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JAの活動:第67回JA全国青年大会特集号 持続可能な社会をめざして 切り拓け! 青年の力で

【インタビュー】田中圭介JA全青協会長 使命はしっかり種を播き食料を届けること2021年2月1日

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JA全青協は2月16日に第67回JA全国青年大会をウェブ形式で開催する。スローガンは「Let’s think! 大地とともに未来をひらけ~今こそ絆が試される」。コロナ禍で活動が制限されるなか、JA青年組織活動の発表の場であり、若い盟友の思いを発信する場であり「絶対に残すべき」と盟友が一致したという。16日の大会に向け田中会長の思いを聞いた。

田中圭介JA全青協会長田中圭介JA全青協会長

--コロナ禍のなかでの会長就任となりました。苦労が多いと思いますが、どんな活動に取り組んできましたか。

昨年の全国大会の頃から感染が拡大し、その後の会議はすべてウェブを中心に開催せざるを得ませんでした。5月に会長に就任しましたが、今年度執行部が初めて全員集まることができたのは11月でした。

このように盟友と会えないことからの出発でしたが、就任当初から私はコロナ禍のなかで農業者としていちばんやらなければならないことは、しっかりと種を播いて農畜産物を安定的に国民に届けるということだと考えていました。これが我々の使命だと。

地域の若い農業者はその使命を達成するために手を止めてはいけないし、JA青年組織は人と会ってモチベーションを高め合い切磋琢磨して活動の幅を広げていくというのがいちばんのあり方だと思います。そういった、ごく当たり前だったことができないということになりましたが、全青協の事業は海外研修を除いてすべて予定どおり行うこととなり、2月のJA全国青年大会についてもウェブでみなさんと真剣に大会のあり方を話し合いました。一堂に会することができなくなる中、何のためにJA全国青年大会を開くのか、かなり議論しました。

そのなかでJA全国青年大会のいちばんの意義は、地域で行っているJA青年組織活動の発表の場であり、さらに若い盟友の日頃の思いを発信する場だということを、改めて確認することができました。コロナ禍であっても、その発表の場としてJA全国青年大会は絶対に残すべきではないかということです。

大事なことは地域の活動だと思いますから、各地域のリーダーが今までどおりの活動ができない状況のなかで、やれる活動に挑戦することが非常に大事だと思っています。そこにどう刺激を与えるのかということが私の大事な仕事だと考え、みなさんに、しっかり考えてやれることに挑戦しようというメッセージを発信してきたところです。

--コロナ禍で国民の消費行動も変化しましたが、将来の日本農業を担う青年農業者としてどう考えますか。

コロナ禍で品目によっては大打撃を受けたものもあります。たとえば和牛は売れなくなり、牛乳も給食の中止で消費が伸びなくなり花も打撃を受けました。ただ、落ちた需要は徐々に戻ってきています。今後はJAグループとしても農業生産に力を入れる必要はありますが、それをどこに落とし込んでいくかをしっかり考えなければいけないと思います。すぐには難しいとしても、品目の転換やほ場の分散化など考えるきっかけが出てきたと思います。その一歩を踏み出すのは、私たち青年農業者です。

この組織がいいのは、それぞれの地域で考えたことをみんなで共有できるということです。ネット販売を取り入れてみたらかなり伸びたという声はよく聞きますが、それにチャレンジしてみようという人が出てくるというのは、JA青年組織のいいところだと思っています。

コロナ禍が自分たちの農業や活動を考えるきっかけとなり、何ができるかを追求していくと組織としても、個々人の農業でも新しいものが生まれてくるということです。それを一人ひとり考えることが大事だと思います。

今年度のJA全青協としてのテーマは「学習」でした。分からないことを自ら学習し、10年後の農業を実現するための知識をしっかり持とうということです。

--政策提案のための「ポリシーブック」の活動はどう展開していますか。

今年度はポリシーブックの「作成」ではなく「活用」していこうと話し合ってきました。ポリシーブックには農業の課題についてほとんど盛り込まれていますが、何のためにポリシーブックを作ったかといえば課題解決のためです。解決のための活用をしようというのが今年度の方針でした。 そのために今年度は課題を細分化して6つの部会を設置しました。作目別部会として水田、青果、畜産、課題別部会として農業経営、地域活性化、都市農業の計6つです。その部会ごとに課題をピックアップして解決策までしっかりと政府・与党、農水省に提言をしていこうと取り組みました。

