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JAの活動:第30回JA全国大会 持続可能な社会をめざして

農の復活へ"物言う"農協に 政治的活動は「義務」 京都大学大学院教授 藤井聡氏【第30回JA全国大会特集】2024年9月24日

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農協は「農の復活」を企図した言論・政治活動を加速すべし---。多彩な言論活動や表現者として知られる京都大学大学院教授の藤井聡氏はこう提言する。地方の衰退と農業の凋落が進む中、協同組合も政治に積極的に関わる必要があるとする。

京都大学大学院教授 藤井聡氏.jpg京都大学大学院教授 藤井聡氏

「農業振興」は、日本国家が日本国家であり続けるために極めて重大な公的目標だ。

第一に食料自給率を高め食料安全保障を確保するために、第二に地方を活性化するために、第三に一極集中型国土から分散型国土への転換を図るために、第四に食料自給率を高めて輸入依存度を低め(=海外への流出マネーを縮減し)GDPを定常的に成長させるために、第五に伝統的地域・伝統的文化を継承し発展して日本人の精神性の質的向上を果たすために――農業は振興されなければならない。

通常の国家の政府では、農業のこうした極めて重大な「公的価値」の存在を認識し、①農業に国費を十分に投入すると同時に、②一定の関税障壁、非関税障壁を設けて農業を保護し、③それらを通して農民の平均賃金を高め、④若い担い手が継続的に農業に入ってくる状況を保持し、⑤農業人口を確保する事をとおして農業供給力を維持向上せしめ農業の振興を図る――という取り組みを行うのが一般的だ。かくして、十分な経済成長を遂げている先進諸外国では農業に様々な公的資金を大規模に注入し、それによって農家所得が一定水準以上に高められ、食料自給率もまた可能な限り高められているのである。

ところが我が国は、先進国だという自認を持っているにもかかわらず、農業の凄まじく巨大な公的価値に思いをはせず、農業への国費の投入が驚くべき水準でおろそかにされていると同時に、諸外国との自由貿易協定の締結を優先し、十分な高さの関税の確保等を含めた十分な農業保護政策がとられていないのが実情だ。

その結果、農業自給率も農家の所得も下落し、上述の数々の「公的価値」(十分な食料自給率、地方の活力、分散型国土、農業を通した経済成長、活力ある地方と農業によって確保される日本人の高い精神性)が激しい速度で毀損(きそん)してしまっているのが実情だ。

この状況を打破し、これらの失われた数々の公的価値を取り戻す為に、農業の衰退の深刻な問題を過不足無く理解した一部の日本国民がなさねばならぬこととは一体何なのかといえば―――それは第一に、少なくとも政府の農業の保護と振興行政が不十分となっていまっている間は、「自らの手」で、心ある者同士が「助け合って」農業を支え振興していくことだ。そして第二に、日本の主権者である国民の「世論」において、農業が持つ数々の公的価値についての「理解」の促進であり、第三にその適切な理解に基づいた農業振興行政を(欧米レベルで)強力に推進する「政権」を樹立せしめることだ。

農業協同組合が日本の農業に対してまさに今、なさねばならぬのは、この第一、第二、第三の農に対する国民の責務の「中心的役割」を担うことなのである。

つまり農協は第一に、今日進めている農家同士の各種の「協力」を持続させ発展させ高度化させていくことが何よりも必要なのだ。言うまでもなく「農業協同組合」というのは文字通りその名が示すとおり、農家同士の助け合いのために組織されたものであり、この第一番目の農協の責務は改めてここで指摘するまでもないとも言えよう。

しかしながら、農協関係者が従事しているのはこの第一の「農家同士の助け合いや協力」に留まっており、第二、第三の取り組み、すなわち、「言論活動」(広報活動)や「政治活動」に積極的に活動している農協関係者は限定的だ。しかし、今日の日本の農政がここまで低迷し、日本の農業それ自身がここまで停滞してしまった最大の原因は、この第二の「言論活動」、第三の「政治活動」に対して農協が十分に尽力してこなかったからだと言うことができるのではないだろうか...?

