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JAの活動:第45回農協人文化賞

【第45回農協人文化賞】人とのつながり大切に 女性枠 栃木県・JAはが野総代 JA栃木女性会顧問 猪野正子氏2024年8月20日

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多年にわたり献身的に農協運動の発展などに寄与した功績者を表彰する第45回農協人文化賞の表彰式が8月6日に開かれた。JAcomでは、各受賞者の体験やこれまでの活動への思い、そして今後の抱負について、推薦者の言葉とともに順次、掲載する。

栃木県・JAはが野総代 JA栃木女性会顧問 猪野正子氏栃木県・JAはが野総代 JA栃木女性会顧問 猪野正子氏

現在、「株式会社 雄ゆう」の副社長として「地域の地の利を生かし、お米で元気に苺で笑顔に」を経営理念に、家族で役割分担(夫会長、長男社長、長女専務、長男の妻常務)し、社員と共に200㌶超えの作付面積と6次産業を取り入れた農業経営に取り組んでいます。

女性会と私

農協生活指導員に声をかけられて、若妻会員になり会合に参加すると新しい知識が学べ、仲間との出会いや様々な気づきがあったことを思い出します。JAをよりどころに女性会で「地域に根ざした活動」を進め、一歩ずつ前進してきました。

JAはが野女性会では6地区が一体となり、活動を実行委員会方式にして「倶くらぶ楽部」と名づけ、各地区2人計12人が六つの倶楽部(組織強化・文化・健康管理・地産地消・編集・なの花)ごとに役員を選出して企画運営。この様な組織での役員を経験することにより、仲間の絆が深まり、リーダーとしての自信がつき大きな力になっています。次代につながる「人づくり」は、組織の中でとても大切な役割だと私は思います。

「下野わくわく塾」宇都宮大学にて西山教授の講義・ワークショップ

「下野わくわく塾」宇都宮大学にて西山教授の講義・ワークショップ

「報徳思想」の縁で神奈川県JAはだの女性部と全国初の「姉妹提携」を2007年に締結し毎年交流を重ねて「切せっさたくま磋琢磨」し合い、お互いの絆を深め続けています。また二宮尊徳先生が「報徳仕法」を実践した「桜町陣屋」の史跡が、私の自宅近くにあり、夫が「史跡桜町陣屋跡の保存と活用を考える会」の3代目会長を務めています。「尊徳さんの田んぼで米作り体験」活動はすでに17年になり、地元女性会の仲間と共にこの活動を支え続けています。

さらにJA栃木女性会会長在任中はコロナ禍で大変な時でしたが、創立70周年記念事業として誰でも参加できる活動「ペットボトルキャップを回収して世界の子どもたちにワクチンを届ける」活動を実施。4年目を迎えた今年で延べ1万3,000人分以上のワクチン支援をすることができました。小さな活動も県全域がまとまると大きな力になることにあらためて気づき、尊徳先生が唱えた「積小為大」の教えを女性会の活動や交流に生かして「自分づくり」や「地域づくり」などに励んできました。

社会参画と「農協人」

22歳で結婚。次の年には地元「物部農協」の組合員になりました。当時から一戸複数組合員制をしく地域で、困った時の助け合いや人と人とのつながりを大切にする考え方が強くあり、「JAは組合員のために」「組合員はJAのために」という気持ちが人々にあふれていた時代でした。

私のJA運営参画の第一歩は、2001年にJAはが野参与10人のひとりに加わり、理事会傍聴を経験。その後女性会として、女性組合員増員運動(目標1,000人)に取り組み女性枠総代30人実現に奮闘しました。残念ながら運動は目標に届かず、半数という結果になりましたが、その努力が認められ、2006年総代会で女性総代30人が承認されました。現在では女性枠経験者が地区から手をあげ総代として選出されています。私も地区選出総代として2期目を務めています。

「下野わくわく塾」宇都宮大学にて西山教授の講義・ワークショップ

令和6年5月 第27回JAはが野通常総代会にて 質問と要望を発言

2010年より女性理事が登用され、初代3人のひとりとして私も就任しました。今まで男性だけの理事会に出席し、女性理事3人がJA運営に女性の声を反映するために発言したり、組合員と職員とのつながりを強めたりしてきました。現在の女性理事3人もこの役割を務め、思いや志を受け継いでいます。「農協人」として社会参画を始めた女性たちの元気や勇気が農業や地域に今までにない活力を生みだしていると私は確信しています。

新たな一歩へ

報徳さんの田んぼで米作り体験報徳さんの田んぼで米作り体験

JA女性会やJAの事業・活動を通して「人はひとりでは生きられない」「ひとりで出来ることは限られている」とつくづく考えさせられました。私を支えてくれた大勢の仲間がいて、今の私があります。その感謝の気持ちを次の世代に伝えながら、私にできることが何かないかと考え、親しい仲間と共に2023年7月に「下野わくわく塾」を開塾しました。この塾はひとりでも多くの人たちに役立つ「自分づくり」や「ネットワークづくり」を目指しています。開塾以来、参加者の笑顔に強い手応えを感じています。

これからも大勢の人たちに声をかけ、「食と農を通した人と人とのつながり」「安心して暮らせる地域社会」などをつくることに挑戦していきたいと考えています。

【略歴】
いの・まさこ
1952年1月生まれ。1970年県立真岡農業高校(現真岡北稜高校)卒業。1996~1997年JA栃木女性組織なの花会会長、2011~2021年JAはが野女性会会長、2017~2021年JA栃木女性会会長、2022年~JA栃木女性会顧問、2006~2009年JAはが野総代(女性枠)、2010~2016年JAはが野理事(女性枠)、2021年~JAはが野総代(地区選出)、1999~2019年栃木県女性農業士、2008~2010年栃木県女性農業士会会長、2019年~現在栃木県名誉農業士。

【推薦の言葉】活動の根底に尊徳思想

猪野正子さんの特筆すべきは、自ら身をもって新しい活動の分野を切り開きながら、その役割や立場を進んで後進に譲ることで優れた後継の人材を育ててきたことが挙げられる。

また、尊徳思想が猪野さんの人格形成に与えた影響は大きい。旧二宮町は二宮尊徳が江戸後期に「報徳仕法」を実践した桜町陣屋の史跡で知られる。自宅とは指呼の間で、桜町二宮神社は猪野さんの散策の場でもある。

尊徳が唱えた「至誠」を貫き、JA女性会活動では実行委員会方式を採用し、会員の主体性を引き出すよう努め、JAの総代や理事の「女性枠」を設けたり、道の駅「にのみや」のオープンには女性会の仲間に出資を募り、農産物や加工品の出荷組織づくりで販路の新規開拓に努めたりするなど、文字通り八面六臂(はちめんろっぴ)の活動ぶり。イチゴ栽培のかたわら、連日のようにJAやJA女性会、地域の仲間たちのために、イチゴ色の乗用車を乗り回して東奔西走している。

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