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JAの活動:食料・農業・農村 どうするのか? この国のかたち

【現地レポート・茨城農業に迫る】直接支払い不可欠に 北つくば農協【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】2024年8月2日

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温和な気候と広大で平たんな大地。豊かな自然に恵まれた茨城県。農業は地域の基幹産業として重要な位置を占めている。2021年の農業産出額は4260億円で全国第3位。内訳は園芸が51%、畜産が31%、米が14%。東京中央卸売市場における県産品の青果物取扱高は2004年から20年連続第1位であり、東京などの首都圏の台所を支えている。メロン、栗、レンコン、鶏卵、ピーマン、干し芋、小松菜、ミズナ、チンゲンサイ、セリ、ネギなどは全国1位で、カンショ、梨、レタス、ハクサイなどの生産量も多い。多種多様な品目が多いことが特徴だ。農産物直売所や農産加工、観光農業などの農業生産関連事業も盛んだ。
しかし、同県でも人口減少と高齢化が進み、農業生産基盤が弱体化し、生産資材価格の高騰が追い打ちをかけており、全国共通の課題、問題と同一だ。
こうした農業情勢を踏まえ、県では昨年5月に30年後を見据えたグランドデザイン「茨城農業の将来ビジョン」を策定し、「もうかる農業」の実現や「有機農業といえば茨城」というポジションの確立、輸出を意識した産地の育成などの新機軸を打ち出している。
農協は今後の地域農業をどうしようとしているのか。生協は農産物の流通にどう対応し、農業、農政の動きをどう考えているのか。北つくば農協の川津修代表理事組合長に聞いた。
(本紙客員編集委員 先﨑千尋)

家族経営も戦力

こだま西瓜出荷スタートこだま西瓜出荷スタート

北つくば農協は筑波山の北西にある筑西、桜川、結城の3市がエリア。コシヒカリ、常陸秋そば、こだま西瓜(すいか)、梨、トマト、キュウリ、花き類、豚、牛など100種類を超える農産物を産出している。特産の「こだま西瓜」というネーミングは、東海道新幹線「こだま」が開通した1964年頃に品種改良され、誕生したことに由来する。

梨の栽培は、県内では最初に筑西市関本地区で安政4(1857)年に始められた。6歳までの子どもが自由に遊べる、子育て支援センター「はだしっ子」を運営している。

組合員は正准合わせて2万3000人、職員は607人(嘱託を含む。1月31日現在)。農産物販売高155億円、購買品供給高63億8400万円、貯金残高残高2317億円、長期共済保有高5091億円。4月に組合長に就任した川津修氏に抱負を聞いた。

産地振興策を策定へ

北つくば農協 川津修代表理事組合長北つくば農協 川津修代表理事組合長

――組合長になられて、今後の農協運営をどのようにしていこうと考えていますか。

川津 10年後を見通して、この地域の方向性を打ち出すために「JA北つくば産地振興ビジョン」を策定しようと対策室を立ち上げ、今度理事になった県OBの宮本清一郎さんにも支援をいただき、まとめようと考えている。農協合併後31年経ち、例えば米関係の施設の再整備をどうするか。2万4000トンある主幹作物の米が10年後にどうなるのか。担い手をどうするのか。

現在は出荷量の6割を121人で担っている。中小規模の農家がやめていって、大きい担い手が全部を引き受けられない。耕作放棄地も増えている。新規就農者、定年就農者、有機栽培農家など多様な担い手があり、10年後に2万トンは維持できるようにしたいと考えている。

人口減少が加速され、消費構造や生産現場もすごいスピードで変わってきて、今までやってきたことをベースに、同じことを継続、拡大しているだけでは通用しなくなってくる。家族経営体も崩壊の危機にある。そういう人たちに、農協として産地を維持するためにこうやってほしいと考えるところをやってもらえれば。

生産現場が生き生きとしてこその食料安全保障です。農業への新規参入者が意欲を持ち、ある程度の収入も見込めるという環境をつくっていくのが農協の大事な役割ではないかと思っている。

――特産のこだま西瓜はどうですか。

川津 旧協和町が産地で、大体は家族経営だ。これが減らない。後継者もいる。「日本農業賞」も受賞した。一時、半減したのを、生産部会の人たちが努力してV字回復して、今は販売金額が12億円くらいです。

こだま西瓜のハウスを利用して、連作障害対策のため、後作に抑制トマト、一部にレタスを入れている。コンテナで出荷すれば、農協で選果するので手間が省ける。労働力支援など、きめ細かい対応が農協に求められてくる。収穫時期だけ手伝ってくれる人がいれば、産地は維持できる。

「国の礎」の実態は

――改正基本法についてはどう考えていますか。

川津 「合理的な価格の形成」とあるが、これがなかなか難しい。生産、流通、小売り段階で、何が適正な価格なのか。

産地で手間が省ける対応。流通でも、規格の統一、パレットの統一を図ると積み込みの時間が省ける。イチゴは手詰めが一番大変で、栽培農家はクリスマス前には大変苦労している。規格を少し大くくりするだけでコストが下がる。流通の問題だ。

また、農家への直接支払いがないと日本農業の存続は難しくなると思う。

あとは自給率の問題。誰と話しても、国としてせめて50%は自給しないと。あの英国が70%を超えている。日本ができないわけはないと思うんですよ。

「農業は国の礎」と誰もが言う。実態はどうか。普通に努力した農家が当たり前に生活できるような所得保障が必要だ。

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