JAの活動:JA全国女性大会 花ひらく暮らしと地域 時代を変える女たち
【特集:第66回JA全国女性大会】大会によせて 食と農をむすぶ原動力に 輝け女性組織活動 関口聡 家の光協会専務に聞く2021年1月20日
JA教育文化活動はJA女性組織メンバーら組合員と役職員にとって協同組合としてのJAの組織基盤を強め、地域社会づくりに貢献する。JA全国女性大会を機にその意義と女性組織への期待など家の光協会の関口聡代表理事専務に聞いた。
家の光協会 関口聡専務
――協同組合運動は教育に始まり教育に尽きると言われます。改めて教育文化活動の意義や、教育文化活動に関わる家の光協会の取り組みなどをお聞かせください。
教育文化活動の概念化は、1975(昭和50)年代のはじめに、当時は京都府立大学の助教授をされてた京都大学名誉教授の藤谷築次先生のご協力をいただいてすすめました。
本会がなぜ教育文化活動を提起したかといえば、合併によりJAは広域化・大型化し、事業と組織の規模が拡大する一方、組合員とJAの距離が開き、組合員の多様化、管内の混住化が進むなかで、組合員とJAとの結びつき、組織力を強化しながら、協同組合としての特性をどう発揮していくかが求められているという状況がありました。
そうした状況に対応するために、教育活動や広報活動、生活文化活動をそれぞれ関連づけながら一体的に展開し、組織基盤を強化する取り組みを教育文化活動として提起したということです。
本会の事業もJAの教育文化活動を支援する事業として整理し、「家の光文化賞」は本会の事業を活用して教育文化活動に積極的に取り組み、顕著な実績をあげられたJAを顕彰し、その取り組みを全国に紹介する事業として位置づけました。
教育文化活動については、『JA教育文化・家の光ニュース』などでその重要性を訴え、先進事例を紹介したり、「全国家の光大会」や、「家の光文化賞JAトップフォーラム」などで実践報告をいただいてきました。
また、先進的な取り組みをされているJAの常勤役員の皆さんからなる委員会を発足し、教育文化活動をJAの事業としてどのように取り組むかを検討いただき、その検討結果を「支店協同活動をすすめるために」「JA教育文化活動実践の手引き」などにまとめ、教育文化活動による「JA全国大会」決議実践のために活用いただいています。
自己改革をすすめていくうえで、特に組合員のアクティブ・メンバーシップの確立・強化のための取り組みとして、教育文化活動はより重要になっていると思います。
――毎年の「全国家の光大会」での記事活用体験発表は、まさに教育文化活動の実践と成果で発表に感動を覚えます。
記事活用体験をご発表の皆さんは、JA女性部員であるとともに、正・准組合員です。その発表は、まさにアクティブなメンバーの、あるいはアクティブなメンバーとなるまでの素晴しい活動報告であると感じています。
実際に記事を活用された皆さんのご発表なので、圧倒的な熱量があり、それが参加者の皆さんの大きな感動を呼び、ぜひ自分たちもやってみようと全国へと波及する大きな力となっています。
「全国家の光大会」は1956(昭和31)年に始まりますが、記事活用体験発表の内容を振り返ると、当然のことながらそれぞれの時代における農村、農家、女性の置かれた状況、その状況をふまえた農協婦人部やJA女性組織の課題を反映したものになっています。
1955(昭和30)年代は農業経営の改善、食生活や台所などの生活改善、読書会活動といった内容が多く、それ以降は健康管理活動、家計簿記帳運動、農産物自給運動、冠婚葬祭の合理化、さらに農産加工、介護福祉活動、小グループ活動、直売所の開設、JA運営への参画、食農教育、特産品や農家レストランによる地域起こし、環境保全活動などへと変わってきました。
自己改革、SDGs、防災についての取り組みも発表いただいていますが、『家の光』を活用して自分も輝き、仲間も輝き、地域も輝く、という発表が増えてきているのではないかと感じています。
――JA職員による普及・文化活動発表についてはいかがでしょうか。
本会ではJA職員の皆さんから、支店協同活動、組織活動、学習活動などでの『家の光』の活用事例を「家活グランプリ」として募集していますが、「全国家の光大会」でもさまざまな「家活」の取り組みの発表があり、私たちも大いに学ばせていただいています。
