JAの活動:築こう人に優しい協同社会
【コロナ禍を乗り越え 築こう人に優しい協同社会】JA石川かほく現地レポート(2)若手農家に聞く 米対策は長期展望で 地域の持続性見据え2021年12月6日
JA石川かほく(石川かほく農協)は水田・砂丘地・干拓地を生かし、産地づくり・担い手づくり・むらづくりをめざす。農協事業の先頭に立つ西川一郎代表理事組合長にインタビューした。同農協は水稲と園芸作物の複合化チャレンジを進める。西川組合長は「農協の存在感が問われる時代となっている」として、頼りになる農協をめざす。また、産地を支える若手農家にも話を聞いた。(聞き手・村田武金沢大学・九州大学名誉教授)
竹田尋平さん(左)山田慧さん(右)
若手農家に聞く
「高松ぶどう」継承へ「新芽」 竹田尋平さん(47歳・就農6年目)
竹田さんは、18歳から40歳まで金沢市で看護師として働き、農業をやってみたいと、41歳になって「高松ぶどう」の専業農家であった実家に就農している。砂丘地1・7haで、「デラウェア」80%、「ルビーロマン」20%などの栽培である。高松ぶどう生産組合(55人)の就農5、6年目という若手の組織「新芽の会」(17人)を立ち上げ、ハウス管理などブドウ栽培技術の向上に努力している。
「『新芽の会』の立ち上げは、農協のバックアップがあってのものでした。ぶどう栽培農家の大半は小規模で、高齢化にともなってやめていく農家が少なくありません。『アグリサポートかほく』で新規就農研修生を増やしていくことを大いに期待しています。」
山田慧さん(35歳・就農7年目) Uターンで米作りに力
津幡町の中山間地の集落営農で平成26(2014)年に法人化した「農事組合法人竹橋営農組合」(組合員20人)は、水稲20ha(うち飼料用米10ha)、ソバ6ha、大麦6haを栽培している。山田さんは、この営農組合のオペレーターである(オペレーターは営農組合長と山田さんの2人)。山田さんは津幡町の生まれではあるが、18歳から16年間、神奈川県相模原市のトヨタ自動車工場で働いた。「農業に興味があったので、故郷の『アグリサポートかほく』で3年間研修し、「竹橋営農組合」のオペレーターに採用されている。
「『アグリサポートかほく』は、研修生にやさしかったですね。続けて農業をやりたい気にさせてくれました。農協の営農指導員がひんぱんに顔を出してくれています。米価下落は、営農組合にとっては大打撃です。米価を政府が支えないというのなら、農業機械の更新はぜひとも助成してほしいですね。若い人が、野菜・果樹だけでなく水田稲作農業に入りやすいような環境をどうつくるかが課題ですね」。
【取材を終えて】
水稲主幹の農協が、コロナ禍のなかでの米消費の減退にともなう米価下落のなかにあって、地域農業をどう再編・産地維持を図るかという課題に積極的に立ち向かうモデル的な取り組みを聞くことができた。加えて、「持続可能なJA経営基盤の確立」という喫緊の課題に対する取り組みについても、しっかりしたトップマネジメントを構築して対応するという西川組合長の組織指導力があってのものだろう。それは、組合長インタビューに同席いただいた竹中義和総務部部長、脇田琢也営農部部長からもうかがうことができた。
(村田武)
【JA石川かほくの概要】
JA石川かほく(石川かほく農協)は、石川県の真ん中、金沢市のすぐ北に隣接したかほく市・河北郡2町(内灘町・津幡町)を管内としている。1994(平成6)年に、内灘、津幡農協など河北郡内6農協の合併で誕生し、1996(平成8)年にはJA津幡中央が合併して、河北郡市全体をカバーするJAになっている。組合員数9086人(うち正組合員4857人)、役職員数169人、農畜産物販売額31・4億円である。水稲栽培面積は1860ha(うち飼料用米140ha)、大麦と大豆がそれぞれ66ha、河北潟干拓地(管内分は45ha)では大麦・大豆に加えて、酪農経営(10戸、搾乳牛1000頭)の牧草栽培がある。小松菜、スイカ、ナガイモ、ラッキョウなどの園芸作物も合計50ha近い作付けがある。さらに日本海に沿った内灘砂丘につながった砂丘地は、古くからのぶどう産地であって、栽培農家60戸(27ha)の「デラウェア」の産地ブランド「高松ぶどう」の生産組合は100年の歴史を誇る(「高松」はかほく市の旧高松町の砂丘地からの産地名)。石川県開発の高級ブドウ「ルビーロマン」も3haになった。
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