JAの活動:第44回農協人文化賞
【第44回農協人文化賞】総合事業で貢献めざす 茨城県・JA水郷つくば組合長 池田正氏2023年12月21日
多年にわたり献身的に農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第44回農協人文化賞の表彰式が11月30日に開かれました。
JAcomでは、各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載します。
JA水郷つくば組合長
池田正氏
小学校では飼育委員。中学校では緑化委員長と子どものころから動物・植物にふれあうことが好きで、大学は10年ぶりに箱根駅伝に帰ってきた"大根踊り"の東京農業大学に進学。卒論のテーマは、土壌微生物の分解作用についてでしたが、学業は振るわず農芸化学科収穫祭実行委員長が唯一の大学での足跡です。
昨年、江口文陽学長、白石正彦先生、自分と鼎談をしましたが、今も土壌学教室の後藤先生に補習を受けています。
小学3年生でボーイスカウトに入団。自然体験活動を通し自分学びを実践しました。中学3年生の時、世界大会に参加し、大学時代から指導者として活動しています。現在は、茨城県ボーイスカウト維持財団の副理事長として後進のサポートをしております。
岸田総理大臣に特産のレンコンを贈呈
さて、農協との出合いですが、就活として外資系薬品メーカーを希望しておりましたが、昭和の時代は家電話で、最終面接の案内を日本語の通じない会社には就職しないと父親が辞退。
昭和54(1979)年、縁あってOBがいた土浦市農協に営農指導員として採用され、5年後花き担当となり、グラジオラスが茨城県花き銘柄産地第1号の指定を受けることができました。
日本の花の需要は、菊、バラ、カーネーションなどが主流でしたが、ヨーロッパを部会員20人と視察しオランダでアルストロメリアの導入を決めました。苗代が高額で融資に当たり、JA共済にご加入頂きました。そのうち1人が残念なことに導入2年目に突然の病でご不幸に遭われました。若い方で跡継ぎも幼く家業を継げる状況ではなく、残されたご家族もJA共済金で金銭的な負担だけは回避できたことが救いです。この経験から新規事業や規模拡大で農家さんが投資される時は、営農指導員として毎回JA共済をお勧めしました。また、農家さんは退職金もなく年金も少ないためJA年金共済に多くの方にご加入頂きました。
平成6(1994)年に1市1町1村6JA合併があり、15年いた営農部から総務企画部へ異動となり、相談課長として相続相談も寄せられ、相続税を支払う時、共済金があって助かったと感謝されました。
その後、金融部を振り出しに総務企画部、資産管理部、そして共済部と8年で4部長を拝命しました。平成25(2013)年には信用・共済担当常務に就任。平成29(17)年JA土浦の組合長に就任。平成31(19)年2月、4市2町1村3JAが合併して初代組合長に就任し、今年度3期目の信任を賜りました。
この間、思い出に残るのは、共済部長に就任して間もなく、土浦・つくば両市にまたがる竜巻が発生し100件以上の被害があり、集落ほとんどが組合員であり、被害調査も半月に及びました。それもつかの間、2年目に、東日本大震災があり茨城県南部でも甚大な被害に見舞われました。この時は、あまりの被害の大きさに朝から晩まで職員総出で被害調査を実施しておりましたが、まったく追いつかず関西・九州地方の被害調査チームの応援を頂きました。迅速で的確な審査査定には今も感謝しております。一つ一つのJAは小さくても全国に仲間がいて、いざという時応援いただけることは、JAの強みであり組合員の強みでもあります。この経験はJA共済のありがたさや業務の重大さを身に染みて感じました。組合員と利用者から感謝され、労いの言葉を多数いただけたことが一番の幸せです。そして、金融・共済事業の担当常務となり、いち早く取り組んだのが共済事業エリア戦略であります。今までは過去の実績に応じて目標を立てていましたが、市場性や地域特性を踏まえた支店LAの配置、一斉推進とLAが連携した情報提供制度を共済連と協議し新たに導入しました。ふれあいの日などを活用し、エリア内情報をLAと共有してエリアの目標、支店の目標を達成する方式に改めました。
新JAでは、エリア戦略をより発展させた総合渉外体制に改めて、組合員と地域・利用者のみなさまが、生活を取り巻く様々なリスクに対し、備えを万全にして不安なく暮らせるよう、3Q訪問活動を通し、あんしんチェックを積極的に実施した保障提案をエリア特性に応じて取り組み、みなさまの期待に沿える推進体制を図っています。
新JAでは、管内の特産品のレンコンを小学校学校給食に提供しての食育活動と少年野球などを開催して青少年の健全育成と体力づくりに貢献しております。また、職員・組合員や地域住民とのつながりを大切に考え、いきいき健康づくりプロジェクトの一環として、JAアンバサダーによるヨガ・呼吸法の健康教室を定期開催して健康長寿への貢献など地域貢献活動を展開しております。結びに、世界中には多くの協同組合があり12億人以上もの組合員がいます。その中でも総合事業で組合員を支える日本の農業協同組合は最も優れた組織の一つであり成功事例です。これからも総合事業体制をしっかり維持・発展させ、組合員、地域・利用者に貢献できるJAを目指してまいります。
【略歴】
いけだ・ただし
1956年7月生まれ。79年土浦市農業協同組合へ入組。2009年4月〜12年3月共済部長。13年4月〜17年5月常務理事。17年6月〜19年1月代表理事組合長。同年2月から水郷つくば農業協同組合代表理事組合長、現在に至る。 現在、茨城県農業協同組合中央会代表監事、茨城県厚生農業協同組合連合会経営管理委員、全国共済農業協同組合連合会茨城県本部運営委員、農林中央金庫JAバンク中央本部委員、全国農業協同組合中央会作目別委員会・広報対策員、全国農業協同組合連合会系統経済事業委員会・園芸事業委員を兼職。
【推薦の言葉】
エリア戦略の早期導入
JA水郷つくばは、共済事業の3Q訪問活動を積極的に展開し、あんしんチェックによる「ひと・いえ・くるまの総合保障」の提供を通じた新規契約、ニューパートナー獲得に取り組み、事業基盤の維持・拡大を推し進めている。また、管内の地域特性や市場性を踏まえたエリア戦略の普及施策をいち早く導入し、市場性を踏まえた目標設定や支店LA配置、一斉職員とLAが協力し合う「情報提供制度」を導入した。
また、地域の子どもたちへの管内農産物を用いた食育活動や、JAの認知度向上とJAファンづくりを目的とする「JA水郷つくば野球大会」、職員・組合員・地域住⺠とのつながり強化などを目的にJA水郷つくばアンバサダーによる「健康教室」の定期開催等を行っている。池田氏は、長年にわたりボーイスカウトの役員に携わり、JA共済で取り組んでいるくらしの活動と連携した地域貢献活動の一環として、日本ボーイスカウト茨城県連盟の事業活動支援のパイプ役として青少年少女の社会貢献活動の支援に尽力している。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日