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JAの活動:第69回JA全国青年大会

【インタビュー】JA全青協 佐藤崇史会長 未来を彩る花となれ JA全国青年大会を前に2023年2月21日

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JA全青協(全国農協青年組織協議会)は2月21日から第69回JA全国青年大会を千葉市で開く。3年ぶりの実開催となる今大会のスローガンは「5万盟友(パワー) 未来を彩る花となれ~ピンチの今こそ最大のチャンス~」。大会を機に佐藤会長に大会への思いと盟友、JAへの期待などを聞いた。

JA全青協 佐藤崇史会長JA全青協 佐藤崇史会長

モノづくりへのこだわり

――最初に佐藤会長の経歴を聞かせてください。

祖父は大工、父は若いころ自動車のデザイナー、母方の実家は左官業という環境でしたから小さい頃からモノを造ることに関心があり高校はインテリア科に進みました。そこで木工に興味を持ち、どうせやるなら宮大工の修行をしようと卒業後は京都に行きました。

その後、地図に残る仕事をしようと、岩手に戻って建築士と土木施工管理士になりました。そこで、建設業をやりながらJA江刺青年部に入りました。地元の青年部は農家でない人にも農協祭りなどのイベントで人が足りないから手伝ってくれと呼びかけています。農家でなければ入れないという青年部ではありませんでした。

当然、農業者の知り合いが増え農業を仕事として意識するなか、結婚した妻の実家が専業農家だったということから就農したということです。

今は、叔父とともに水稲20haと大豆10ha、ブロイラーは妻と甥とともに7万2000万羽を飼養しています。そのほかに集落の農事組合法人のオペレーターとして受託作業も担っています。

農の価値 次世代に

――会長に就任後、どんな取り組みをしてきましたか。

ここ数年はコロナへの対応を最優先に活動をすることを考えていましたが、昨年からコロナに加え、さまざまな世界情勢の影響に国内でどう対応していくかを考えなくてはならなくなったのが今の青年部活動であり、農政の課題だと思っています。

一番に取り組んだのが肥料、飼料の高騰対策です。何とか年内に現場に手当が届くようにしてほしいという要請を最初にしました。苦しい状況を乗り越えてからではなく、苦しんでいる最中に支援が届くようにしてほしいと。それに取り組みながらも、米や生乳など需給バランスが崩れている品目について自分たちは自助で需給調整の努力をしていますが、自助とJAグループとしての共助だけではなく、目に見えるかたちでしっかり公助として対策をとってほしいと要請してきました。

そのなかで強く感じているのが、絆創膏の政策、対症療法が多いということです。人間でいえばやはり本格的な健康診断や予防接種などを行っておけば、適切な対策がとれる。それが農政は対症療法が過ぎるから国民の理解が得られにくいのかと思います。もっと生活者、事業者、そして農業者の全体で話しをすることが必要だと強く感じています。

そのなかでわれわれ生産現場にいる農協青年部の長所は消費者に近いこと、そして長年培ってきた食育や地域とのネットワークがあるということであり、とくに次世代、子どもたちに日本の食と農、環境というものを伝えていく責務があり、それを青年部は得意としてきたのではないか、この積み重ねが大事だと改めて思っています。

農業のファンづくりを

――3年ぶりの実開催となる全国大会の意義をどう考えますか。

大会スローガンには、すべての盟友が自分の地域の農業を彩る花となってほしいという思いを込めています。5万人がそれぞれの地域を彩る花となることによって日本全体の明るい農業につながってくると思います。今、苦しい状況であるからこそ、ぜひ下を向かず、花は上に向かって咲くのだから、上を向いて笑顔で集おうということです。

今年度は青年部活動の意義をきちんと示していこうということを重視しています。我々の活動の先に盟友の成長がある。我々の成長の先にこそ、我々の明るい未来があるということです。営農を続け、青年部活動を通して自分たちがレベルアップすることが、日本農業全体を底上げすることができるということです。

