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JAの活動:第30回JA全国大会 持続可能な社会をめざして

【現地レポート・熊本県JA菊池】"変化と成長"モットーに 耕畜連携ペレット堆肥注目2024年9月18日

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第30回JA全国大会が、「組合員・地域とともに食と 農を支える協同の力」を発揮しようとするなかで、JA菊池はそれにどう応えるのか、髙武孝充元福岡農協中央会営農部長と本紙特別編集委員の村田武九州大学名誉教授がJA菊池を訪ね、東哲哉代表理事組合長、森正晴代表理事副組合長から話を聞いた。

熊本県北東部に位置する菊池地域農業協同組合(JA菊池)は、菊池市、合志市、菊陽町、大津町の2市2町をエリアとし、正組合員7229人・准組合員7423人、職員570人(うち正職員421人)、農産物販売額286億円、うち酪農・畜産234億円(82%)という大規模農協である。東哲哉代表理事組合長(70)、森正晴代表理事副組合長(65)から話を聞いた。

JA菊池レポート01_東組合長※見出し画像.jpg

JA菊池 東哲哉代表理事組合長

未来に向けた変化成長

髙武 ロシアのウクライナ侵攻のともなう生産資材、飼料、肥料、燃料などの高騰のなかで、JA菊池の基幹部門の酪農、肉牛を中心とする畜産経営も、水田農業もかつてない経営収支の悪化に見舞われていますね。私は、この点で第30回JA全国大会の組織協議案に危機感が乏しく、政府への抜本的対策要求が盛り込まれていないのがたいへん不満です。

 農業をとりまく情勢はそのとおりですね。生粋の畜産農家である私ですから、組合長就任あいさつでは、「農業を取り巻く情勢は多くの課題が山積しています。このようななかで代表理事組合長を拝命いただき、身の引き締まる思いであります」と述べました。今後の農家経営にとって何が必要なのか、変化に対応できる組織力と仕組みづくりをさらに構築し、組合員、職員の声に丁寧に対応してきたいと考えています。

JA菊池は、「未来に向けた変化成長」と題する2024年度から26年度(3カ年計画)の「第12次地域農業振興計画」を策定しました。これまで推進してきた①「きくちのまんまブランド戦略」を継続して、農産物の安全性確保によるブランド確立および環境負荷軽減技術の同佑による環境保全に取り組み②「場外流通や契約取引による有利販売および直売所・「まんまキッチン」の店舗運営見直しによる地産地消の取り組みを強化する総合直販拡大戦略③農業発展戦略では地域担い手の育成支援や労働力確保対策、産地形成の維持拡大に取り組み、持続的に発展できる菊池地域農業の確立をめざします。

この地域農業振興計画に「未来に向けた変化成長」というタイトルをつけたのは、「まんまブランド戦略」「総合直販拡大戦略」「農業発展戦略」を推進するには、農協も組合員も変化なくして成長なしという覚悟をもとうではないかという提案が込められています。

村田 副組合長の森さんにお聞きします。第30回JA全国大会組織協議案をどう読まれましたか。

JA菊池レポート02_森副組合長.jpg

JA菊池 森正晴代表理事副組合長

 全国大会組織協議案は2030年を目標に「JAグループのめざす姿」を提起しています。しかし、私たちに今必要なのは、ここ2、3年の緊急対策です。JA菊池の組合員酪農経営は現在124戸、年間生乳出荷量は8万6000トンです。これは熊本県の合計383戸、25万トンの3割強を占めます。「第12次地域農業振興計画」は、この酪農や、肉牛など畜産経営を減らさず、生産出荷量を確保するという目標を掲げています。これは容易なことではありません。

菊池地域は西日本随一の酪農基地です。北海道のJA士幌とも親密な関係にあります。その士幌に学ぶところは大きいのですが、何しろ士幌は農地に恵まれています。酪農経営へのバイオガス発電施設リース事業も消化液撒布農地があるからできることです。残念ながら菊池ではそれほどの農地はありません。

そこで、JA菊池では、生乳生産量8万6000トンを維持するために、搾乳ロボットの導入がすでに19戸、自給飼料の生産向上のためにデントコーン栽培(2期作合計1156ha)とともに、有機支援センターでのペレット堆肥づくり、さらにキャトルブリーディングステーションでの乳用後継牛および肥育用もと牛の安定供給に力を入れています。

有機支援センターを生かす

JA菊池は「有機支援センター」と名づけた堆肥センターを3カ所運営している。うち2008年設立の合志センターが自治体の設置であるのに対し、旭志、菊池の2センターはJAの設置である。ペレット堆肥を製造している「有機支援センター合志」で、畜産部畜産企画課の藤井祥太課長と有働恭兵畜産クラスー事業担当に案内してもらった。

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有機センターのペレット堆肥製造機

藤井 旭志と菊池のセンターで受け入れた1万625トンの家畜ふん尿(原肥)を完熟化させた堆肥をこの合志センターに運び、ここでばら堆肥6470トンとペレット堆肥443トンを製造しています。ペレット化の課題である乾燥(水分20%以下)を迅速・低コスト化するための乾燥ハウスでの効率的な温風通期乾燥システム(古紙や廃プラスチック類を主原料にした固形燃料であるRPF燃料にしたバイオバスバーナーで温水)がまもなく稼働します。製造された堆肥はJA菊池の特産品である水田裏作の冬ゴボウ、秋冬ニンジン、カスミソウなどへの投与とともに、JA熊本市、JA八代、JA福岡市、JA柳川、佐賀県の種苗会社などに販売されています。今後は、県内や福岡県筑後平野の農協と連携し、稲麦わらとの交換だけでなく、デントコーン、イタリアンライグラスなどを栽培してもらい飼料の安定確保に役立てることを具体化したいですね。

髙武 ペレット化で感心したのは、細かな小石などが含まれないように注意を払いながら何度も砕きながら最終的にペレットに仕上げるやり方です。このペレットであれば、わずかな農地を借りて自家用野菜などを作る消費者なども畑などに撒きやすく、市場を拡大できますね。

【取材を終えて】

JA菊池管内2市2町では、「台湾積体電路製造」(TSMC)やSONYなど半導体関連企業の進出が相次ぎ、工場建設の真っ最中である。工場立地・道路建設などでの農地買収や賃貸借契約解除の面積は、県がこの8月に実施した調査では、すでに227haに及ぶという。その半ば119haは飼料(デントコーン)畑である。JA菊池は畜産農家とともに、代替地の確保を県に要請している。しかし、転用される飼料畑の100%の代替地の確保は困難であろう。農地確保を巡っては、半導体進出を機に農業関係者が立ち上げた「県農業と半導体産業等との共存共栄に関する研究会」において、JAグループ熊本は、大津町にJA熊本経済連が所有する牧場跡地を代替地のモデルとして基盤整備するため、国による支援を要望している。実現することを願いたい。

JA菊池の活路を開くのは有機支援センターではないか。製造される堆肥と家畜飼料の交換を近隣農協との連携で本格化させることが大いに期待される。取材日程の調整など、総務部企画広報課の永田雅裕課長にたいへんお世話になった。心から御礼申し上げたい。(髙武孝充・村田武)

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