かつては、生活指導員さんが農協婦人部活動や生活活動に『家の光』を活用し、成果をあげられたという発表が多かったのですが、教育文化活動が広がるようになってからは、JAの事業として教育文化活動を位置づけ、役職員の皆さんの理解を得ながら、普及活用運動によって教育文化活動を進め、組織基盤の強化につながった、という発表が増えてきました。
自己改革が最大の取り組み課題となっているので、教育文化活動を通じての組合員のアクティブ・メンバーシップの強化による自己改革の実践を強く意識された発表が、多くなっていると感じています。
――コロナ禍の収束見通しが立たないなかでも、JA女性組織などの活動をどう支援しますか。
コロナ禍のため、人と人とが対面して行う活動が困難という状況のなかで、JA全国女性協は「Withコロナ時代における新たなJA女性組織の活動指針」を示されました。本会はこの指針と連携し、自宅での記事活用や学習活動を支援するために、マスクの作り方や牛乳の消費拡大につながる簡単ドリンクの作り方などを紹介する「家活でコロナに負けるな!」や、「5分でざっくり分かる小林元のJA・農業講座」「10分でざっくり分かるSDGsとJA」などの特設サイトを開設し、動画の配信を行っています。全青協とも連携し、『地上』をテキストにしたオンライン学習会を提案しています。
また、担当部課長、支店長に集まっていただく「地区別JA教育文化活動研究集会」も、昨年11月にオンラインセミナーとして開催したところ、参加された皆さんからは「移動の時間が不要で参加しやすい」「JAの集合研修にリンクさせたので、関係者全員が参加できた」などの声を多数いただきました。
もちろん実出席してのグループディスカッションや、懇親会での交流も大切ですが、オンラインだからこそのメリットも出てきました。今後コロナ禍が収束すれば、従来のような実出席でのセミナー・研究集会にも力を入れていきますが、オンラインのメリットも生かしながら実出席とオンラインを組み合わせて、より効果的に教育文化活動を支援していきたいと考えています。
――JA運営への女性参画の意義についてはどう考えますか。
JAは、「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」をめざすべき姿としています。「農」については、農業従事者の半数が女性ですから女性はまぎれもなく「農」の当事者です。そして「食」については、JA女性組織の皆さんは家庭で料理に携わるだけでなく、JAの食農教育、料理教室などの活動に積極的に取り組まれています。
このように「食」の場面でも当事者であり、「食」と「農」をつないで消費者とのつながりを作る貴重な実践をされています。さらに「食」と「農」に関わる活動を含め、JA女性組織活動は「地域に根ざした活動」です。まさに女性は「食」「農」「地域に根ざした活動」の当事者なのですから、JA運営に参画されるべきではないかと思います。
また、JAは総合事業を展開していますが、生活事業などへ女性の意見、感性をしっかりと反映していくためにも女性の参画は必要でしょうし、そもそも直売所や介護福祉事業などは、JA女性組織の要望や活動からはじまったという事実があります。その点から言っても、女性の参画が求められるのではないでしょうか。
――家の光協会としての事業の当面の方針はいかがでしょうか。
2017(平成29)年度から、JA全中の理事会決議にもとづく「日本農業新聞・家の光を活用したJA改革情報共有運動」がすすめられており、引き続き『家の光』をはじめとする各媒体から的確な情報発信を行うとともに、魅力ある誌面づくりに努めていきます。
また現在、JAの経営基盤の強化・確立のための取り組みが急速にすすめられているなかで、組合員との対話運動から組合員のアクティブ・メンバーシップの強化、確立へと向けて、教育文化活動をどのように支援していくのかが、本会最大の課題であると認識しています。
先程述べたように、このたびのコロナ禍対応としてのオンラインの力を、役職員の皆さんへの教育文化活動についての情報提供と、担当者、読者の皆さんとのネットワークづくりに生かしていきます。
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