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JAの活動:第45回農協人文化賞

【第45回農協人文化賞】「草の根運動」とともに 一般文化部門・JA広島中央会元専務 坂本和博氏2024年8月9日

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多年にわたり献身的に農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第45回農協人文化賞の表彰式が8月6日に開かれた。
JAcomでは、各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。

広島県農業協同組合中央会元専務理事 坂本和博氏広島県農業協同組合中央会元専務理事 坂本和博氏

私は、大学進学に当たり「これからは、農業すなわち第一次産業(primary industry)が重要だ。農は国の基(primary)だ」との思いで、農学部を選択しました。卒業後は、大学で学んだ和牛育種改良を現場で生かしたいと、和牛のルーツである広島県の和牛登録協会に入会しました。

全国和牛登録協会会長から送られた言葉「一隅を照らす者、是国士なり」が、広島の地で和牛改良に取り組む力となりました。

全国和牛能力共進会(全共)は、和牛のオリンピックといわれ、和牛界最大のイベントで、1982年第4回全共(福島県)、1987年第5回全共(島根県)で、広島県が連続グランドチャンピオンを受賞し、ひろしま牛の名声を高める一翼を担うことが出来ました。

5回の全共に携わり、2000年に総合企画課長の拝命を受けました。同年のJA広島県大会で「地産地消運動の展開」を決議し、その実践に取り組みたいとの思いを強くし、二つの事業に取り組みました。

1.協同組合間の提携

生協ひろしま・JA広島中央会・JA広島経済連で「協同組合連携 地産池消運営協議会」を設置し、米などで4部会を設け、商品開発、学習活動などを展開する体制を整えました。

2001年2月、本協議会は「豊かな食と農と地域・ひろしまをつくる」協同宣言を行いました。

この宣言は、農業・食料問題を生産者・消費者の共通課題とし、共に地産地消に取り組むことで「小さな協同」を育てる宣言です。

私を含めて3者の協同組合職員が、地産地消運動と協同組合間事業の在り方について、納得がいくまで本音で議論を交わし創り上げたこの宣言は、一方の立場だけでなく「私たちのために作ってくれるあなたがいる」「私たちの作物を食べてくれるあなたがいる」という相互関係を強く訴える内容に仕上がりました。この宣言を基に、契約的栽培等「小さな協同」づくりが始まり、その理念は生協ひろしま農業生産法人「ハートランドひろしま」の設立へとつながりました。

今でもこの思いは引き継がれており、2022年鳥インフルエンザで大打撃を受けた広島たまご(株)。そこで生産された「生協産直こめたまご」を生協組合員の皆様が「どんなことがあっても買い支えたい」と購買行動を起こし、さらに生協ひろしまからも見舞金が贈られました。

広島たまごの代表は、「生協からの支えがなかったら経営をやめていた」と感謝を述べられました。

2.ファーマーズ・マーケット「とれたて元気市」の開設

JA交流ひろば「とれたて元気市」オープン(2001年10月)JA交流ひろば「とれたて元気市」オープン(2001年10月)

2001年4月 JA広島経済連は全農と統合しました。経済連時代より旧広島支所の倉庫を改装した産直市開設を検討していました。

内部からは、階段を上がるような店舗は成功しない等の反対もあり、全農本所からは「産直市は全農が担う事業ではない」とストップがかかりました。県本部として、このファーマーズ・マーケット開設は、地産地消実践と全農統合記念事業の一環であるとの強い思いを伝え、撤退条件(3000万円の赤字)を稟議書に記載して、やっと承諾を得ることが出来ました。

駐車場は舗装せず、エアコンも設置できないなか、10月にオープンし金・土・日・祝日営業でスタートしました。2002年2月に少量多品目生産を推進するため「地産地消生産者大会」を開催し、3月に店舗のリニューアルを行い毎日営業としました。また、量販店の産直コーナーに「ひろしま菜's」を開設し、生産者の顔写真付きバーコード添付した農産物を元気市から配送する体制を整えました。

生産者の皆様から「元気市のお陰で、私も元気になった!」と感謝の声を聞き、本当に開設できて良かったと思います。

JA広島中央会とJA全農ひろしまの共通部署営農販売対策部では、広島県の地理的・気候的条件を生かしてリレー出荷、周年出荷体制を構築するため、「1県1農場」構想を提唱し、キャベツ等の産地育成を進めました。

現在では、「とれたて元気市」は、14億円を超す本県の基幹ファーマーズ・マーケットに成長しました。2020年6月にJA広島中央会専務理事を退任しました。

図らずも2021年3月、市議会議員に立候補し、支援者皆様のお陰で当選することが出来ました。専務時代に毎月配信していたメルマガで「日本会議は"地方から中央へ"の方針に基づき、愚直に、めげずに、地道に継続して市民運動の王道を歩んで、成果を出してきた(日本会議の正体)。本来、草の根運動は農協が得意としたところだろう。今一度 我々もこの草の根運動を実践すべきではないか!」と思いを伝えました。その実践をする一つの手立てが、「地方議員」ではなかろうか。これまで培ってきた農業協同組合精神を「ふるさと幸せづくり」に生かしたいと考えています。農業協同組合人が地方議員になり、共に草の根運動を実践することを望みます。

【略歴】
さかもと・かずひろ
1953年4月広島県廿日市市生まれ。1977年3月京都大学農学部卒業。1977年4月全国和牛登録協会広島県支部入会、1983年4月広島県経済農業協同組合連合会入会、1991年4月同畜産課係長(兼)久井肉牛試験場長、2000年4月同総合企画課長、2003年4月JA全農ひろしま米穀課長、2004年4月JA広島中央会・JA全農ひろしま営農販売対策部長、2008年3月JA広島中央会理事(地域振興本部長)2011年6月JA広島中央会専務理事、2020年7月JA広島中央会顧問(12月退任)。

【推薦の言葉】常に新しい視点で挑戦

坂本和博氏は広島県経済連、同県中央会と全農広島県本部の共通部署である営農対策部の部長として活躍。平成23年から10年近く広島県農協中央会の専務として、その卓越した手腕と見識によってリーダーシップを発揮し、地域に根差した協同組合としてのJAグループ広島の発展に寄与した。和牛全共で広島和牛の名声を高めたことや生協ひろしまと連携した地産地消運動に取り組んだ。さらに全国一高齢化が進み中山間地域の多い広島県農業について「地域営農ビジョン」の策定・実践を推し進めた。またJA自己改革として「営農支援センター」を設け、JAグループ広島の一体的な営農支援をマネジメントする態勢を構築した。同氏は、ピンチをチャンスととらえ、常に新たな視点でJAグループ広島の進むべき方向性を示してきた。このように組合員農家に寄り添い、JAグループのために取り組んだ姿は農協運動の模範といえる。

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