JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~
「No.1」の産地・JAめざして JA鹿児島きもつき(1)【JA対話運動】2020年9月18日
JA鹿児島きもつきは、「JAの自己改革に関する組合員調査」で営農関係の改善度の評価が高い。同JAは、職員一人ひとりのやる気を引き出し、組合員と一体となったチーム力(チームきもつき)で、営農関係だけでなく、さまざまな事業を展開。それが平成29年の第11回和牛能力共進会宮城大会における鹿児島黒牛のチャンピオン獲得に大きく貢献した。チーム力は他の事業分野にもおよびJAの指導力への信頼が高まっている
「チームきもつき」で10年後は日本一の家畜市場へ
JA鹿児島きもつき管内は、東は太平洋、西は錦江湾に臨み、内陸部は高隅山系と国見連山に囲まれ、寒暖の差や日照などの気象状況の変化に富んだ地域。それぞれ地域の特性を生かした多様な農業が展開されている。
管内は、広大な畑作台地、肝属川水系の水田地帯、海岸沿いの無霜地帯に大別され、畜産と野菜の生産が盛ん。鹿児島県の農業産出額は平成29年で約5000億円に達し、1兆2700億円の北海道に次ぐ、全国2位となったが、それには繁殖を中心とする肉用牛の貢献によるところが大きい。
同JAの販売取扱高は令和元年度で約296億8000万円。うち肉用牛が約166億円と半分以上を占める。これに養豚の約45億円を加え、畜産関係だけで200億円を超える。ほかに温暖な気候を生かした野菜が60億円あり、管内の農業は畜産をメインにプラス野菜で成り立っている。
農と食と交流の場、賑わう「どっ菜市場」
チーム力を発揮 和牛で日本一に
鹿児島県の黒牛は2017年、宮城県で開かれた第11回全国和牛能力共進会の総合部門で日本一を獲得した。官民一体となった「チーム鹿児島」の取り組みの成果だが、鹿児島県代表の30頭のうち13頭が同JAの出品牛だった。
生産者が高齢化し、繁殖経営農家が減少するなかで、肉用繁殖牛の生産を維持するためJA鹿児島きもつきは、子会社の「きもつき大地ファーム(株)」を設立。また2018年には(株)きもつき豚豚ファームを立ち上げ、直接、畜産経営に乗り出している。養豚では離農者の空き豚舎を利用し、就農希望者を雇うなど、将来の後継者の育成にも取り組んでいる。
生産だけではなく販売面で農畜産物のブランド化にも力を入れる。17年には管内、肝付町・南大隅町の「辺塚だいだい」がGI(地理的表示保護制度)登録を取得。また特産の茶を飼料とした豚は「茶美豚(チャーミートン)」のネーミングで販売している。
さらに、20年4月には県内最大規模となる農畜産物直売所「アグリパークかのや・どっ菜市場」を鹿屋市にオープンさせた。地元の生鮮食品や加工品、それに県産和牛、ブランド豚などを販売する。農家レストランや、農泊などの受け入れや出荷者のための研修施設なども備えている。「農と食と交流のテーマパーク」がコンセプトで、組合員や地域の人を含めた交流の拠点としての利用を勧める。
こうした組合員の所得向上へ向けたさまざまな取り組みを始めたのは、農協改革集中推進期間と同じ時期の2015年から。「No.1きもつき 起こそうイノベーション」のスローガンのもと、「チームきもつき」を合言葉に、職員一人ひとりのやる気の引き出しに努めた。
このスローガンのもと、さまざまな分野でNo.1を目指した。それには個々の力をチームとしてまとめることが必要で、それを「チームきもつき」として意識付けした。具体的には、まず、組合長が組合員と職員にメッセージを発信し続けた。また若い職員を巻き込み、さまざまなプロジェクトや対策チームをつくり続けた。職員の提案で、役職員専用の「灯台手帳」を作成。また運動会の展開、通常総代会の盛り上げ大作戦、全国和牛能力共進会大作戦などの取り組み課題が次々と挙がった。
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