JAの活動:私の意見・提言 JAへエール
耕畜連携で循環型農業をさらに推進 栃木県JAなすの代表理事組合長 菊地秀俊【私の意見・提言 JAへエール】2020年8月19日

新型コロナウィルス感染症拡大は、わが国にまさに「国難」的な影響を及ぼしている。同時に、先進国として他国に劣らないと思い込んでいた医療体制や給付金の事務処理能力(迅速性)など、さまざまな分野で、平時には気づかなかった問題・課題を顕在化させた。政府を責めるつもりはないが、〝猫の目農政〟と同様、場当たり的かつ規制改革に偏重した政策の影に隠れていた課題が、今般のコロナによってあぶり出された形である。
新型コロナは、農業においても大きな影響を与えた。当JAは県内でも有数の畜産地帯であるが、活動自粛による需要減により、肉牛・子牛を中心に価格が下落し、園芸品目も下落した。
当JA管内は農業が基幹産業の一つであり、農業を守ることは地域を守ることにつながる。農業者への影響を最小限にとどめ、次期作への生産意欲を喚起することを第一義に、組合員に対し、JA独自の支援として「農業振興対策積立金」(目的積立金)を活用した独自助成を実施するとともに、国の交付金・補助金の申請支援に取り組んでいる。今後とも、農業者への支援を地域貢献の基本に据え、取り組む所存である。
また、新型コロナウイルス感染症は、食料安保の重要性を改めて考えさせられる機会となった。かねてから、我々農業生産者・団体は食糧自給率の向上による食料安全保障の確立を願い、めざしているが、今般のコロナ禍により、生産国が輸出規制を始めている。
本年3月に決定した新たな食料・農業・農村基本計画においても、10年後の食糧自給率45%が改めて目標として掲げられた。国は、これを単なるスローガンとすることなく、今般のコロナ禍を契機に、真の危機感をもって食料安保の一環として自給率向上に取り組んで欲しい。我々も、耕畜連携による循環型農業のさらなる推進と、飼料用作物の国内生産の拡大など、自給率向上と環境保全、農業者の所得増大に取り組んで行く。
そのためには、耐病性・加工性と利用目的に応じた適正品種の開発・改良や生産農家の取得確保のための所得保障制度の充実等、国の施策が不可欠である。食料安保は国民の命を守るための根幹である。規制改革・競争力強化を軽視するわけではないが、目先の効率性にとらわれることなく、地に足のついた長期的な視点で、日本の農業を考えていただきたい。我々は、そのような政策の下、真摯に、実直に生産者とともに汗を流していく所存である。
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