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JAの活動:米のカントリーエレベーター品質事故・火災防止強化月間

計画荷受けで事故防ごう 「CEは食品工場」意識徹底 JAいわて花巻 石鳥谷カントリーエレベーター2023年8月21日

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全国の大規模乾燥調製貯蔵施設の管理・運営改善に取り組む全国農協カントリーエレベーター協議会、JA全農、公益財団法人農業倉庫基金の3団体は、毎年8月1日から10月31日までの3カ月間を「米のカントリーエレベーター品質事故・火災防止強化月間」に定め事故防止の徹底を呼びかけている。今回は「カントリーエレベーター(CE)は食品工場」との意識のもと、徹底した清掃はもちろん、ネズミ対策では粘り強い追及で原因と独自の予防策で安全を確保するなどの効果的な実践に努めているJAいわて花巻の石鳥谷CEを訪ねた。「当たり前のことを行っているに過ぎません」と語る同CEの取り組みを紹介する。

石鳥谷カントリーエレベーター石鳥谷カントリーエレベーター

米集荷の重要拠点 フレコン利用7割

JAいわて花巻は花巻市、北上市、遠野市、釜石市、西和賀町、大槌町の4市2町を管内とし、米関連施設では52の農業倉庫、13のCEなどがある。
石鳥谷CEは1993年完工、94年から稼働した。サイロ貯蔵設備は本サイロ335tを6基、乾燥設備は循環型乾燥機45tを備える。

取り扱い品種は「ひとめぼれ」の1品種。利用者は法人を含めて約200となっている。収穫後、生産者は金属コンテナかフレコンでCEに持ち込む。現在はフレコン利用が7割まで普及したという。貯蔵量は2010tだが稼働率が75%のため例年、1500tが取扱量となっている。

荷受けのスタートは9月20日から下旬にかけて。10月初めにピークを迎え中旬に荷受けは終了する。その後、一次乾燥(水分を17%に調製)、仕上げ乾燥(14%に調製)を行い、11月中旬までにもみ貯蔵を完了する。
その後、生産者への飯米供給を手始めにもみ摺り作業を始め、JA全農いわての出荷販売計画に合わせて翌年の6月にかけてもみ摺り、出荷を行う。

同CEは常勤の主任オペレーターは1人、その他、稼働期間には事務員が勤務する。もっとも出来秋には臨時職員を8人ほど雇用する。出荷者の受け付け、コンテナの搬送、サンプル採取と自主検査、もみの張り込みなどの作業が出来秋には連日続くほか、乾燥は夜間も行われる。

(左から)米穀販売課の泉田課長補佐、笹森さん、齋藤さん(左から)米穀販売課の泉田課長補佐、笹森さん、齋藤さん

朝礼で作業確認 「慣れ」は禁物

出来秋の荷受け前、6月から8月の盆過ぎにかけてCEでは大掃除を行う。床の掃き掃除は毎日行っているが、この時期には乾燥機など多くの機械を人手をかけて清掃する。心がけているのは「前年のもみの混入がないように」だ。

清掃用具の置き場・機材類も品目と個数を明記清掃用具の置き場・機材類も品目と個数を明記

始業時には朝礼を行い、その日の作業を確認する。荷受け期であれば、その日の出荷量予定などを全員で確認する。同JAでは収穫前に利用者への説明会を開き、その年の刈り取り適期を伝えるとともに、集落ごと計画的に受け入れる日程などを説明している。
その上で荷受けが始まれば毎日、どの生産者が出荷予定なのかを朝礼で確認する。

また、作業の注意事項も確認する。たとえばフォークリフトに乗るときはヘルメットを着用するのは当たり前だが、それも口頭で確認する。
主任オペレーターの齋藤誠さん(営農部米穀販売課施設利用係)は「慣れっこになっていることも確認します。当たり前のことをきちん実践することが大事と考えています」と話す。
さらに就業時間内に手が空いているときは常に清掃することを心がけており、齋藤さんは今や「掃除をしなければ気が済まない」と話す。

もちろん米を扱うCEとして理由がある。もみ摺りを行った後に、床を清掃するともみが落ちていることがあるという。それはもみを流すパイプなどに破損があるためだ。

完工から30年経ち出来秋前の点検とともに補修も欠かせなくなっているが、シーズン中の破損もあり得る。しかし、毎日、徹底的に清掃していれば、作業後の清掃時に床で見つかったもみは、その日のもみ摺り作業で落ちたものだと分かる。どこが破損したのか発見につながるだけでなく、清潔な床に落ちたもみであればサイロ等に戻すことも可能だ。毎日、清潔に清掃していなければできないことである。「農家から預かった米。一粒でもゴミにはしたくありません」と笹森賢一調査役は話す。

ネズミの侵入防止にタワシを活用ネズミの侵入防止にタワシを活用

「頭上注意」の札「頭上注意」の札

スコップも定位置定数管理スコップも定位置定数管理

原因を徹底追及 ネズミを撃退

床の隅々まで目を光らせるなか、数年前、齋藤さんはCE入り口のシャッター下部のゴムにかじられたような傷を見つけた。そこで入り口にトラップを仕掛けたところ、見事にネズミがかかった。そこでネズミはチクチクしたものを嫌がるため、シャッター下部にタワシや古いほうきを置いたところ効果は抜群で「この5、6年、まったくネズミの侵入はありません」という。

また、CE内での作業で頭部をぶつけないように危険な箇所には「頭上注意」の札を貼っている。
出来秋には夜間も乾燥作業を行うため、夕刻時の引き継ぎも重要になる。当日の荷受けの状況と翌日の予定を確認する。同CEでは乾燥中は1時間に1回は見回り、手動で水分を計測し過乾燥にならないよう点検する。本乾燥時には30分に1回、水分を計測するという。その後、保管中は気温、湿度、穀温は毎日チェックする。また、結露が生じていないかどうか、週1回はサイロ上部を点検する。

こうした作業を作業日誌に記録する。作業日誌は、荷受け時、乾燥(一次乾燥、本乾燥)、もみ摺り(出荷)、サイロ管理、といった作業ごとに記録する。
火災予防対策は喫煙場所の指定の徹底と乾燥機の点検に取り組む。

筆記用具も定数管理筆記用具も定数管理

各種の用具名を箱ごとに明記して保管各種の用具名を箱ごとに明記して保管

各種の作業日誌各種の作業日誌

食品工場の意識で用具管理を徹底

CE内の工具・清掃用具は置き場所を決めるとともに、定数の管理もしっかり行っている。さらに特筆されるのは、事務所内の筆記用具もペン立ての側面に本数を記載して管理していることだ。きっかけはある食品会社でペンの本数管理を行っていると聞いたこと。CEは米という大事な食を扱う施設、それなら自分たちも、と取り組んだ。

「白衣を着用してクリーンルームで作業というわけではないですが、CEも食品工場であり、クレームなく消費者に届けることが大事だという意識は臨時雇用の人たちも含めて持ってもらうよう努めています」と笹森さん。

齋藤さんは「用具などを徹底的に管理することによってモノがなくなることがなくなりました」と話し、また、ネズミの侵入経路が判明したように「自分で原因を徹底して突き詰めることで被害をなくすこともできた」という。ただ、こうしたさまざまな取り組みについて「特別なことという意識ではありません」と「当たり前のこと」を実践してきただけと強調している。

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