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JAの活動:2021持続可能な社会を目指して 今こそ我らJAの出番

【特集:今こそ我らJAの出番】企業と連携し、豊かな地域社会へ JA上伊那(長野県) 御子柴茂樹組合長(上)2020年12月23日

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長野県のJA上伊那は、生産資材の農村市場で競合関係にあるホームセンターと提携し、組合員へのサービスを維持・向上に努めている。農家の減少で縮小する市場で、生産資材の購買事業改革のモデルとして関心を集めている。同JAはコンビニエンスストアとも提携し、生活購買事業の改革にも取り組んでおり、同JAの御子柴茂樹組合長は「地域の企業でできることは任せて、本来、農協がやるべき事業に資源を集中すべきだ」と、異業種との提携の意義を強調する。

御子柴組合長御子柴組合長

コメリ8店舗にインショップ

――コメリとの提携の話はどのようなきっかけで始まったのでしょうか。

JAの経済事業改革のなかで10店舗ある資材店舗の縮小削減の検討に入りました。しかし、生産資材事業に対する組合員の強い要望を考えると単に店舗を減らすだけでは解決にならないと感じました。
そこで上伊那管内で8店舗を経営するコメリとの業務提携ができないか、コメリと取引のある農林中央金庫の長野支店長を通じて、協業についての協議を開始しました。JA上伊那管内は農業が盛んで農業資材の需要も多く、コメリにとってもJAとの提携は新たな事業展開・ビジネスチャンスが発展すると考えたと思います。

――JAにとってはどのようなメリットがありますか。

管内の組合員の農業資材店舗に対する要望は年中無休で、早朝から夕方遅くまで利用できる時間帯での営業を願う声が大きかった。しかし就業規則・働き方改革などの問題もあり、加えて人件費も増加することから、対応は簡単ではありませんでした。そんななかで、店舗の統廃合により組合員の要望に応えようと試みましたが、それも困難であり、コメリとの「協業」を考えました。
当初は相互乗入の業務提携も検討しましたが、JAマークの肥料などの生産資材をコメリで販売することは、全農との系統仕入れなどの問題もあって難しいことが分かり、考慮の末、コメリの売り場を借りるインショップ委託販売方式に至りました。JA上伊那には資材店舗が10店舗あり、この店舗と同じエリアにコメリの店舗も8店舗あり、それらの資材店舗を整理しコメリの売り場へ商材を委託する方式としました。

コメリでのインショップ、オープンの式典コメリでのインショップ、オープンの式典

営農相談は出向く体制で

――組合員にとってはどんなメリットがありますか。

コメリに置くのはJAマークの付いた施肥基準に基づく肥料とオリジナル資材、農薬は防除基準に指定されたものを置いています。本来、組合員にとってJAの肥料や農薬を購入するのは予約購買が基本で、店舗は当用対応として予約購買で足りなかったり少量の資材を購入したりする時利用しています。従って店舗を閉めた地区の組合員が当用資材を必要とする時、近くのコメリへ行けばJAの店舗と同じ条件で資材を購入することが可能となりました。
JAはコメリとの提携により3拠点資材店舗とコメリのない地区2か所に出張店を設けることにしました。これにより、管内の資材店舗はJA5店舗とコメリ8店舗と合わせ、従来の10店舗から13店舗の資材購入インフラが完成することになりました。コメリは夜7時半まで営業ができ、組合員の求めるサービス面では大きく向上したと思っています。当初、説明してもなかなか理解していただけずJAの店舗を減らすことに抵抗もありましたが、今ではほぼ満足の声をいただいています。
ただし、組合員の声のなかにコメリでは購入相談ができないとの不満の声もあります。次年度から公用携帯電話をスマートフォンに替え、指導員と直接連絡が取れるようにするとともに、出向く体制を強化します。
コメリとのインショップ契約は経済事業の集約と利便性の向上を目指したもので、提携の最大の意義はここにあります。提携はお互いにウィンウィンの関係を築くことに双方の売り上げアップが期待できます。また、JA店舗は農業専門店とし商材を揃えることに集中できます。
お互いで地域の農業生産を維持し、生産できる環境を守ることにより、より良い農村地域社会を築くことが、JA上伊那としての今回の目的です。

コンビニとも提携8店舗で

――コンビニのファミリーマートとも提携していますが同じ考えですか。

ファミリーマート店は、管内に10店舗展開しています。従来Aコープ店等を閉店した地区を中心に営業してきております。ファミリーマートとの提携は、店内で販売するおむすび等米製品の原料として提携前から上伊那米が使われていました。さらに、米の取引拡大と店舗内に地域の生産者の農産物直売コーナーとエーコープマーク商品とオリジナル加工品等を置いてJAの経営するコンビニとしての特徴を出した営業をしています。
こうした異業種との提携の目的は、地域でJAでなければできない事業に経営資源を集中することにあります。JAは「農」が基本の組織です。JAがやらなくても良い事業は企業にお願いし、無駄なコストをかけないようにし、そのコストを農業に関連する事業に投資することがJA上伊那の経営改革の基本姿勢です。

――具体的にはどのような取り組みがありますか。

管内1万2000haの農耕地を有効に使い、農業生産に資するため、管内に集落を中心とする法人を45法人、
の兼業農家は、勤めながら土日や必要な時に法人に労力を提供し、農業生産活動をするとともに集落の機能を維持し地域社会の安定に資しています。

「地域になくてはならない組織」に(下)

コメリのJAコーナー

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