JAの活動:ウィズコロナ 命と暮らしと地域を守る農業新時代への挑戦
若い力が開発「Smart勤ちゃん」 全農ビジネスサポート【ウィズコロナ 命と暮らしと地域を守る農業新時代への挑戦】 2020年8月19日
(株)全農ビジネスサポートは勤怠を管理するシステムのクラウドサービス「Smart勤ちゃん」を新たに開発しJAやJAグループ関連会社などへ提供している。この開発手法がお堅いイメージの全農グループの会社としては新しい時代を感じさせるので紹介する。ポイントは、(1)中途採用者も含む若手SE(システム・エンジニア)に責任を任せたこと、(2)アジャイル的な新しい開発手法を採用したこと。その結果、業界最安値級の低コストと若手ならではの遊び心も実現。さらに、JAや関連会社の業務実態も知らなかった若手社員が協同組合的な気持ちを育ててくれたことは大きな収穫、と同社幹部が話す。
若手メンバーを中心にアジャイル的な開発方式で
「遊び心」と「業界最安値級の低コスト」を実現!
開発に携わった若手SEのみなさん。左から望月香さん、森裕希さん、北畠みちるさん、坂下弘樹さん
アナログの良さを残したデジタル管理システム
働き方改革によって長時間労働の抑制など、厳密な勤怠管理が求められるようになっている。しかし、手書きやエクセルによる勤怠管理では、職員・社員の労働時間の正確な把握には限界がある。それでも実際には手書きで勤怠管理を行っている会社は少なくなく、同社が関連会社にヒアリングしたところ、まだまだ手書き管理が多いことが分かった。そこで2018年から1年かけて開発したのが「Smart勤ちゃん」だ。まずは、そのサービスの概要を紹介する。
朝、出社すると勤怠を打刻するが、「Smart勤ちゃん」ではQRコードをリーダーにかざすだけで打刻できる仕組みになっている。ICカードでは高額なうえ磁気データの損傷やカードそのものの紛失も考えられるが、QRコードであれば印字した紙を紛失しても自分用のパソコン画面から印刷することができることから、これを利用した。そのため再発行の手間やコストがかからない。
デスクでパソコンを立ち上げ、ログイン画面から自分の画面を開くと、出退勤時間の修正、休暇や残業、振り替え休日の申請などをこの1つの画面から入力できるようになっている。一方、上司はその休暇申請などの勤怠承認を自分のパソコンから行うと同時に、職員・社員の残業の実態などをリアルタイムで把握できる。
データはクラウド上にあり、強固なセキュリティシステムで保護されているのはもちろん、災害対策として第2センターのサーバーにも格納されている。
このサービスは、法定帳票として勤務月報や休暇台帳を出力することも可能で、さらにオプションで給与システムと連動させることもできる。また、働き過ぎの職員・社員について警告メールが上司などに発信される機能がついているのも特徴だ。
就業システム「Smart 勤ちゃん」機能概要
トコトン利用者の立場に立ちつつ、コストダウンを実現
開発の中心メンバーである同社クラウドサービスグループの望月香さんは、勤怠管理の見直しを検討している会社などに「Smart勤ちゃん」についておもに3つの特徴を強調している。
1つはクラウド管理によって労働時間を正確にかつリアルタイムで管理することができる点だ。勤務月報も月末を待たずに、必要な時にボタン1つで勤務実態を出力できる。あるいは残業にしても、法定内残業か、法定外残業かなどもリアルタイムで分かる。
2つ目はシステム導入コストを抑えたいというニーズに応えたシステムになっていること。使用頻度の少ない機能を省き、必ず欲しいという機能のみを実装した。それによって低コストを実現し、利用者にとっても利便性を高めた。たとえば、先にも触れた出退勤記録や残業、休暇申請などの勤怠入力はパソコン画面をあちこち移動せず、1つの画面で複数の手続きを完結できる。
望月さんは「働き方改革を支援するシステムなのに勤怠入力が職員・社員の方々の重荷になってはいけないということを意識して、入力しやすい簡単な仕組みをめざして開発しました」と話す。たとえばJAでは管理部門のほかに、選果場などの現業部門、さらに営農指導員や渉外職員などがいて労働条件が違っているが、自分で簡単に入力できるため、1人1人の勤務体系に合わせて勤怠管理ができる。最低限必要な機能を簡便に使えるようにしたことがコストダウンにもつながった。
3つ目は同社がシステム導入までしっかりサポートすることだ。
会社によっては導入にあたって改めて就業規則を整理したり、あるいは見直しも必要となることもあるが、望月さんたちサポートチームはそういった相談にも応じるという。その理由は、このシステムは会社ごとの就業規則に基づいて設定していく必要があるからだが、望月さんたちの対応は単なるシステム導入ではなく、その会社の働き方改革促進の支援にもなっているといえそうだ。「親身に話に乗ってくれるという声も聞いています」と同社幹部も信頼を寄せる。
利用料金は月額1人150円と業界最安値級の低コストを実現。初期導入費用はシステム設定料と1回分の説明会費用も含めて15万円となっている。ウェブ会議システムでの説明会も実施。そのほか給与システムデータとの連携も別途料金でサービスしている。
「Smart勤ちゃん」のログイン画面
勤怠入力画面。出退勤時間の修正、休暇や残業、振り替え休日の申請などをこの1つの画面から入力できる
楽しく仕事をしながら相手を親身に考える新たな協同組合の若手像!