この部会には全国の会長や委員長にも入ってもらい、11月までに3回の部会を開いて議論し、11月には一斉要請で国会議員に提言し、3月には農水省に提言することを予定しています。

今年度は皆、ポリシーブックを熱心に読み直しています。そのなかで現在大事な課題は何か、あるいは課題の本質は何かといった洗い出しや深堀りに取り組んで学習をしています。

たとえば、水田部会では米余りで主食用米から非主食用米に移行しなければならないという切羽詰まった状況にあるなかで、では、なぜ移行しないのかという本質を話し合うと、やはり皆、手取りが減るからだという。手取りが減ることを、やろうぜ、と言っても誰もやりません。こういうことを訴えています。政策が甘いと、誰かが取り組むだろう、となって誰もやりません。しっかりとした政策を打ち出さないと、現状を変えていけないということです。

青果部会がいちばん問題意識を持ったのは、収入保険です。背景には自然災害で大きな打撃を受けるということがありますが、なぜ収入保険への加入が進まないのかということを議論したうえで、平行して野菜価格安定制度も検討しました。この2つの制度は似ているようで役割が違い、収入保険は年間の収入をベースに補てんしていく制度であり、野菜価格安定制度は産地における次年度の作付けをしっかりできるように補てんするというものです。

来年度からはこの2つの制度に同時に加入することができますが、やはりどちらにも良さがあり野菜価格安定制度も残してほしいというのがわれわれの提言です。野菜産地の形成には価格安定対策はなくてはならないものですし、やはり次期作に取り組もうというときに、価格下落した場合の補てんはありがたいです。それがないと作付けを減らさざるを得ませんから、産地形成ができなくなります。

一方、収入保険の良さは特定の品目ではなく年間を通じた農家の収入減少を補てんしていくものです。青色申告していることが要件ですが、収入保険に移行して1年目は、5年平均の青色申告者と同じ比率の補てんではなく、段階的に上がっていくということですから、それなら加入できないという声も出ます。こうした制度の本質を調べながら政策提案をしているということです。

また、農業経営部会のテーマは労働力です。農の雇用事業がありますが、これは新規就農者の研修の費用を補てんする政策で労働力を増やそうということではありません。現場で困っているのは新規就農者を増やすことも大事ですが、農業従事者を増やしてほうが断然、地域の農業者が助かります。それを支援する政策が必要だということを提起しました。

このように課題を一つひとつ明確にして提言や要望をしてきたということです。

--JAの自己改革は組合員との対話を重視して不断の改革に取り組んでいますが、JAの対話運動についてはどうお考えですか。

全中の中家会長も対話運動の大切さを強調しており、全国のJAで組合員の話を聞く機会を増やしていると思いますが、一方的になっていませんか、ということです。対話は対等に話すということですから。

全国で対話運動をすることは非常に大きな力になると思いますが、各JAで組合員に何を返していくのか、それが本当の対話になるのではないか、と思います。JAは小さいことでもいいからできることからやっていくということが非常に重要だと思いますし、JA青年組織盟友は自分たちの組合長はじめ役職員としっかり話すということも大事だと思います。われわれがよく言っているのは、文句は誰でも出せるからわれわれは対案を出そう、ということです。

--改めて大会スローガン「Let's think! 大地とともに未来をひらけ~今こそ絆が試される」への思いを聞かせてください。

やはりコロナ禍で非常に考えさせられる期間ができて、自分たちで考えよう、というスローガンが盟友から出てきました。この「Let's Think!」は非常にしっくり来ました。

そして「大地」は常にわれわれの足元にあって、農業者はそれを使わせてもらっているわけですからないがしろにしてはいけないということと、気持ちが暗くなるような状況ではありますが、明るい未来を切り開いていくのは自分たちだというメッセージを込めました。

それから、会えなくてもつながっているというのが「絆」ということです。今年度はお互いに会うことができなくてもウェブミーティングなどで場を作ってきましたが、逆に実際に会うときには何をやりたいのか、会うことの重要性も考えました。
初めてのウェブによる全国大会ですがみんなとつながっているということを実感できるようにチャレンジしていきたいです。

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