今大会の目玉は国民のみなさんとの共有、日本農業のファンづくりです。モデルの佐藤晴美さんをお招きし、参加者巻き込み型のパネルディスカッションを行います。農業の魅力や可能性、われわれが伝えたいことが片思いにならないように両思いにできるようなパネルディスカッションを考えています。

それから全国の青年組織の活動実績発表、青年の主張で発表される熱い夢や活動などをしっかり共有して刺激をもらい切磋琢磨するのが全国から集う意味だと考えます。

――今、基本法の見直しが議論されています。今後求められる議論をどう考えますか。

すでに議論になっていますが、平時のときにどう日本の食料を確保し続けていくかだと思います。また、国内に食べられないという人がいるわけですから、そこにきちんと食料を届ける仕組みも必要です。農地は国土保全の点からも利活用していかなければなりませんから、平時にどれだけ安定的に食料を供給するかという議論がもちろん大事です。

ただ、それには生産と消費をうまく回していかなければなりませんから、農業者、事業者、消費者のそれぞれの努力と役割が重要です。ですから農業者だけでなく事業者と消費者も納得する基本法でなければ意味がないと思います。その納得があるからこそ食料安全保障の強化にもつながるということだと思います。

みどり戦略 農業理解のチャンス

――消費者に納得してもらう農業という点では地球環境問題に農業はどう対応するかのという問題があり、具体的にはみどり戦略です。これをどう考えますか。

いいチャンスだと思っています。みどり戦略のなかでグリーン化を進める栽培方法を示していますが、それを実践するにはまだ課題も多いと思います。ニーズが消費者に増えてくればその栽培法を見たいと思ってくれて、都市から農村部へ足を運ぶことになり、農業自体を見てもらうチャンスになるのではないか。われわれも来てもらっても恥ずかしくないような栽培法や農村風景を作るということに取り組むことで確実にレベルアップすると思います。

やはり見られるという機会や交流できるという長所をうまく作っていくことがグリーン化の目標にもなるのではないかと思います。とくに土に触れる、緑と接するというのは食育にもつながります。ただ、みどり戦略をどういう技術で実現するのか等、まだまだ課題はあります。

グリーン化を進めるには私は農産物の規格や流通のあり方まで考える必要があると思います。有機農業などへ栽培法を変えていけば、今までどおりの箱や袋に入る農産物ができるとは限りません。それなら欲しい本数だけ買うという流通のスタイルに変える。無駄も省けるでしょう。グリーン化を本腰で進めるならこのように流通まで含めて考えなければならないと思います。

今のように技術と数値目標だけ言われても、どうやればいいか考えられません。どこまで国も本気でやるかだと思います。もちろんわれわれも勉強は進めており、今はまず土壌診断をしっかりやろうとしています。現状をまず把握しようということです。

JAは人づくりを

――盟友のみなさんは将来のJAの担い手でもあります。今後のJAにとって求められることについてはどう考えますか。

やはり人づくりです。組合員をつくり、新規就農者や若手生産者をつくるのはもちろんですし、農業のファンづくりも必要です。

JAが優れているのはそれぞれの地域に根差し人とのつながりを作ってきた組織であるということです。しかもそれが日本中にあるのがいちばんの魅力です。ということはそれぞれのJAにそれぞれの地域とのネットワークがあり、そのなかで小学生や中学生が毎年誕生していくよう子育てができる環境とセットになっていなければならないと思います。農村できちんと子育てができるような環境をJAも本気でつくっていかなければならないと思います。農業は子育てに非常にマッチしていますから、その意味でもJAにとってこれから人づくりが大事だと思います。

また、次世代総点検にも取り組んでいますが、産地としては事業承継をどう実現していくか、これも人づくりです。高齢化でリタイアする人もいますが、それをだれが引き続き産地として持続させていくか、それを地域で考えることがJAの組織としての持続性につながってくると思います。日本は資源が少ないと言われますが、知識と人はあります。人という資源に対して投資をしていくことができるのが協同組合だと思いますから、その先頭にJA、農業の協同組合が立ってほしいと思っています。

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