JAの活動:【2024年新年特集】どうする食料・農業・農村・JA 踏み出せ!持続可能な経済・社会へ
【提言2024】共感性が共生の力に エコノミスト 浜矩子氏2024年1月24日
2023年、世界は地球沸騰化の時代に突入、地上ではロシアのウクライナ侵攻が続き、さらに中東情勢も深刻化、混迷と対立が深まるなかで2024年を迎える。本紙新年号は「踏み出せ! 持続可能な社会へ」をテーマに、世界情勢と日本の未来を見越して、農政をはじめとした政治、政策、そして農業協同組合への提言を幅広く識者に発信してもらう。
エコノミスト 浜矩子氏
持続可能な社会に向かって踏み出すとはどういうことか。そのために必要なものは何か。
いずれの問いかけに対しても、答えは「共感性」だと思う。共感性は、経済学の生みの親であるアダム・スミスが我々に与えてくれた言葉だ。アダム・スミスがその大著『国富論』を1776年に世に出したことによって、経済学というものが生まれた。それに先立ってアダム・スミス先生は「道徳感情論」を敢行した。その中で、人間は共感性を有するから人間なのだ、と先生はおっしゃっている。
共感性とは、要するに他者の歓びを歓び、他者の悲しみを悲しみ、他者の痛みを痛む感性だ。他者が嬉し涙を流せば、その歓喜にもらい泣きする。他者が悲しみの涙を流せば、その悲嘆にもらい泣きする。このもらい泣き力こそ、人間が人間であることの証しだ。先生はそうおっしゃっている。このもらい泣き力があるからこそ、人間はいくら自分本位でも、完全に自分本位にはなりかねない。だから、支え合いが生じ、分かち合いが生まれ、助け合いが可能になる。
支え合いと分かち合いと助け合いが無いところに、持続可能な社会は成り立たない。誰もが自分さえ良ければ主義に徹していればいるほど、社会は持続可能性を失う。今、共感性の欠如がイスラエルとパレスチナを破滅に追いやろうとしている。共感性のかけらも無いウラジーミル・プーチンがウクライナを消滅に追い込もうとしている。
そこへ行くと、協同組合という組織は共感性がその軸になっている。そこにあるのは、共感性に根づいた共同体だ。歴史があり、存在感の重みがどっしりした農業協同組合に、共感社会の要となって頂かなければいけない。共感社会こそ、持続可能社会なのだということを、高らかにうたい上げて頂きたい。共感性の絆によって結びついていない者たちが、協同することは出来ない。そのことを、世界的に天下し知らしめて頂きたい。
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