同社の情報サービス部門では若手を中心にしてクラウドサービスなどの開発に力を入れている。「Smart勤ちゃん」も30代のリーダーのアドバイスを受けながらも、望月さんのほか20代の若手4人に任された。若い力のわいわいガヤガヤから誕生したのが「Smart勤ちゃん」といえるが、それを象徴するのが、各個人画面の左上に表示されている「金魚の勤ちゃん」だ。勤務時間などに問題がないとき、金魚の色は健康な肌色なのだが、働き過ぎると次第に黄から赤へと変わっていき、36協定を超える残業時間ともなれば、ついに「金魚の勤ちゃん」の目は血走る、という「遊び心」のある仕掛けを入れた。イラストもメンバーの1人が作成した。
開発にはこのようにいろいろ湧いてくるアイデアとその実践を管理するタスク管理ツールを活用した。1週間に取り組むべき事項を表示、チームでそれを振り返りながら軌道修正を図って完成にこぎつけたという。
「新しいシステムづくりの経験は、責任と喜びを感じました」とメンバーの1人、森裕希さん。
現在の導入状況はJAグループ関連会社といくつかのJAが導入している。若手が開発した「Smart勤ちゃん」は維持管理と利用者サポートも若手が担い、電話での問い合わせにも対応している。
「利用者のニーズに合わせて設定できる機能の幅が広く融通がきく。JAには使いやすいシステムだと思います。協同組合の一員として手厚いサポートをしていきます」と望月さんは話している。
◎(株)全農ビジネスサポート
JA全農の100%子会社として管財事業、情報サービス事業を展開。情報サービス部門ではクラウドサービスにも積極的にチャレンジし、ワンストップでのサービスを提供している。
◎(株)全農ビジネスサポートが提供するクラウドサービス
【勤怠管理システム Smart勤ちゃん】
働き方改革対応のためJAグループ向けに提供している勤怠管理システム。一定期間のデモ利用も可能。
○利用料:月額150円(1名)
○初期導入設定費用:15万円
○給与システムデータ連携:別途見積もり
~今だけキャンペーン実施中~
本契約をして頂いたらQRコードリーダーを差し上げます。(在庫が無くなり次第終了)
<問い合わせ:smartkin@z-bs.co.jp 03-3350-2128>
【自動車整備工場管理システム Smart Ams】
JAグループの自動車工場が利用している自動車整備工場管理システム。自動車修理の受け付けから整備内容の記録、請求書発行などを支援する。2020年3月末時点で88工場が導入。
○利用料金:月額2万円(1工場)
○初期導入設定費用:別途見積もり
○オプション機能:車検証QR読取、電子車検対応、車輛販売機能など
<問い合わせ:ams_team@z-bs.co.jp 03-3350-2133>
重要な記事
最新の記事
-
鳥インフル 国内47例目 千葉県で確認2025年1月30日
-
初動5年で農業の構造改革 28の目標掲げ毎年検証 次期基本計画2025年1月30日
-
営農管理システム「Z-GIS」と「レイミーのAI病害虫雑草診断」アプリが4月に連携開始 地域全体を簡単把握、現場データ管理がより手軽に JA全農と日本農薬(1)2025年1月30日
-
営農管理システム「Z-GIS」と「レイミーのAI病害虫雑草診断」アプリが4月に連携開始 地域全体を簡単把握、現場データ管理がより手軽に JA全農と日本農薬(2)2025年1月30日
-
2025年も切り花の品薄単価高が続く【花づくりの現場から 宇田明】第52回2025年1月30日
-
何かと言えば搗いた餅【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第326回2025年1月30日
-
雑草防除で成果保証型サービス開始 節水型乾田直は栽培を普及へ BASFジャパン2025年1月30日
-
担い手集め地域農業守る 労働力支援協議会が発足 JAみなみ筑後2025年1月30日
-
農林中金「アグリウェブ」に農業特化型生成AIを提供開始 きゅうりトマトなすび2025年1月30日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」神奈川県で幻の果実「湘南ゴールド」を収穫 JAタウン2025年1月30日
-
JAしまね「ファミマフードドライブ」を通じて食品寄贈 地域支援拡大の仕組みを構築2025年1月30日
-
「北海道スマートフードチェーンプロジェクト事業化戦略会議2025」開催 農研機構2025年1月30日
-
今年いちばん「うまい米」第11回「お米番付」最優秀賞など発表 八代目儀兵衛2025年1月30日
-
茨城県のブランド豚肉を堪能「常陸の輝きメニューフェア」2月1日から県内のレストランで開催2025年1月30日
-
「日本さつまいもサミット」今年度の特選生産者8組が決定2025年1月30日
-
【人事異動】協友アグリ(1月29日付)2025年1月30日
-
【人事異動】東邦化学工業(2月1日付)2025年1月30日
-
【役員人事】クミアイ化学工業(1月29日付)2025年1月30日
-
彦摩呂が驚く 南アルプス市のおいしいもの「タベサキ」新番組スタート2025年1月30日
-
農業課題解決と技術革新へ 広沢技術振興財団ものづくり技術助成事業に採択 AGRIST2025年1月30日