JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~
「推進」から「相談」へ 悩み解決に事業活用 JAぎふ岩佐哲司専務【JA対話運動】(2)2020年11月30日
全戸訪問活動で職員の意識に変化
職員の意識が変わる
2018年度の3回におよぶ全戸訪問は「推進から相談」への改革という成果を引き出したが、もう一つの大きな成果として、「職員の意識が変わった」と岩佐専務はみる。当初、全職員による全戸訪問を打ち出した時、推進目標を達成し実績を上げている職員から「なぜ、戸別訪問が必要なのか」という疑問の声も上がったが、訪問活動を続けるなかで、職員の意識に変化がみられるようになった。
同JAは、2018年度の3回におよぶ全戸訪問に続き、19年1月、さらに20年7月、やはり全組合員を対職員象に、新型コロナ対策として、非対面によるアンケート用紙のポスティング、あるいはQRコードによって意見集約を行った。さらに今年の4月からは、訪問活動の内容、感想を「くらしの相談受付簿」として、訪問した職員に提出を求めた。
「電球が切れて困っているお年寄りに電球を買ってきて付け替え、喜ばれてうれしかった」などという、小さなサービスの報告もあるが、岩佐専務は、「そうしたきっかけが大事。さまざまな悩みごとを話してもらえるようになる関係ができる」という。その成果は、くらしの相談受付簿にみることから読み取れる。
「昨年の戸別訪問では、『推進』が前面に出てしまったが、訪問の結果が、結果的に推進につながっていることが分かった」という報告もあり、しっかり職員の意識改革につながっている。4月から半年余りで、受付簿は1万6000通を超える。
KJ法で議論深める
JAぎふには、「MST」(未来を背負って立つチーム)というプロジェクトチームがある。昨年スタートした職員の学びの場で、問題発見・解決型職員としての力量を持ち、地域統括マネジャーとして、あるいは将来はJAの幹部として活躍できる職員を育てようというものだ。公募と推薦による12人の職員で構成し、現在、①子育て、子ども課外授業の支援②行政とタイアップしたお年寄りの見守り活動③過疎地区の村おこし―など、実践的なテーマで取り組んでいる。
また同JAには各部屋にホワイトボードが置かれている。KJ法(データをカードに記述し、グループごとにまとめて図解する方法)による、問題発見・解決のために使うもので、MSTプロジェクトだけでなく、ディスカッションの方法として一般化している。「こうした方法でファシリテーション力(スムーズにミーティングを進める能力)を高めることが、戸別訪問の際に、相手の話を引き出すことに役立つ。ホワイトボードがないと、会議が進まないくらい、同JAで定着している。
支店運営委員会でも、「これまでのような、JAから一方的に説明するようなやり方ではいかん」という雰囲気が出てきた。JAの理事会でも、「もう少し議論すべきだ」という意見が若い理事から出るようになったという。
対話は「伝える」役割も
戸別訪問は組合員の相談ごとを聞くことのほか、JAの事業を「伝える」役割がある。同JAは、第3次中期経営計画について4回、JAの自己改革について、アンケートによる独自の組合員調査を行い、自己改革の進捗(しんちょく)状況についての評価と期待度を聞いている。それによると、回を重ねるにつれて自己改革への評価は高まっているが、期待度との比較では、すべての事業で評価より低い。
岩佐常務は「自己改革を実践し、数値上では目標を達成しても、それが組合員、利用者に伝わっていない。満足してもらえなければ意味がないのであって、対話を通じて『伝える』ことが大事」と、対話の役割を改めて強調する。
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