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JAの活動:【2024年新年特集】どうする食料・農業・農村・JA 踏み出せ!持続可能な経済・社会へ

【提言2024】垣根なくし農地守れ 資源・食糧問題研究所代表 柴田明夫氏2024年1月19日

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2023年、世界は地球沸騰化の時代に突入、地上ではロシアのウクライナ侵攻が続き、さらに中東情勢も深刻化、混迷と対立が深まるなかで2024年を迎えた。本紙新年特集は「踏み出せ! 持続可能な社会へ」をテーマに、世界情勢と日本の未来を見越して、農政をはじめとした政治、政策、そして農業協同組合への提言を幅広く識者に発信してもらう。

資源・食糧問題研究所代表 柴田明夫氏

資源・食糧問題研究所代表 柴田明夫氏

日本の耕地面積は、1960年の607万haをピークに、過去一貫して減少傾向をたどり、足元(2022年)では433万haまで減少した。毎年2~3万haずつ減少している構図だ。基幹的農業従事者数、農業経営体数が減少しているためだ。法人経営体数は増加しているものの、4万経営体ほどで、衰退する農業をカバーするには及ばない。

アベノミクスの「攻めの農業」は、担い手への農地集積を2023年度までに80%にするとうたってきた。そこでは、農地集積(規模拡大)―6次産業化(付加価値)―輸出拡大をワンセットで進めていくという狙いがあった。しかし、2023年3月末時点での担い手への農地集積率は60%にとどかず、目標には遥かに及ばない。もはや農地集積=規模拡大を声高にうたうことはできない。担い手だけでは日本の農地も農業も維持することが困難と認めざるを得なくなっているためだ。

そこで私は、農地所有についてこれまでの担い手への集約=規模拡大という方向から逆に、農地規模を縮小して、農業を担うものを呼び込むという政策は進めたらどうだろうかと考える。「小さな農業」すなわち「マイクロファーミング」という手法だ。農家ではないが、農業に興味を持っている人は多い。

しかし、これまで農地を取得する際のネックは、農地法3条の中の許可基準の一つに、「最低これだけの面積を経営しなければならない」という下限面積(50a、北海道は2ha)があることだ。だが、近年は「別段の面積」として下限面積を引き下げる市町村も見られるようになった。これにより、多様な農業者の参画が可能になり、集落ににぎわいが戻る可能性が出てきた。とはいえ、わずかな農地でも素人が耕作するのは容易なことではない。農業への関心は深いものの、農業を知らない。そこは、地元の農協の出番である。新たに参入した素人に農業のイロハ(栽培管理はもとより農業経営)を伝授する。

下限面積を地域の事情に応じて撤廃して、新たな農業者を呼び込み放棄されつつある日本の農業資源(人、農地、水、水源涵養林、地域社会)をフル活用する方向への「コペルニクス的転回」を提唱したい。

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