JAの活動:私の意見・提言 JAへエール
『大きな農協』最良か 経済活動と使命の折り合いを 和歌山県JA紀南代表理事組合長 山本治夫【私の意見・提言JAへエール】2020年8月20日
![和歌山県JA紀南代表理事組合長 山本治夫](https://www.jacom.or.jp/noukyo/images/nous20082032_1.jpg)
30数年前、大先輩に教わった「自宅の屋根に上がって見渡せる範囲が農協の活動範囲として最適である」との言。時代は変わりましたが、その心は今も通ずるものがあるのではないかと思っています。それぞれの立場から、また世の流れから合併をくりかえし、やむを得ずであるが、大きな夢であったか分かりませんが、合併して組織を大きくすることが、今なお最良の選択であるかのような論調が多くを占めています。果たしてそうなのでしょうか。
JAの歴史は合併の歴史であるといわれるように、戦後合併が繰り返され、数万ともいわれたJAは、直近では数百のJAにまで減少しました。しかし、テーマにある掲げた「命と暮らし、地球を守るJA」を考えたとき、地域住民とJAの心が通い合い、信頼関係が築かれていなければ、お互いに単なる通り過ぎる風景に過ぎません。合併を繰り返し、組織が大きく地域が広がるごとに、その風景は遠ざかっていきます。
広域や、県一合併を想定したとき、網の目が粗くなり、JA組織として、都合の良い地域住民だけとの関係になってしまうのは当然の帰結と思われます。現実には、合併の進捗とテーマは相反するものと考えざるを得ません。
いつも思案することですが、掲げられたテーマはJAの大きな使命の一つと考えます。一方、JAも当然のことながら経営体です。経営体と掲げるテーマの折り合いをどうつけるのか、常に悩むところです。
地域住民は、日常的には必ずしもJAが経営体であることを意識していないでしょう。行政組織と同じように、JAは存在すること自体が自然のことと思っているかも知れません。しかし現実には、費用対効果を厳しく問い詰めていかねばならないのが経営体であるJAです。法律一本で税収を得る行政とは別次元の組織体であることを、地域住民にも日々の活動の中で理解を得ていかねばなりません。夢のようなことばかり言ってはおられません。
NGOでもNPOでもないJAが「地域を守るJA」活動と経済活動とをいかにリンクさせるかにかかっています。ややもすれば行政のように金銭を媒介せず行動を求められ、またJAも同様に、それが使命であるかのように訓練されてきた面があるのではないでしょうか。
テーマを含め、教育文化活動や地域貢献を、事業活動とどのように結びつけられるかが、今JA組織に求められている最重要課題と認識しています。
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