線上に連携があった。
その一つの形が、2017年1月に鹿児島県商工会連合会とJAグループ鹿児島が連携して開催した「商工会まるごと特産品フェア」だ。視察に来られた山本幸三地方創生担当大臣(当時)からも高く評価をいただいた。JAの組合員、商工会の会員の双方が出店し、「もっと早く連携すればよかった」との声もあり、反響も大きかった。
フェアを視察し、連携の意義にもご理解いただいた山本大臣の提案で、同年5月、全国商工会連合会、日本商工会議所、全国農業協同組合中央会、全国森林組合連合会、全国漁業協同組合連合会の5団体で地方創生の包括連携協定を結ぶこととなり、全国各地で商工会とJAや他団体との連携が加速するきっかけとなった。
ともに発展へ 連携の強化を
今、新型コロナウイルスや頻発する自然災害などで日本経済は大きく変化している。これからは、企業規模の大小にかかわらず、あらゆる業種の企業でその対応が求められていく。中小・小規模事業者と地域の発展のため、商工会はJAをはじめとする他団体との連携を図り、豊かな地域づくりに邁進していかなくてはならない。
とりわけJAとは農商工連携等による「地域のブランド化」を進めるとともに、各種連携により互いの知見を活かし、消費者に選ばれる商品やサービスの開発、ブラッシュアップに取り組んでいく必要がある。そのためには近い将来、お互いの若手・中堅職員の人事交流を実施していくのも一つではないかと考えている。商工会とJAが連携を強め、ともに考え、ともに行動する組織としてさらに発展していくことを願っている。
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