JAの活動:私の意見・提言 JAへエール
JAの現場から ~いのちと暮らしと地域を守る~ 高橋専太郎 元JAいわて花巻組合長【私の意見・提言 JAへエール】2020年8月14日
元JAいわて花巻組合長
高橋専太郎
高橋専太郎
地方創生を国民全体で考え実践を
いま、地方都市のメインストリートは閑散としている。今まで街を支えてきた農村は衰退し、人がいない。高齢化率が40%を超えて収入が少ない農業をあきらめ、都会へ急ぐ若者が増えているためである。このため江戸時代から続く農業の存続ができない集落の維持が困難になってきている。
わが国の食料自給率は37%と後退する中で、国民の生活と暮らしをどう守るか。いま抜本的対策が急がれていると思う。新型コロナウイルスで世界中が混乱する中で課題として見えてきているのが東京一極集中である。政府が呼びかける地方創生が久しいが、地方ではいまだ地域活性化が程遠い感じである。
今こそ地方創生を国民全体で考え、実践すべきではないか。岩手県は全国唯一、しばらくコロナの不検分が続いた。寡(か)黙な県民性が評価されているが、それは大自然の中で豊かな心の人たちが助け合いながら生きてきた証でもある。昔からヤマセに悩まされ、冷害の常習地帯。お互い励まし合い、「結いっこ」の精神で農業をしてきた。そして美しい村を作ってきたが市場経済にのみ込まれた今日を憂う。
農村の人手不足から国の方針による集落営農をやっており、その農地の集積率が70%であるものの、今度は農業生産が上がっていない問題がある。収益力の高い農業をめざしてきたが、面積拡大による濃密な農業技術が発揮できないため、高収益、低コスト農業は風前の灯である。加えて新型コロナウイルス感染症の影響で農畜産物の需要も厳しく、農業と感染症時の両方へ農協組織の強力なリーダーシップを期待することと、国の手厚い保護政策を求めたい。
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