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JAの活動:ウィズコロナ 命と暮らしと地域を守る農業新時代への挑戦

地域農業を支えるスマート農業 JA全農耕種資材部・山田正和次長に聞く【特集:ウィズコロナ】2020年8月18日

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【インタビュー】農業新時代JA全農の挑戦

JA全農はクラウド型営農管理システム「Z-GIS」をプラットホームにして、エクセルで管理されたほ場情報に気象情報や栽培情報などのサービスを連携させるかたちで現場でスマート農業を展開し、生産者やJAを支援する取り組みに力を入れている。今回は農薬事業にとってのスマート農業の意義を耕種資材部の山田正和次長に聞いた。

JA全農耕種資材部・山田正和次長JA全農耕種資材部・山田正和次長

--本日は農薬事業に関する新しい技術やスマート農業への取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。最初に令和2年度の農薬事業の重点事項はどのようなものかお聞かせください。

まず全農の自己改革として引き続き取り組む課題があります。

農薬の担い手直送規格については今年度は16万haを目標にしています。5ha以上の水田を経営されている生産者の累計栽培面積が全国で約50万haですので、16万haは3割強に当たり、必達目標と考えています。来年度は中期計画3年目となりますが、約4割の20万haを目指します。

また、ジェネリック農薬の開発については、農薬取締法の整備もほぼ終わり、開発をさらに加速させていく方針です。

商品面からの取り組みとしてIPM(総合的病害虫・雑草管理)の取り組みのなかで天敵農薬の普及があります。

そのほかに物流環境が厳しくなるなかで、きちんと生産者まで農薬を届ける物流の取り組みも重点事項としています。

--そのなかで近年重要になっているスマート農業の現場での推進は、農薬事業にとってどんな意義があるのでしょうか。

ポイントは2つあると思っています。1つは農薬の使い方を効率化できるということと、より効果的な使い方ができるということです。

2つ目は今まで蓄積した防除に関する技術、ノウハウをリモートで伝達できるということです。

JAグループとして、これまで農薬総覧などを発行するなどして紙媒体で情報を伝えてきましたが、それをデジタル化することによって最新情報を常に伝えることができることと、必要な時に必要な情報を選んで受け取ることができるようになるということだと思います。

これを具体的な現場で考えると、いつ防除が必要なのか、どの農薬がいいのか、どのくらいの農薬が必要なのか、といったその圃場に特化された情報を得ることができ、すぐにドローン等を使って省力的に農薬を使用することができるようになるというイメージです。

--JA全農はスマート農業推進のプラットフォームとして営農管理システムZ-GISを運用しており、そのサービスには人工衛星によるセンシングや人工知能利用型の栽培管理システムとの連携なども進めていますが、これによって防除面から大きく変わることは何でしょうか。

これまでは生産者の経験値やJAの営農指導などのノウハウに基づいて防除を判断していたものが、より科学的な予測データを基に防除を判断することができるようになるということです。また、空撮画像などによりほ場を上から見ることで生育状況を見ながら、同じ一枚の畑のなかで適切に散布量を変えたりすることができるようにもなります。自分のほ場についての情報が蓄積することで、人工知能による予測の精度がより高まっていくということにもなります。

Z-GISはエクセルと地図情報を連携させてほ場の情報を表示する機能が基本ですが、一番の特長は一覧性をもって複数のほ場情報を見ることができるということです。そこにZ-GISの機能にはない予測情報が外部のシステムと連携して加わることで、たくさんのほ場の防除に関する情報を一覧で管理できるようになります。

現場で必要とされているスマート農業のシステムとは総合的であるということと、導入のために障壁が低いシステムであるということだと考えています。

総合的とは生産者が朝、その日の作業を始めようとしてZ-GISを立ち上げれば必要な情報が全てそこに表示されているということであり、障壁が低いということはパソコンがあればスマート農業をはじめることが可能であり、料金もそれほど高くなく導入しやすいということをめざすべきではないかと思っています。

--現場では高齢者と後継者不足で作業受託など面積が増え、あるいはニーズに合わせて作付けする米の品種も多くなって栽培管理、あるいは作業の管理が課題になっているという生産法人の声も聞きます。そうした現場の課題解決にもつながるということですね。

Z-GISはいわば事務所のホワイトボードに書き込んでいたその日の作業工程などをエクセルで入力し、パソコンやスマホでそれぞれの持ち場で見ることができるというシステムです。そこにデータ連携で天候や栽培予測情報などを加えていけば、さらに今日はどこから優先的に作業しないといけないか分かるようになるということだと思います。効率化が図れるだけでなく、みんなが端末を持っていますから、コミュニケーションの代用にもなります。もちろんそれによって経営規模をさらに拡大することにも貢献できると思っています。

--今お話があったZ-GISの情報共有(親子機能)ですが、産地として高位平準化した作物を供給していこうという戦略にも役立つのではないかと思います。個々の農業経営を助けるだけでなく、産地づくりの観点からも重要だと思われます。
この点はスマート農業推進室の平野幸教室長いかがでしょうか。

平野 そうですね。ある県で複数のJAとキャベツの出荷を取りまとめて出荷する取り組みを進めようとしましたが、いつ、どこのJAからどれだけ出荷するかは、直前にならないとわからないという課題があったということです。そこで各JAにZ-GISを導入して生産者と情報を共有しさらに県連がそれを管理していけば、生産者がデータを入力すれば産地全体としてどう生産が進み、どう出荷できそうなのかを全体としてつかむことができるようになります。その意味では産地づくりにもつながると思います。

山田 たとえば、ドローンを導入して上からほ場を見て、そのデータを取り込めば一定以上の大きさのキャベツがどれくらいあるか調べることもできます。そのデータをZ-GISで管理することによって生産者とJAをつなぐだけでなく、JAと県連、さらに販売先などいろいろな人をつなぐことにもなります。
私はこうした「人とのつなぎ機能」もZ-GISの機能であり、スマート農業推進の意義でもあると考えています。

--ありがとうございました。

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