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JAの活動:第45回農協人文化賞

【第45回農協人文化賞】「相談」を入り口に強み発揮 信用事業部門 JAえひめ未来前専務 保利公洋氏2024年8月15日

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多年にわたり献身的に農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第45回農協人文化賞の表彰式が8月6日に開かれた。
JAcomでは、各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。

JAえひめ未来前代表理事専務 保利公洋氏JAえひめ未来前代表理事専務 保利公洋氏

えひめ未来農業協同組合は、愛媛県の東部に位置し、事業エリアは新居浜市と旧西条市となります。気候は温暖で良質な自噴水「うちぬき」に代表される豊かな自然環境と観光資源に恵まれており、沿岸部は住友グループ企業が立ち並ぶ四国最大の工業都市を擁した、自然と都市が調和した環境の中で事業を展開しています。2020年11月に新居浜市農協と西条市農協が合併し、現在に至っています。主要な農産物は「米」「はだか麦」となっており「春の七草」は生産量日本一の産地です。

私は1979年に西条市農協へ入組し、主に金融共済部門での勤務を経て、金融共済部長、信用担当常務、代表理事専務、えひめ未来発足後は代表理事専務として、JAの経営に携わらせていただきました。

取り巻く環境が大きく変化する中において、経営理念である「人とのふれあいを大切に、地域の農業と食を創造し、活力ある豊かな『未来』をつくります」に基づき、地域のみなさまから信頼され必要とされるJAを目指し、事業活動を行っております。

こども食堂へお米の提供こども食堂へお米の提供

私が西条市農協の代表理事専務に就いた当時、新居浜市農協と西条市農協の合併協議が始まっており、いち早く取り組んだのが人材育成です。それまで両JAが課題としていたそれまでの言われたことを遂行する「ノルマ達成型人材」から脱却し、自律的な行動で組合員の悩みを解決する「課題解決型人材」を求められる職員像に設定し、新人事制度を構築しました。それにひもづく「職員行動原則」を定め、職員の資質向上に努めております。

事業面では、えひめ未来農協の事業全体の約4割を占めている信用事業については、地域になくてはならない地域金融機関を目指し、特に、融資事業に注力致しました。組合員・利用者のニーズをお聞きし、農業資金や住宅資金また教育資金などを提案し、みなさまの夢をサポートする活動を積極的に展開しました。主な取り組みとして二つのローンセンターを中心として、地場のハウスメーカーや建設会社との関係向上を図るとともに、渉外担当者や営農指導員等からの情報を基に相談・提案活動を実施しています。その結果、貸出金残高は2020年度末185億円から2023年度末237億円へ増加しました。残高伸長の主なものは住宅ローンによるもので、若年層の利用者が多くJAを利用する新たな顧客として信用事業のメイン化や共済商品の提案など今後の事業基盤拡充につながる准組合員の増加に寄与するとともに、経営面では過度に連合会に頼らない自己運用強化につながりました。

また、現在進めておりますのが、「相談事業」の強化です。今後の超高齢化や人口減少等により、持続可能な経営基盤を確立し、組合員や地域の方から必要とされるJAを目指し、今まで以上に組合員の悩みを解決するため、先進的に取り組んでおられるJAに視察研修(2022年度JA山形市、JA世田谷目黒、2023年度JA松本ハイランド、JAぎふ)を実施し、相談事業の必要性や目的、意義などを学ばせていただき、2023年度に相続などの相談事業を専門部署とする「くらしの相談課」を設置致しました。くらしの相談課設置後、組合員から相続や事業継承、農地の活用・売買など多様な相談が寄せられており、認知度も少しずつでありますが口コミ等で広がっています。様々な相談を入り口として、ローンや共済など総合事業の強みを生かした他事業への波及効果も期待でき、良い事例も徐々に現れています。また相続に対応することで今後の経営基盤の確立の次世代対策としても相続に対応することが有効と考えます。

対応する職員に話を聞くとお客さまから「ありがとう」と言っていただけることが最大の喜びであり、難しい案件にも「お客様のために」と日々試行錯誤を続けています。また、自己改革の一環として、地域貢献活動にも力を入れており、SDGsへの貢献として「こども食堂への支援」を実施しています。管内9カ所のこども食堂とお付き合いをさせていただいており、お米の提供を通じて支援活動を行っております。大変好評で、今後も継続していく考えです。

結びに、今後JAや農業をとりまく環境はますます厳しい状況が続くことが予想されますが、総合事業を軸に組合員や地域のみなさまから信頼されるJAを目指し、今後のさらなる取り組みと農業の発展を期待しています。

【略歴】
ほり・きみひろ
1956年12月愛媛県西条市生まれ。明治大学卒業。2015年西条市農協信用担当理事兼金融共済部長、2017年常務理事、2019年代表理事専務。2020年えひめ未来農協専務理事、2021年代表理事専務(2024年6月退任)。

【推薦の言葉】相談機能軸に事業伸長

JAえひめ未来は「人とのふれあいを大切に...」の基本理念のもと組織、事業、人材育成、そして将来を見通した動きに至るまで、保利公洋氏のリーダーシップのもと、着実に農業協同組合としての地歩を固めつつある。

とりわけ信用事業では、金融をめぐる厳しい環境が続くなかで組合員や地域ののニーズに合った商品を提供し、住宅ローンを中心に資金需要に対応。それによって、JAの他の事業が伸長するという総合事業を営む農業協同組合としての循環モデルを確立している。

特に組合員の課題や悩み解決するため相談事業に注力し、先進的に取り組んでいる全国のJAの視察研修を実施し、先進JAには職員を研修派遣。研修には自らも参加して相談業務の必要性を学び、2023年から生活部内に相談業務を専門とする「くらしの相談課」を、愛媛県内で初めて設けた。こうした活動によって、地域に必要とされるJAを目指すととともに、JAの経営基盤の確立に努めている。

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