JAの活動:第67回JA全国女性大会特集
【第67回JA全国女性大会特集】提言・JAあづみ(長野)組合長 千國茂 女性が主体 目的はしあわせづくり(1)2022年1月19日
1月19日、東京大手町のアグベンチャーラボで第67回JA全国女性大会が開かれる。女性大会によせて、長野県あづみ代表理事組合長の千國茂氏に「実現しよう!「協同」と「共生」の新しい世界 わたし発 今、女性が生きる意義と役割」として提言してもらった。
JAあづみ 組合長 千國茂
生活基本構想重視 今も確信
第29回JA全国大会は「持続可能な農業・地域共生の未来づくり」を決議したが、私の農協人としての原点は1970年(昭和45年)の第12回大会で決議された「生活基本構想」であると思っている。
私が当時の農協にお世話になったのが1975年(昭和50年)だから策定されたときの経過を知っているわけではない。すでに現場では同構想に基づく運動が取り組まれていた。その中へ飛び込んだのであるから当時はそういうものであることを疑いもしなかった。
しかし、あれから40年、この間の農協改革、とりわけ平成28(2016)年の改正農協法によって産業としての農業に資する農協へ目的が変更されるに至り改めて「生活基本構想」に思いをいたすのである。
昭和45年の第12回大会で生活基本構想「農村生活の課題と農協の対策」が決議され翌46年から農業基本構想と生活基本構想を2本柱とする「総合3カ年計画」運動が展開されることになる。生活基本構想については「経済の高度成長に伴い組合員の異質化・多様化が進み、生活内容が高度化する、反面では激しい経済社会の変化により生活上の不安が増大するなかで、農協運動は生活基本構想の課題と対策に即して体制を整備し生活活動を強化し組合員の生活を守り向上させること。また、協同の輪を地域住民に広げ、ともに経済的利益と生活の便宜を得る新しい地域社会の建設に取り組む」とした。
「農協の使命が組合員の営農とくらしの向上であり、その輪を広く地域住民に広げ新しい地域社会をめざす」とした決議と今回の改正農協法の根底にある思想とのあまりの落差に驚きを禁じ得ない。
私は今でも農協のミッションは「組合員とともに組合員のしあわせづくりをめざすことにあり農業はその大切な手段」と思っている。「目的はしあわせづくり」と信じて疑わない。
しかし、「職能組合」「准組合員への事業利用規制」が論ぜられる環境下では、私の声は空しい。
「小さな協同」世代別で躍進
さて、前置きが長くなったが、改正農協法の論議にかかわらず「組合員とともに組合員のしあわせづくり」をめざす運動は脈々と継承されている。
その主体は女性である。
JAあづみは昨年、創立55周年を迎えたが女性の果たしてきた役割を語らずには歴史を語れない。その活動の一端を紹介しよう。
当組合は、昭和41(1966)年に「一郡一農協」をめざして発足(完成は平成元年)した。もともと、助け合い・支えあうという気風が根付いていた土地柄であり、加えて、第2代全国農協中央会会長 米倉龍也氏 第5代会長 堀内巳次氏と二人の全国リーダーを輩出し組織活動を大切にしてきた組合である。
組合員組織としての農家組合(くみあい会)、協力組織としての農協青年部・農協婦人部は合併草創期から重要視され合併直後の農協にあって極めて重要な役割を担ってきた。高邁(こうまい)な議論も大切であるが現実と現場に直面する中で日々農業を営み暮らしを支えてきたのは他ならぬ女性たちであった。
こうしたなかで昭和61(1986)年、婦人部が世代別活動を提唱した。20代~30代を「ふたば会」、40代~50代を「みつば会」、60代~を「よつば会」と命名し三つの世代別組織に再編成し各世代に即した活動が実践された。
効果はすぐ現れた「ふたば会」からは「労働銀行」が発案された。あらかじめ登録された人が農家から要望のあったとき労働を提供するというもの。リンゴ農家の多い安曇野では摘花、摘果には一度に大量の人出が必要となりこの取り組みは画期的であった。
「よつば会」は、女性の出産後の家事援助や一人暮らしの高齢者のお世話をきっかけに「助け合い制度」が生まれた。その後の「JAあづみ くらしの助け合いネットワークあんしん」、今日の「特定非営利活動法人 JAあづみ くらしの助け合いネットワークあんしん」が産声をあげたのである。
「あんしん」の活動をくまなく紹介する紙面はないが、年ごとに増加する高齢者。「生きていくことへの不安」「老いていくことへの不安」「暮らしていくことへの不安」を抱く多くの組合員・住民に対して「みんながつながっている。地域から独りぼっちをなくそう」をスローガンに高齢者元気活動と有償ボランティア活動を中心に早20年になる。
今では、地元行政の仕事も受託するなど安曇野にとってかけがえのない存在となっている。
しかし、彼女たちの目標は介護活動に留まらない。「あんしん」のめざすものは「あんしんして暮らせる里づくり」。その目標に向かって「学んで実践」を合言葉に「座学で学んだことを地域で・家庭で実践することをモットー」に20年間 を走り続けてきた。この活動における「人づくり」の場がJAが主催する「生き活き塾」だ。直売所の運営、菜の花の栽培と食用油の製造、学校給食への提供など塾を起点とした環境保全、福祉、生きがいづくり、といった小さな協同活動が展開されている。
そして、これらの活動の輪は地域を巻き込んだ活動になってきた。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日