つまり、今の自民党を中心とした政府が、農業をここまで蔑ろにしてしまっている現実というものは、農協が世論、そして世論の顔色をうかがう自民党に対して十分に働きかけず、彼らの農業蔑視を放置し続けてきたことの"ツケ"なのだと考えることができよう。

すなわち、農協はまず、第二の重大な活動として、農業の深遠なる意義についての理解を日本国民において深めるためのあらゆるコミュニケーション活動を徹底するプロジェクトを様々に陰に陽に展開することが必要なのだということを、深く理解しなければならない。

例えば、筆者は表現者クライテリオンという言論誌の編集長を仰せつかっているが、この言論誌では、農協関係者たちにスポンサーとなって頂く形で「農を語る」という連載企画を毎回掲載している。この企画は編集長の当方と各界著名人との対談企画だが、対談の様子はYoutubeを通して動画配信を行っている。これは小さな一例であるが、こうした「言論活動」「広報活動」をテレビ、ラジオ、そしてインターネットを活用して全面的に展開していくことが、農協の第一の重大責務であると筆者は考える。

そして農協は第三に、積極的に政界に働きかけ、農業振興策を加速する政治環境を整えていく活動を行う責務があることを、自覚せねばならない。言うまでも無く、政治活動においては「投票行動」が重要であり、全国の農協関係者が一致団結し、農業に理解の深い議員達を、国政を中心に多数誕生させることが極めて重大である。

そのために、第二の「言論活動」「広報活動」を徹底的に加速し、農業振興こそが必要であるという正義感を持つ政治家を1人でも多く育てていくと同時に、彼らを国政の場を中心とした政治の場に選挙を通して送り込んでいくことが必要なのだ。

もとより農協関係者全員が農業振興を念頭において投票行動を行えば、何十人もの国会議員を生み出すことに成功し、我が国の政治は瞬く間に農業振興を重視するものへと激変すること必至なはずだ。

そもそも、ここまで人口一極集中が進んでいなかった昭和の時代、地方部の農村部から実に多くの国会議員が輩出されていた。そして彼らが国政の現場で農業振興行政を加速する政治決定を推進していた。そしてその結果農業が振興され、地方が活性化し、より多くの国会議員が輩出されるという農業振興の好循環が生み出されていた。ところが今や、そのスパイラルは完全に逆回転し、地方の衰退と農業の凋落が共に進行する状況にいたっている。しかし、平均的な投票率が下落した今日において、農協においてのみ政治意識を高めれば、より多くの政治的影響力を持つことも可能となるはずなのだ。

そもそも我々の国日本は民主主義の国なのだ。民主主義である以上、一人ひとりが政治に関心を持ち、政治的な活動に多かれ少なかれ従事しなければならない義務を負っているのだ。日本では政治に関わることは何やら「ややこしい事」「普通で無い事」「面倒な事」「ヤバい事」であるかのように捉える風潮があるやに思うが、よくよく考えればその風潮それ自体が極めて不当なものなのだ。

いずれにせよ、だから一人ひとりの農協関係者も、政治に、そして、言論に、多かれ少なかれ前向きに積極的に関わることが求められている。一般の国民が農の事を十分に知らない実情、そして、それにも関わらず農というものの国家にとっての恐るべき重大さを勘案すれば、農を一般国民よりも遙かに知る農協関係者は、農業振興を企図した政治・言論活動を展開する「義務」を負っていると言うこともできよう。農協が日本の農を支えるためにも、協同作業を通した「共助」に加えて、農に対する適切な「公助」を実践する政府の誕生に向けた言論・政治活動を強力に展開し、実際に農業振興行政が強烈に推進される政権が誕生されんことを、心から祈念したい。

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