JAの活動:全国集落営農サミット
【全国集落営農サミット】〈事例発表3〉若者呼び込む仕組みを提案2022年2月10日
「次世代につなぐ集落営農の実践」をテーマにした第6回全国集落営農サミットでは、滋賀県のJAグリーン近江営農事業部営農振興課課長補佐の和田 洋氏が後継者となる若者を集落営農組織に呼び込む仕組みづくりについて発表した。
JAグリーン近江
営農事業部営農振興課
課長補佐 和田 洋氏
参加へのハードル下げる
管内には134の集落営農法人があるが、JAと法人が互いに出資し合ってパートナーシップを形成するとともに、JA出資法人連絡協議会を設置して研修会などを実施している。JAとしても、地域農業戦略に位置づけて支援してきた。
管内の多くの集落営農法人では、集落人口の減少・跡取り不在農家の増加を背景に、若者世代間、親・若者世代間の関係が希薄化し、若者世代にどう作業に参加してもらったらいいか分からないといった声があった。こうした状況を打破するため、いくつかの法人では、JA担当者も出向いて問題解決のための話し合いをコーディネートしている。
ある集落営農法人では30代、40代だけで青年組織をつくり話し合いの場を持った。若い世代はみな「いつかは自分たちが参加しなければならない」と思いながら、1人で参加するのはハードルが高いと不安に思っていた。青年組織をつくったことで、参加へのハードルが下がり、機械作業の研修などに参加しながら後継者としての意識を高めている。
女性の力 引き出す
また、ある集落営農法人では、集落営農法人の代表者とその奥さんに女性TACが女性の農作業への参加を持ちかけたところ、娘が苗箱運びに加わった。これをきっかけに他の構成員の子ども世代の若い女性やその夫、さらには孫世代まで参加するようになった。ここで特徴的なのは、若い女性がオペレーターもしているということ。彼女らが大型特殊やフォークリフトの免許を取得するなど「作業ができる一員としてがんばります」と活気が出てきた。
さらに、別の事例では、現在の耕作者が8人、子ども世代は4人の組織で、今のメンバーでは立ち行かなくなるという危機感があったが、非農家も含め組織に参加してくれるよう若者に声をかける専門の担当理事を設定した。できたばかりの法人ではあるが、次の役員改選で新しい役員を入れることを目標に取り組んでいる。
最後の事例では、エダマメやスイートコーン、果樹の栽培などに取り組んでいるが、農作業のアルバイト募集を呼びかける手作りポスターを作り村の祭りで宣伝したところ、高校生がアルバイトに応募してくるなどの動きが生まれてきた。
JAとしてはこうした集落や地域に応じた若者グループづくりに力を入れていきたい。現在の構成員の息子世代は人数が減るが、まだまだ声掛けをしたら、集落営農法人には人を集める力がある。集落営農法人は地域で働くという意味で子育て中の女性にもメリットもある。
また、JAには大型機械による作業受託を中心に地域農業を支援している㈱グリーンサポート楽農もあるが、地域の若い世代とも連携を図って集落営農の持続に貢献していきたいと考えている。少しでも農業に関わってもらう次世代を作るために地域をサポートし、農作業をサポートしJAと農家組合員が助け合う仕組みづくりに力を入れていきたい。
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