JAの活動:第45回農協人文化賞
【第45回農協人文化賞】「なくてはならない」組織に 経済事業部門 JA岡山会長 宮武博氏2024年8月13日
多年にわたり献身的に農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第45回農協人文化賞の表彰式が8月6日に開かれた。
JAcomでは、各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。
JA岡山経営管理委員会会長 宮武博氏
当JAは、2000年7月に岡山市内14JAが合併し、岡山市農業協同組合として発足、その後3度の合併を経て、3市(岡山市・瀬戸内市・玉野市)1町(吉備中央町)を管内とする組合員数5万3000人超の広域JAです。
米麦栽培を中心に、園芸作物は千両なす、黄ニラ、青ネギ、ハクサイ、キャベツなどの野菜、くだもの王国おかやまを代表する桃、ブドウなどの果樹の栽培が盛んな地域です。
私は、2004年に当JAの理事に就任し、2016年より経営管理委員会会長としての役職を担い、約20年間、組合の経営に携わってまいりました。
当JAでは「地域によろこびの種をまく」を経営理念とし、「不断の自己改革の実践」に取り組むと共に、「営農振興計画」と「地域くらし活性化計画」を策定し、「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」を目標に、地域に根差した総合事業を展開しております。
「農業者の所得増大」については、農産物の販売力強化を重点課題とし、「生産から販売まで」をキーワードに多様化する実需者ニーズへの対応と重点取引先との連携を強化し、販売事業を展開しました。
米では、米穀卸・実需者との結び付きの強化と全農との連携による水田活用米穀の推進、環境循環型農業としての「里(さと)海(うみ)米(まい)」の普及推進、米の消費拡大に向けて「きぬむすめ」「にこまる」の食味ランキング「特A」の取得、JA岡山PB商品の「晴々ロマン」「温羅の舞」の販売促進に取り組みました。
地元市場トップセールス
また、園芸作物では重点取引市場を設定し、市場との連携強化と産地間リレー出荷による有利販売に努め、地元市場でのトップセールス、白桃・千両なすの出荷進発式、販売促進PRイベント等を通じて地域農産物ブランドの認知度向上を図りました。
生産面では、米の生産コスト低減対策に取り組み、肥料メーカーと共同で高窒素成分のJAおかやま専用15㌔袋肥料を開発し、普及拡大に努めました。
続いて「農業生産の拡大」については、麦作の生産振興のための法人化を進め2006年にJA出資型農業法人のJAアグリ岡山を設立し、県内有数のビール大麦の産地として維持・発展につなげました。
また、2017年度より「営農振興支援事業」を創設し、園芸品目の生産拡大、生産資材等のコスト低減、環境保全に対する取り組み支援を行いました。
新規就農者確保の取り組みとして、2015年より「もも・ぶどう農業塾」を開講し、部会への加入誘導により部会員70人以上を確保し、果樹の産地振興を図りました。
また、吉備中央町加茂川地域において、行政と連携しブドウ園地の大規模整備と選果場の整備に取り組みました。同地域で活動する加茂川ぶどう部会については、ブドウの生産拡大と販売高アップにつなげ、栽培面積15.4㌶、販売高3億円を誇る県内有数の産地に成長し、2023年度に第53回日本農業賞の大賞を受賞しております。
岡山市との農業振興に関する協定式
営農指導面では、営農指導体制の拡充に取り組み、営農指導とTAC(担い手対応)を組み合わせたTAC指導員を設置し、本所と営農センターの営農活動に係る情報共有と連携強化により「担い手農家」等への訪問活動の強化に取り組みました。
また、農作業支援対策として、「1日農業バイト」のアプリを活用した農作業繁忙期の労働力確保とハクサイ・キャベツなど重量野菜の生産拡大に向けて収穫支援隊による農作業支援に取り組みました。
次に「地域の活性化」については、管内農産物の地産地消による販売促進を目的に、2007年に都市近郊型農産物直売所として「はなやか中央店」を整備し、米・野菜・果実をはじめ、鮮魚・精肉を取り扱うなど、安全・安心で新鮮な農産物販売に取り組み、2023年度には店舗の増改築による売り場面積の拡充を行い、更なる品ぞろえの充実と利便性の向上により、年間販売高13億円を誇る基幹店舗としてその役割を果たしています。
また、「はなやか産直まつり」などのイベントを通じて、地域住民との交流による「にぎわいの創出」と子ども食堂等への食材の無償提供を通じたフードロスの削減と地域貢献活動に取り組んでいます。
近年、日本国内の農業やJAを取り巻く環境は日々厳しさが増す中で、「食と農を基軸とした協同組合」として「持続可能な地域農業」を実現するため、基本目標である「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」に継続して取り組み、組合員・利用者の皆さまから「なくてはならない」組織で在り続けたいと思います。
【略歴】
みやたけ・ひろし
平成16年6月岡山市農業協同組合理事、20年同経営管理委員28年同経営管理委員会会長。
【推薦の言葉】営農指導態勢を強化
宮武博氏は、現在、第35回岡山県JA大会で決議された中期計画の2年目として、営農振興計画と地域くらし活性化計画の達成に取り組んでいる。これまで同氏は農業生産の拡大に向けた営農振興、労働力支援、農業者の所得増大に向けた販売力強化、JA経営基盤強化の取り組みなど、岡山県の系統営農経済事業の発展に大きく貢献してきた。
特に営農指導の面では各営農センターに3人以上のTAC指導員(担い手対応担当)を設け、センター間の情報共有と連携を図るとともに担い手農家などへの訪問活動で営農指導活動を強化した。
また大規模農家の繁忙期の労働力不足解消のため「1日農業バイトdaywork」システムを活用し、労働力支援のマッチングによる労働力の確保で農作業支援態勢を確立。販売面では加工・業務用野菜の契約栽培を取り入れ、重点取引市場への集約、および連携強化による有利販売を実現するなど農家所得の増大に努めてきた。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日